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第1章「旅立ち」
第12話「リン」
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「その……俺、剣を持って相手と向かい合えないんですよ」
剣を持って向かい合えないのに、剣術が使える?
嘘くさい、まるで「ふっ、俺が本気出せば、町一つ潰すの余裕だが、めんどくさいからやってないぜ」ってレベルで嘘くさい。
だが嘘だと決めつけるのも良くないか。そうだ、なにか技をやってもらおう。確か地剣術の基本技で『瞬歩』と言ったっけ、それをやってもらえばわかる。
問題は「嘘っぽいので技やってください」は流石に失礼過ぎる、どうやって切り出すべきか。
「それじゃあ、何か技をやってみて」
アリアがバッサリいった! 多分誰もが思うけど、誰もが口には中々出せない事を。
彼も「ははっ、そうだね」と笑っている。もしかして同じような事を言われた事があるのかもしれない。
彼はその場から消えた、違う、『瞬歩』で一瞬のうちに移動して僕の後方に居た。
アリアは目で追えたようだが、僕には一瞬彼がブレたと思ったら、そのまま消えたようにしか見えなかった。
「素晴らしい足さばき、それだけ出来るなら剣士としては十分」
「うん、だけどさっき言った通り、向かい合う事が出来ないんだ」
その後、彼の話を聞く限りでは、彼の名はアルフ16歳、剣術の家庭に生まれたのだが、昔から3人の兄から”修行”と称して普段からイジメを受けており、敵意を持った相手に向かい合うと足がすくんで動けなくなると。
後継者争いに巻き込まれるのはごめんだ、と家を出たは良いが仕事が見つからず、冒険者になってみたがモンスター相手でもやはり足がすくみ、結局勇者になるしかなかったのだと。
「このままで、良いんですか?」
「一度ギルドの方に相談したことがあるのですが、もしパーティを抜けた場合、『一度そういった理由で抜けた場合、どちらに非があったとしても他のパーティが貴方を誘いたがらないと思いますが、それでも宜しいですか?』と言われました」
昨日父に聞いた話と一緒だ。変なタイミングで勇者に抜けられた場合、パーティも勇者も”曰く付き”になるから敬遠されると。
「なので、ジーンさん達がCランク辺りになって、俺が不要になるのを待つだけです、そうすれば他のパーティに自然に入れるので……」
時間が解決してくれる、消極的な話だ。
それじゃあ後回しにしていた、もう一つ疑問を聞いてみよう。
「ところで、ジーンさん達は依頼なのに別行動なのですか?」
「勇者必須の依頼以外は、基本的に俺以外の3人で行ってますね。参加してないので分け前は無しになるので、こうやって薬草採取依頼を受けて何とか凌いでますよ」
何とも酷い話だ、良い所だけ使って後はポイ。
立場が弱いから、それでも何も言えないのか。
何とかしてやろうにも、何も出来ず歯がゆい、アリアも何も言い出せずに無表情のままだ。
適当な雑談をしながら薬草採取を再開し、ほどなくしてアルフさんは籠が満タンになったので町へ帰って行った。
「おせっかいを焼くのは良いけど、自分から変わる気のない人間を相手にしても無駄よ」
サラが少し不機嫌そうに言う、どうもサラは『勝手に決める相手』『受け身な相手』には少々攻撃的になる所がある。機会があればちゃんと話しておきたいが、多分今話すと逆鱗に触れる気しかしない。
アリアを見ると何か言いたげだが、首を振って何も言わないようにさせた。
下手な事を言って地雷を踏めば、怒ったサラの小言でアリアが泣くか、サラの怒りの矛先が僕に向かうだけだ。どっちにしろ被害をこうむるのは僕だしね!
