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第7章「旅の終わり」
第20話「目が覚めて」
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目が覚めると、見知らぬ天井が目に入った。
「ここは?」
上半身を起こし、辺りを見渡すが広い部屋に僕しかいないようだ。窓の外を見ると外は明るい、まだ朝か昼のようだ。状況整理をしてみる。
確か僕らはサラのお父さん、ティラさんの処刑を止めるために戦って……。
そうだ、思い出した。父さん達が助けに来てくれたんだ。父さん達が元Bランク冒険者達を倒すと、残った兵士たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出して、それで安心して僕は『混沌』を解除して……そこからは記憶がない、多分限界を超えて発動させた代償で倒れたのだろう。
自分の体を見下ろす。純白の真っ白なシーツにふかふかのベッド。もう一度横たわって眠りたくなるほどの気持ちよさ、今までの安宿のベッドとは大違いだ。
服装も、着慣れた普段着ではなく、少し高そうな寝巻を着せられていた。もしかして僕が寝てる間に脱がせてあんなことやこんなことを!
なわけないか。体を見るが枷をかけられているわけでもないし、どうやら倒れた後に捕まったというわけでは無さそうだ。
「よっと」
起き上がり、ベットから出て部屋の中を一通り見渡してみる。色々と見てみたけど、豪華な調度品があるくらいしかわからなかった。
(さてと、どうしようか)
このままここで突っ立っていても仕方がない。部屋を出てみるか。
誰かに見つかったとしても、多分大丈夫だろう。客人かそれに近い扱いだと思うし。
アリア達や父がどうなったかも気になる。僕はドアに手をかけた。
「あっ……」
「ん?」
ドアを開けると、ドアの横には兵士が二人立っていた。
ドアを開けたことにより、こちらに気づき、目が合った。
「うわぁああああああああ」
声を上げ、慌てて後ろに飛びのき、『混沌』を発動させる。
安全だと緩んでいたら、兵士が居るってどういうことだよ。
どうする? 武器……は元々使えないから、あってもなくてもどっちでも良いや。
そうだ。窓があった! 窓から逃げれば……。
いや、待てよ。ここに僕が寝かされていて、兵士が居るということは、アリア達がここで捕まっている可能性もある。
となると、逃げるよりも救出するべきじゃないだろうか?
兵士二人がドカドカと部屋に入ってきた。
どうする? 逃げるべきか? 戦うべきか?
「お、落ち着くんだマッシュ君!」
マッシュって誰だよ!?
ん? いや、聞き覚えがある気がする。
「我々は敵ではない。キミに害意を与えるつもりもない」
そういって兵士は両手を軽く上げ、降参のポーズを取っている。
「あっ……」
彼の顔に見覚えがあった、確か……。
「ゲイルさん、ですか?」
「あぁ、そうだ」
僕の問いに、温和な笑みで、ゆっくり頷く。
「我々はキミに害意を与えるつもりはない。信じてもらえるか?」
黙って、僕の目をじっと見たまま、ゲイルさんは微動だにしない。下手に動いて僕を刺激しないようにしてくれているのだろう。
確かに彼らが敵なら、こんな所で寝ていられるわけがないか。僕は『混沌』を解除する。
「……分かりました」
「助かる」
ほっとした顔で、ゲイルさんは両手を下した。
しかし、なら何故ここに? というかそもそもここはどこだ?
「あの、状況を教えていていただいても宜しいでしょうか?」
「そうだな。教えても良いのだが、俺はマッシュ君の見張りをする以上の情報は与えられていない」
「そうですか」
「なので、事情が分かる人物。キミの御父上を呼んで来よう」
ゲイルさんが「おい」と声をかけると、もう一人の兵士が「分かりました」と言って走っていった。
父もここに居るのか。
「そうだ。アリア達……僕の仲間は」
「大丈夫だ。彼女たちも無事だから安心してくれ」
アリア達も無事なのか。
安堵した僕は、ほっと一息ついた。
「あぁ、そうだ。それとこれを」
「これは?」
差し出されたものを慌てて受け取る。僕の手の上には4ゴルドのお金が置かれている。
何のお金だろ? 聞き返そうとすると、遠くからドタバタと足音がいくつか近づいてくるのが聞こえてきた。
「エルク!?」
「父さん!」
慌てた様子で部屋に入ってきた父さん。それにチャラい職員さんと屈強な職員さんも一緒だ。
「そうだ。どうして父さんがここに」
「どうしてはこっちのセリフだ!」
「えっ、あっ。ごめんなさい」
父さんの怒声に、思わず謝った。
「あぁ、すまない。別に怒っているわけじゃないんだ」
頭を下げた僕に、父さんは慌てて謝る。怒っているわけではないけど、取り乱しているようだ。
そんな父さんの様子をやれやれと言った表情で職員さん2人が見ている。そもそも彼らと父さんの関係は何なんだろうか?
