12 / 49
12.平凡令嬢、協力の手筈を整える。
しおりを挟む
「我々はジュリアン様の命令で、イーリス国にいる大商人の商会に協力を要請に来ました。もし断ったり渋るようなら『死神の鎌』と分かるように派手に殺すようにと承っております」
「ちょ、ちょい待ったれや自分!」
口を挟んだのは恰幅の良い男性でした。
「アンタら、ヴェラ王国のジュリアン様の使いなんやろ? 死神の鎌の名前なら知っとる。せやけど、もし本当モンのお抱えの暗殺者なら、バレるように殺すとかおかしいやろが!」
恰幅の良い男性の言う通りです。もし彼らが本当に国のお抱えする暗殺者だというのなら、その存在は国家機密に相当します。
もし暗殺者を雇っていることが周囲に知れ渡れば、どんな濡れ衣を被せられるのか分かったものではありません。
誰かの不都合になる人間が亡くなった際に、容易に責任を押し付けることが出来るのですから。
なので建前上では、暗殺者などは居なく、またそれを雇っている者も居ない。そうなっています。
だというのに、彼らは自らの存在を主張し、あまつさえ誇示するように殺すと言っているのです。
普通に考えれば愚策もいい所です。国家転覆を狙うにしても、もっとマシな嘘がいくらでもありましょう。
あまりにも嘘くさ過ぎて、本来なら笑ってしまうくらいです。
しかし、リカルド様は彼らの事を「死神の鎌」か確認し、彼らはそれに肯定の返事をしました。
それは、彼らが国に雇われた暗殺者だと自白しているようなものです。
「はい。それについてはローレンス殿の言う通りでございます」
「そこで肯定するんかいなッ! 言い訳の一つくらいしなさい!」
私はこっそりリカルド様に耳打ちをします。
「あの……。あのお方は、何が楽しいのでしょうか?」
あのお方というのは、恰幅の良い男性で、ローレンスと呼ばれた男性の事です。
先ほどからコミカルな話し方をしているせいで、今一つ空気が読めません。
「そこの姉ちゃん、聞こえ取るわ! これははしゃいどるんちゃうで! この国の方言や! 覚えときぃ!」
「も……申し訳ありません」
「まぁええわ。それで、オタクらの目的はなんなん? そないな雑な暗殺頼まれてきたんちゃうやろ?」
「いえ、ですから先ほど述べた通りです。今のジュリアン様には、それがどれだけ危険な事か理解出来ておりませぬ」
「はー、ほんまつっかえ!」
呆れた様子のローレンス様を無視するように、白マスクはリカルド様に話を続けます。
「頭領はジュリアン様に考え直していただくように申し立て、それを理由に殺されました」
「兄はそこまで愚かな事を!?」
「はい。国を想い、全ては国の未来の為を信じてやってきたつもりですが、所詮我々は死神ではなく鎌。ただの道具でしかないのだと思い知らされました」
終始抑揚のない声ではありましたが、それでも彼らの悔しさが伝わってきます。
彼らの話を聞き、一呼吸おいてリカルド様は言いました。
「……わかった。お前たちの首は私が預かる。これからはヴェラ王国の為に私に仕え、もし間違ったと道を歩んでると思った場合は、私を暗殺するが良い」
その場に居た全員が、驚きの声を上げました。
「それと、ローレンス殿、出来れば各国の有力な方々と協力を仰ぐための会合を行いたいのですが、場を設けてもらうことは出来ますか?」
「アホかお前……」
ローレンス様は静かな声で言いました。
先ほどとは打って変わった様子です。怒りが一周して冷静になってしまったような感じでしょうか?