☆ ☆ ☆
日も沈みかけ、今日の晩御飯は何にしようかな? そんな事を考えながら町に帰る。
「今日はエルク、頑張ったです」
唐突にリンが僕を褒めだした、ゴブリン1匹倒して頑張ったと言われても。
確かに初めて倒した時は嬉しくて叫んじゃったけど、彼女達の実力と比べるとそんなのまだまだだ。
「皆の方が凄いよ。僕なんてサポートしてもらってやっと1匹だし……」
「という訳で、今日の料理当番はサラとアリアです」
そんなことないよ、と言う僕の発言はスルーされ、アリアとサラが料理当番をリンから命じられた。
もちろん二人は「はっ?」となるが、リンが強引に押し切る形になった。
☆ ☆ ☆
そして現在、テーブルに座って僕は神に祈っていた。
台所からは、料理をしているはずなのに、謎の打撃音等も聞こえてくる。
ドンガラガッシャン。うん知ってる、これテンプレだね。
30分後、台所は悲惨な事になっていた。この世の地獄と言わんばかりに。
鍋が焦げ臭い、火をつけっぱなしで焦げたのはまぁ理解できる、問題は中身だ! ピンク色の液体Xになっている、明らかにヤバイ匂いと煙が出ている。
もう一つの鍋は、煮込もうとしたのだろう。鍋に水がたっぷり入っており、その中に何故か牛肉が塊でぶち込まれている。
とりあえず液体Xは危険だ、どんな味がするかの興味は尽きないけど絶対にダメだ。多分一口でも取り返しのつかない事態になる、僕は急いで中身を庭に捨てた。
もう一つの鍋は、甘い、水が凄く甘い、砂糖を大量に入れたのかな?
「アリアが……塩と間違えて、砂糖を大匙一杯入れたのよ」
サラは鼻を真っ赤にして、涙目になりながら目線を逸らす。ちょっと可愛いと思ったけど問題はそこじゃない。
サラは大匙と言っているが、アリアが手に持っているのは明らかに『おたま』だ。大匙とおたまをそもそも勘違いしている。
となると、鍋の中にはおたま一杯砂糖を入れたことになる、これはちょっと厳しい。
よく見るとアリアも無表情だが、目に涙がたまっている。もう泣く寸前だ。
「それじゃ、後は頑張るです」
リンは僕の背中をポン、と叩いて台所から逃亡する。もう色んな意味でどうしようもないんだけど!?
僕も逃げ出したいが、アリアとサラが涙目で僕の裾を掴んでるから逃げ出せない。
「これ、何とかするから二人とも手伝ってくれる?」
脳内レシピでここからまともな料理が出来るか調べる、あったあった。
サラに頼んで、家庭用水魔法で軽く水を出してもらって手を洗い、そして鍋の中から牛肉を掴んで取り出す。
「アリア、牛肉を一口サイズに切ってから、沸騰したお湯でアクを取ってくれる?」
「うん」
意気込んで剣を抜こうとする彼女に、包丁とまな板を手渡す。
「サラはお湯の準備をしてあげて」
「はい」
すぐさま魔法で鍋の中に水を作り出し、すぐ沸騰するように魔法で火の火力を上げている。見ていて凄く便利そうだった、正直羨ましい。
だが彼女に見とれているわけにもいかない、砂糖水の鍋の中に酒、ミリン、ショーユ、を入れて、アリアの牛肉のアクが取れるのを待つ。
ある程度アクが取れた牛肉を綺麗に水で洗い、砂糖水の鍋に適当なサイズで切ったダイコン、ニンジン等の野菜とコンニャクを一緒に入れて煮込む、5分程煮込んだらミソを入れて更に煮込む。
「ドテの完成だ」
ドテは大量に砂糖を使う、見ていて引く位に砂糖を投入するのだ。
なので今回は、そんなレベルで砂糖をぶち込んでしまった鍋を、逆に利用してドテを作ってみた。砂糖漬けの牛肉は普通に調理するのも難しいしね。
とりあえず一口試食してみる、ちょっと砂糖が多すぎた気がするけど、気にはならないレベルだ。
「大丈夫、美味しくできたよ」
「本当に?」