聞きたいことが増えていく一方だ。
「積もる話も色々あるだろう。邪魔にならないように俺は部屋の外で待機させてもらう」
ゲイルさんはそのままスタスタと部屋外へ。
「それと領主様を助け出してくれた事、感謝する」
最後にそう言って、静かにドアを閉めた。
「ふむ。ところでエルク、彼はお前の友人だと言っていたが、なぜマッシュと呼ぶんだ?」
「えっと……」
賄賂を払って領主様に会わせてくれた隊長さんです。なんてストレートに言うわけにはいかないよな。
そこら辺もおいおい話していくとしよう。
「ん?」
「どうした?」
「いえ、何でもないです」
賄賂、そうか。さっき僕に手渡した4ゴルド。これは僕が彼とその部下に渡した”友達料”だ。
それを僕に返却した上で「友人」だと名乗ってくれていたのか……。
「父さん、ごめん。話をする前にちょっと良いかな?」
「あぁ、構わんよ」
「じゃあちょっと待ってて」
僕はドアの前まで行き、扉を開ける。
僕に気づいたゲイルさんが声をかけてきた。
「あの、ゲイルさん。僕の名前はエルク。エルク=ファーミリアです」
「そうか。エルクと言うのか」
「えっと。それだけです」
「あぁ、わかった」
ドアを閉めた。
急に名前を名乗って「なんだこいつ?」と思われたかもしれない。
でも、”友達料”を返した上で友人だと言ってくれるゲイルさんに対し、偽名のままでは不義理だと感じた。
だから名前を伝えたかった。
父さんの前に、立つ。
僕を見て、穏やかな顔で父が頷く。
「そうだな。色々話すことはあるが、とりあえず領主のティラさん、それと仲間達は全員無事だ」
アリア達だけじゃなく、ティラさんも無事だったのか。
「それで、どうしてこうなったのか詳しく聞かせてもらって良いか?」
「うん」
とは言え、どこから話せば良いかな?
父さんと話したいことも聞きたいこともいっぱいあった。
いっそ街を出たところから全部話そう。時間は十分あるのだから。
「ここは?」
上半身を起こし、辺りを見渡すが広い部屋に僕しかいないようだ。窓の外を見ると外は明るい、まだ朝か昼のようだ。状況整理をしてみる。
確か僕らはサラのお父さん、ティラさんの処刑を止めるために戦って……。
そうだ、思い出した。父さん達が助けに来てくれたんだ。父さん達が元Bランク冒険者達を倒すと、残った兵士たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出して、それで安心して僕は『混沌』を解除して……そこからは記憶がない、多分限界を超えて発動させた代償で倒れたのだろう。
自分の体を見下ろす。純白の真っ白なシーツにふかふかのベッド。もう一度横たわって眠りたくなるほどの気持ちよさ、今までの安宿のベッドとは大違いだ。
服装も、着慣れた普段着ではなく、少し高そうな寝巻を着せられていた。もしかして僕が寝てる間に脱がせてあんなことやこんなことを!
なわけないか。体を見るが枷をかけられているわけでもないし、どうやら倒れた後に捕まったというわけでは無さそうだ。
「よっと」
起き上がり、ベットから出て部屋の中を一通り見渡してみる。色々と見てみたけど、豪華な調度品があるくらいしかわからなかった。
(さてと、どうしようか)
このままここで突っ立っていても仕方がない。部屋を出てみるか。
誰かに見つかったとしても、多分大丈夫だろう。客人かそれに近い扱いだと思うし。
アリア達や父がどうなったかも気になる。僕はドアに手をかけた。
「あっ……」
「ん?」
ドアを開けると、ドアの横には兵士が二人立っていた。
ドアを開けたことにより、こちらに気づき、目が合った。
「うわぁああああああああ」
声を上げ、慌てて後ろに飛びのき、『混沌』を発動させる。
安全だと緩んでいたら、兵士が居るってどういうことだよ。
どうする? 武器……は元々使えないから、あってもなくてもどっちでも良いや。
そうだ。窓があった! 窓から逃げれば……。
いや、待てよ。ここに僕が寝かされていて、兵士が居るということは、アリア達がここで捕まっている可能性もある。
となると、逃げるよりも救出するべきじゃないだろうか?