「ワイら警護の連中とか殺されてんねんで? しかも家の中はめちゃくちゃや。これだけで賠償どれだけいくねん。それをチャラにしろと言うんか?」
「ローレンス殿……貴殿は先ほど助けてくれたら報酬は払うと言いましたよね?」
「言うてお前も皇族やろッ!? 身内の不始末やろッ!?」
「誰でも構わないとも言いましたよね?」
「うっ……ぐぬぬ……」
お二人の様子を見ているだけで、こちらが胃が痛くなりそうです。
マルク様は頭を押さえ、深いため息を吐いておられます。それもそうでしょう。
この状況では、私たちがけしかけたと疑われても仕方がないほどです。
なのに、リカルド様は今にも食って掛かりそうな勢いのローレンス様を前に、涼しい笑顔というか、悪戯が成功した子供のように笑っておられます。
どう見ても一触即発な状況です。なんならそれを理由に、ローレンス様を切り捨てて口封じでも考えているのではないかという不気味さまで感じます。
「わかった! もうええわ! 商人連中にはワイが声かけたるやさかい。お前は宗教国テミスまで行って、大司教のウェンディを連れて来い」
「あの、我々は……?」
「お前らは部屋の掃除や。リカルド様が戻るまでタダ働きや。ええな?」
「というわけなので、ローレンス殿の指示に従って死神の鎌はお掃除をお願いします。お掃除も得意でしたよね?」
「は、はぁ……」
リカルド様以外が戸惑いを見せる中、ローレンス様が指示を出していきます。
「協力言いますけど、要はジュリアン様から、国を奪い返すっちゅう事でええんやな?」
それは、リカルド様が国に反旗を翻すかどうかの確認です。
「あぁ、そうだ」
その問いに、リカルド様は静かに答えました。
「ならええわ。それと言っとくけど、これで貸し借りはチャラやで」
話は何とかまとまったようです。
私はほっと一息ついてから、胸をなでおろしました。
「ちょ、ちょい待ったれや自分!」
口を挟んだのは恰幅の良い男性でした。
「アンタら、ヴェラ王国のジュリアン様の使いなんやろ? 死神の鎌の名前なら知っとる。せやけど、もし本当モンのお抱えの暗殺者なら、バレるように殺すとかおかしいやろが!」
恰幅の良い男性の言う通りです。もし彼らが本当に国のお抱えする暗殺者だというのなら、その存在は国家機密に相当します。
もし暗殺者を雇っていることが周囲に知れ渡れば、どんな濡れ衣を被せられるのか分かったものではありません。
誰かの不都合になる人間が亡くなった際に、容易に責任を押し付けることが出来るのですから。
なので建前上では、暗殺者などは居なく、またそれを雇っている者も居ない。そうなっています。
だというのに、彼らは自らの存在を主張し、あまつさえ誇示するように殺すと言っているのです。
普通に考えれば愚策もいい所です。国家転覆を狙うにしても、もっとマシな嘘がいくらでもありましょう。
あまりにも嘘くさ過ぎて、本来なら笑ってしまうくらいです。
しかし、リカルド様は彼らの事を「死神の鎌」か確認し、彼らはそれに肯定の返事をしました。
それは、彼らが国に雇われた暗殺者だと自白しているようなものです。
「はい。それについてはローレンス殿の言う通りでございます」
「そこで肯定するんかいなッ! 言い訳の一つくらいしなさい!」
私はこっそりリカルド様に耳打ちをします。
「あの……。あのお方は、何が楽しいのでしょうか?」
あのお方というのは、恰幅の良い男性で、ローレンスと呼ばれた男性の事です。
先ほどからコミカルな話し方をしているせいで、今一つ空気が読めません。
「そこの姉ちゃん、聞こえ取るわ! これははしゃいどるんちゃうで! この国の方言や! 覚えときぃ!」
「も……申し訳ありません」
「まぁええわ。それで、オタクらの目的はなんなん? そないな雑な暗殺頼まれてきたんちゃうやろ?」
「いえ、ですから先ほど述べた通りです。今のジュリアン様には、それがどれだけ危険な事か理解出来ておりませぬ」
「はー、ほんまつっかえ!」
呆れた様子のローレンス様を無視するように、白マスクはリカルド様に話を続けます。
「頭領はジュリアン様に考え直していただくように申し立て、それを理由に殺されました」
「兄はそこまで愚かな事を!?」
「はい。国を想い、全ては国の未来の為を信じてやってきたつもりですが、所詮我々は死神ではなく鎌。ただの道具でしかないのだと思い知らされました」
終始抑揚のない声ではありましたが、それでも彼らの悔しさが伝わってきます。
彼らの話を聞き、一呼吸おいてリカルド様は言いました。
「……わかった。お前たちの首は私が預かる。これからはヴェラ王国の為に私に仕え、もし間違ったと道を歩んでると思った場合は、私を暗殺するが良い」
その場に居た全員が、驚きの声を上げました。
「それと、ローレンス殿、出来れば各国の有力な方々と協力を仰ぐための会合を行いたいのですが、場を設けてもらうことは出来ますか?」
「アホかお前……」
ローレンス様は静かな声で言いました。
先ほどとは打って変わった様子です。怒りが一周して冷静になってしまったような感じでしょうか?