「うん、本当だよ」
サラは素直に喜んでくれた、先ほどまで泣きそうだったのがウソみたいだ。
アリアは僕の裾を掴んで無表情だが、多分サラと同じく喜んでいるんだろう。と思ったらお腹から音を出しながらヨダレが出てる、反省しようよ。
そんな彼女に対し、僕は半眼で何か言いたげな視線を送る。
「私たちに料理をさせたのが、悪い」
確かに。
☆ ☆ ☆
夕飯の最中、サラはしきりに「これ私が手伝ったのよ」と自慢げに話していた。何というか娘と一緒に料理をしたらこんな感じなんだろうなぁ、とちょっとほっこりした。
父は酒を片手に、上機嫌だ。ドテを作る事は少ないが、作るといつも父は酒を飲む。
父曰く「これで酒を一緒に飲まないのは損だ、商人として損は見過ごせない」とか。
リンが僕の元にやってきてニヤニヤ笑っている、何というかイタズラが成功したような笑顔だ。
「サラとアリアと一緒に料理は、どうでしたか?」
「大変だったよ、見てわかる通り」
台所を指さす、色々なものが積み重なっている。後で片づけが大変だろうな。
「二人は邪魔でしたか?」
「いや、料理に慣れてないんだから仕方ないよ」
彼女達は普段から料理をする機会が無かったのだろう。途中で指示を出しても、そもそも道具の名前すらわかってないことが多々あった。
「はい、そうです、エルクも戦闘に慣れてないから、今日初めての戦闘で失敗したのは仕方ないです。それでも挑戦して成功させたのはとても偉い事です、少しはサラみたいに褒められたら喜ぶことを覚えるです」
あぁ、なるほどね。なんでリンが急に、あの二人を料理当番にさせたかわかったよ。
勝手に劣等感を感じて謙遜されるよりも、褒められたら喜ぶ方が、褒めた方も嬉しいに決まってる。
きっとそれを伝えたくて、こんなことをしたのだろう。
剣を持って向かい合えないのに、剣術が使える?
嘘くさい、まるで「ふっ、俺が本気出せば、町一つ潰すの余裕だが、めんどくさいからやってないぜ」ってレベルで嘘くさい。
だが嘘だと決めつけるのも良くないか。そうだ、なにか技をやってもらおう。確か地剣術の基本技で『瞬歩』と言ったっけ、それをやってもらえばわかる。
問題は「嘘っぽいので技やってください」は流石に失礼過ぎる、どうやって切り出すべきか。
「それじゃあ、何か技をやってみて」
アリアがバッサリいった! 多分誰もが思うけど、誰もが口には中々出せない事を。
彼も「ははっ、そうだね」と笑っている。もしかして同じような事を言われた事があるのかもしれない。
彼はその場から消えた、違う、『瞬歩』で一瞬のうちに移動して僕の後方に居た。
アリアは目で追えたようだが、僕には一瞬彼がブレたと思ったら、そのまま消えたようにしか見えなかった。
「素晴らしい足さばき、それだけ出来るなら剣士としては十分」
「うん、だけどさっき言った通り、向かい合う事が出来ないんだ」
その後、彼の話を聞く限りでは、彼の名はアルフ16歳、剣術の家庭に生まれたのだが、昔から3人の兄から”修行”と称して普段からイジメを受けており、敵意を持った相手に向かい合うと足がすくんで動けなくなると。
後継者争いに巻き込まれるのはごめんだ、と家を出たは良いが仕事が見つからず、冒険者になってみたがモンスター相手でもやはり足がすくみ、結局勇者になるしかなかったのだと。
「このままで、良いんですか?」
「一度ギルドの方に相談したことがあるのですが、もしパーティを抜けた場合、『一度そういった理由で抜けた場合、どちらに非があったとしても他のパーティが貴方を誘いたがらないと思いますが、それでも宜しいですか?』と言われました」