兵士二人がドカドカと部屋に入ってきた。
どうする? 逃げるべきか? 戦うべきか?
「お、落ち着くんだマッシュ君!」
マッシュって誰だよ!?
ん? いや、聞き覚えがある気がする。
「我々は敵ではない。キミに害意を与えるつもりもない」
そういって兵士は両手を軽く上げ、降参のポーズを取っている。
「あっ……」
彼の顔に見覚えがあった、確か……。
「ゲイルさん、ですか?」
「あぁ、そうだ」
僕の問いに、温和な笑みで、ゆっくり頷く。
「我々はキミに害意を与えるつもりはない。信じてもらえるか?」
黙って、僕の目をじっと見たまま、ゲイルさんは微動だにしない。下手に動いて僕を刺激しないようにしてくれているのだろう。
確かに彼らが敵なら、こんな所で寝ていられるわけがないか。僕は『混沌』を解除する。
「……分かりました」
「助かる」
ほっとした顔で、ゲイルさんは両手を下した。
しかし、なら何故ここに? というかそもそもここはどこだ?
「あの、状況を教えていていただいても宜しいでしょうか?」
「そうだな。教えても良いのだが、俺はマッシュ君の見張りをする以上の情報は与えられていない」
「そうですか」
「なので、事情が分かる人物。キミの御父上を呼んで来よう」
ゲイルさんが「おい」と声をかけると、もう一人の兵士が「分かりました」と言って走っていった。
父もここに居るのか。
「そうだ。アリア達……僕の仲間は」
「大丈夫だ。彼女たちも無事だから安心してくれ」
アリア達も無事なのか。
安堵した僕は、ほっと一息ついた。
「あぁ、そうだ。それとこれを」
「これは?」
差し出されたものを慌てて受け取る。僕の手の上には4ゴルドのお金が置かれている。
何のお金だろ? 聞き返そうとすると、遠くからドタバタと足音がいくつか近づいてくるのが聞こえてきた。
「エルク!?」
「父さん!」
慌てた様子で部屋に入ってきた父さん。それにチャラい職員さんと屈強な職員さんも一緒だ。
「そうだ。どうして父さんがここに」
「どうしてはこっちのセリフだ!」
「えっ、あっ。ごめんなさい」
父さんの怒声に、思わず謝った。
「あぁ、すまない。別に怒っているわけじゃないんだ」
頭を下げた僕に、父さんは慌てて謝る。怒っているわけではないけど、取り乱しているようだ。
そんな父さんの様子をやれやれと言った表情で職員さん2人が見ている。そもそも彼らと父さんの関係は何なんだろうか?
聞きたいことが増えていく一方だ。
「積もる話も色々あるだろう。邪魔にならないように俺は部屋の外で待機させてもらう」
ゲイルさんはそのままスタスタと部屋外へ。
「それと領主様を助け出してくれた事、感謝する」
最後にそう言って、静かにドアを閉めた。
「ふむ。ところでエルク、彼はお前の友人だと言っていたが、なぜマッシュと呼ぶんだ?」
「えっと……」
賄賂を払って領主様に会わせてくれた隊長さんです。なんてストレートに言うわけにはいかないよな。
そこら辺もおいおい話していくとしよう。
「ん?」
「どうした?」
「いえ、何でもないです」
賄賂、そうか。さっき僕に手渡した4ゴルド。これは僕が彼とその部下に渡した”友達料”だ。
それを僕に返却した上で「友人」だと名乗ってくれていたのか……。
「父さん、ごめん。話をする前にちょっと良いかな?」
「あぁ、構わんよ」
「じゃあちょっと待ってて」
僕はドアの前まで行き、扉を開ける。
僕に気づいたゲイルさんが声をかけてきた。
「あの、ゲイルさん。僕の名前はエルク。エルク=ファーミリアです」
「そうか。エルクと言うのか」
「えっと。それだけです」
「あぁ、わかった」
ドアを閉めた。
急に名前を名乗って「なんだこいつ?」と思われたかもしれない。
でも、”友達料”を返した上で友人だと言ってくれるゲイルさんに対し、偽名のままでは不義理だと感じた。
だから名前を伝えたかった。
父さんの前に、立つ。
僕を見て、穏やかな顔で父が頷く。
「そうだな。色々話すことはあるが、とりあえず領主のティラさん、それと仲間達は全員無事だ」
アリア達だけじゃなく、ティラさんも無事だったのか。
「それで、どうしてこうなったのか詳しく聞かせてもらって良いか?」
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