昨日父に聞いた話と一緒だ。変なタイミングで勇者に抜けられた場合、パーティも勇者も”曰く付き”になるから敬遠されると。
「なので、ジーンさん達がCランク辺りになって、俺が不要になるのを待つだけです、そうすれば他のパーティに自然に入れるので……」
時間が解決してくれる、消極的な話だ。
それじゃあ後回しにしていた、もう一つ疑問を聞いてみよう。
「ところで、ジーンさん達は依頼なのに別行動なのですか?」
「勇者必須の依頼以外は、基本的に俺以外の3人で行ってますね。参加してないので分け前は無しになるので、こうやって薬草採取依頼を受けて何とか凌いでますよ」
何とも酷い話だ、良い所だけ使って後はポイ。
立場が弱いから、それでも何も言えないのか。
何とかしてやろうにも、何も出来ず歯がゆい、アリアも何も言い出せずに無表情のままだ。
適当な雑談をしながら薬草採取を再開し、ほどなくしてアルフさんは籠が満タンになったので町へ帰って行った。
「おせっかいを焼くのは良いけど、自分から変わる気のない人間を相手にしても無駄よ」
サラが少し不機嫌そうに言う、どうもサラは『勝手に決める相手』『受け身な相手』には少々攻撃的になる所がある。機会があればちゃんと話しておきたいが、多分今話すと逆鱗に触れる気しかしない。
アリアを見ると何か言いたげだが、首を振って何も言わないようにさせた。
下手な事を言って地雷を踏めば、怒ったサラの小言でアリアが泣くか、サラの怒りの矛先が僕に向かうだけだ。どっちにしろ被害をこうむるのは僕だしね!
☆ ☆ ☆
日も沈みかけ、今日の晩御飯は何にしようかな? そんな事を考えながら町に帰る。
「今日はエルク、頑張ったです」
唐突にリンが僕を褒めだした、ゴブリン1匹倒して頑張ったと言われても。
確かに初めて倒した時は嬉しくて叫んじゃったけど、彼女達の実力と比べるとそんなのまだまだだ。
「皆の方が凄いよ。僕なんてサポートしてもらってやっと1匹だし……」
「という訳で、今日の料理当番はサラとアリアです」
そんなことないよ、と言う僕の発言はスルーされ、アリアとサラが料理当番をリンから命じられた。
もちろん二人は「はっ?」となるが、リンが強引に押し切る形になった。
☆ ☆ ☆
そして現在、テーブルに座って僕は神に祈っていた。
台所からは、料理をしているはずなのに、謎の打撃音等も聞こえてくる。
ドンガラガッシャン。うん知ってる、これテンプレだね。
30分後、台所は悲惨な事になっていた。この世の地獄と言わんばかりに。
鍋が焦げ臭い、火をつけっぱなしで焦げたのはまぁ理解できる、問題は中身だ! ピンク色の液体Xになっている、明らかにヤバイ匂いと煙が出ている。
もう一つの鍋は、煮込もうとしたのだろう。鍋に水がたっぷり入っており、その中に何故か牛肉が塊でぶち込まれている。
とりあえず液体Xは危険だ、どんな味がするかの興味は尽きないけど絶対にダメだ。多分一口でも取り返しのつかない事態になる、僕は急いで中身を庭に捨てた。
もう一つの鍋は、甘い、水が凄く甘い、砂糖を大量に入れたのかな?
「アリアが……塩と間違えて、砂糖を大匙一杯入れたのよ」
サラは鼻を真っ赤にして、涙目になりながら目線を逸らす。ちょっと可愛いと思ったけど問題はそこじゃない。
サラは大匙と言っているが、アリアが手に持っているのは明らかに『おたま』だ。大匙とおたまをそもそも勘違いしている。
となると、鍋の中にはおたま一杯砂糖を入れたことになる、これはちょっと厳しい。
よく見るとアリアも無表情だが、目に涙がたまっている。もう泣く寸前だ。
「それじゃ、後は頑張るです」
リンは僕の背中をポン、と叩いて台所から逃亡する。もう色んな意味でどうしようもないんだけど!?
僕も逃げ出したいが、アリアとサラが涙目で僕の裾を掴んでるから逃げ出せない。
「これ、何とかするから二人とも手伝ってくれる?」
脳内レシピでここからまともな料理が出来るか調べる、あったあった。
サラに頼んで、家庭用水魔法で軽く水を出してもらって手を洗い、そして鍋の中から牛肉を掴んで取り出す。
「アリア、牛肉を一口サイズに切ってから、沸騰したお湯でアクを取ってくれる?」
「うん」
意気込んで剣を抜こうとする彼女に、包丁とまな板を手渡す。
「サラはお湯の準備をしてあげて」
「はい」
すぐさま魔法で鍋の中に水を作り出し、すぐ沸騰するように魔法で火の火力を上げている。見ていて凄く便利そうだった、正直羨ましい。
だが彼女に見とれているわけにもいかない、砂糖水の鍋の中に酒、ミリン、ショーユ、を入れて、アリアの牛肉のアクが取れるのを待つ。
ある程度アクが取れた牛肉を綺麗に水で洗い、砂糖水の鍋に適当なサイズで切ったダイコン、ニンジン等の野菜とコンニャクを一緒に入れて煮込む、5分程煮込んだらミソを入れて更に煮込む。
「ドテの完成だ」
ドテは大量に砂糖を使う、見ていて引く位に砂糖を投入するのだ。
なので今回は、そんなレベルで砂糖をぶち込んでしまった鍋を、逆に利用してドテを作ってみた。砂糖漬けの牛肉は普通に調理するのも難しいしね。
とりあえず一口試食してみる、ちょっと砂糖が多すぎた気がするけど、気にはならないレベルだ。
「大丈夫、美味しくできたよ」
「本当に?」
「うん、本当だよ」
サラは素直に喜んでくれた、先ほどまで泣きそうだったのがウソみたいだ。
アリアは僕の裾を掴んで無表情だが、多分サラと同じく喜んでいるんだろう。と思ったらお腹から音を出しながらヨダレが出てる、反省しようよ。
そんな彼女に対し、僕は半眼で何か言いたげな視線を送る。
「私たちに料理をさせたのが、悪い」
確かに。
☆ ☆ ☆
夕飯の最中、サラはしきりに「これ私が手伝ったのよ」と自慢げに話していた。何というか娘と一緒に料理をしたらこんな感じなんだろうなぁ、とちょっとほっこりした。
父は酒を片手に、上機嫌だ。ドテを作る事は少ないが、作るといつも父は酒を飲む。
父曰く「これで酒を一緒に飲まないのは損だ、商人として損は見過ごせない」とか。
リンが僕の元にやってきてニヤニヤ笑っている、何というかイタズラが成功したような笑顔だ。
「サラとアリアと一緒に料理は、どうでしたか?」
「大変だったよ、見てわかる通り」
台所を指さす、色々なものが積み重なっている。後で片づけが大変だろうな。
「二人は邪魔でしたか?」
「いや、料理に慣れてないんだから仕方ないよ」
彼女達は普段から料理をする機会が無かったのだろう。途中で指示を出しても、そもそも道具の名前すらわかってないことが多々あった。
「はい、そうです、エルクも戦闘に慣れてないから、今日初めての戦闘で失敗したのは仕方ないです。それでも挑戦して成功させたのはとても偉い事です、少しはサラみたいに褒められたら喜ぶことを覚えるです」
あぁ、なるほどね。なんでリンが急に、あの二人を料理当番にさせたかわかったよ。
勝手に劣等感を感じて謙遜されるよりも、褒められたら喜ぶ方が、褒めた方も嬉しいに決まってる。
きっとそれを伝えたくて、こんなことをしたのだろう。
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