「ワイら警護の連中とか殺されてんねんで? しかも家の中はめちゃくちゃや。これだけで賠償どれだけいくねん。それをチャラにしろと言うんか?」
「ローレンス殿……貴殿は先ほど助けてくれたら報酬は払うと言いましたよね?」
「言うてお前も皇族やろッ!? 身内の不始末やろッ!?」
「誰でも構わないとも言いましたよね?」
「うっ……ぐぬぬ……」
お二人の様子を見ているだけで、こちらが胃が痛くなりそうです。
マルク様は頭を押さえ、深いため息を吐いておられます。それもそうでしょう。
この状況では、私たちがけしかけたと疑われても仕方がないほどです。
なのに、リカルド様は今にも食って掛かりそうな勢いのローレンス様を前に、涼しい笑顔というか、悪戯が成功した子供のように笑っておられます。
どう見ても一触即発な状況です。なんならそれを理由に、ローレンス様を切り捨てて口封じでも考えているのではないかという不気味さまで感じます。
「わかった! もうええわ! 商人連中にはワイが声かけたるやさかい。お前は宗教国テミスまで行って、大司教のウェンディを連れて来い」
「あの、我々は……?」
「お前らは部屋の掃除や。リカルド様が戻るまでタダ働きや。ええな?」
「というわけなので、ローレンス殿の指示に従って死神の鎌はお掃除をお願いします。お掃除も得意でしたよね?」
「は、はぁ……」
リカルド様以外が戸惑いを見せる中、ローレンス様が指示を出していきます。
「協力言いますけど、要はジュリアン様から、国を奪い返すっちゅう事でええんやな?」
それは、リカルド様が国に反旗を翻すかどうかの確認です。
「あぁ、そうだ」
その問いに、リカルド様は静かに答えました。
「ならええわ。それと言っとくけど、これで貸し借りはチャラやで」
話は何とかまとまったようです。
私はほっと一息ついてから、胸をなでおろしました。
87
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので、慰謝料で「国」を買うことにしました。~知識ゼロの私ですが、謎の魔導書(AI)に従ったら、いつの間にか王家のオーナーに~
ジョウジ
ファンタジー
「セレスティア、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーで王子に断罪された公爵令嬢セレスティア。
慰謝料も貰えず、腹いせに立ち寄った古道具屋のワゴンセール。 そこでたった銅貨数枚(100円)で買った「黒い手鏡(スマホ)」を起動した瞬間、運命が変わる。
『警告。3年後の国家破綻およびマスターの処刑確率は99.9%です』 「はあ!? 死ぬのは嫌! それに、戦争が起きたら推し(アルド様)が死んじゃうじゃない!」
知識ゼロ、あるのは魔力と行動力、そして推しへの愛だけ。 パニックになった彼女は、スマホに宿るAI(ジェミニ)の極悪な経済作戦を、自分に都合よく「超訳」して実行に移す。
「敵対的買収……? 要するに、お店の借金を肩代わりして『オーナー』になれば、商品は全部タダ(私のもの)ってことね!?」
これは、内心ガクブルの悪役令嬢が、AIの指示を「素敵なお買い物」と勘違いしたまま国を経済支配し、 結果的に「慈悲深い聖女」「経営の天才」と崇められていく、痛快・勘違い無双コメディ!
※全10話の短期集中連載です。お正月のお供にどうぞ!
※テンポを重視してダイジェスト10話版となります。反響があれば長編の執筆を開始します!
※本作は、物語の構想・執筆補助にAI技術を活用し制作されました。
※小説家になろう・カクヨムにも投稿
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。
鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。
さらに、偽聖女と決めつけられる始末。
しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!?
他サイトにも重複掲載中です。
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
《完結》国を追放された【聖女】は、隣国で天才【錬金術師】として暮らしていくようです
黄舞
恋愛
精霊に愛された少女は聖女として崇められる。私の住む国で古くからある習わしだ。
驚いたことに私も聖女だと、村の皆の期待を背に王都マーベラに迎えられた。
それなのに……。
「この者が聖女なはずはない! 穢らわしい!」
私よりも何年も前から聖女として称えられているローザ様の一言で、私は国を追放されることになってしまった。
「もし良かったら同行してくれないか?」
隣国に向かう途中で命を救ったやり手の商人アベルに色々と助けてもらうことに。
その隣国では精霊の力を利用する技術を使う者は【錬金術師】と呼ばれていて……。
第五元素エーテルの精霊に愛された私は、生まれた国を追放されたけれど、隣国で天才錬金術師として暮らしていくようです!!
この物語は、国を追放された聖女と、助けたやり手商人との恋愛話です。
追放ものなので、最初の方で3話毎にざまぁ描写があります。
薬の効果を示すためにたまに人が怪我をしますがグロ描写はありません。
作者が化学好きなので、少し趣味が出ますがファンタジー風味を壊すことは無いように気を使っています。
他サイトでも投稿しています。
噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜
秘密 (秘翠ミツキ)
ファンタジー
*『ねぇ、姉さん。姉さんの心臓を僕に頂戴』
◆◆◆
*『お姉様って、本当に醜いわ』
幼い頃、妹を庇い代わりに呪いを受けたフィオナだがその妹にすら蔑まれて……。
◆◆◆
侯爵令嬢であるフィオナは、幼い頃妹を庇い魔女の呪いなるものをその身に受けた。美しかった顔は、その半分以上を覆う程のアザが出来て醜い顔に変わった。家族や周囲から醜女と呼ばれ、庇った妹にすら「お姉様って、本当に醜いわね」と嘲笑われ、母からはみっともないからと仮面をつける様に言われる。
こんな顔じゃ結婚は望めないと、フィオナは一人で生きれる様にひたすらに勉学に励む。白塗りで赤く塗られた唇が一際目立つ仮面を被り、白い目を向けられながらも学院に通う日々。
そんな中、ある青年と知り合い恋に落ちて婚約まで結ぶが……フィオナの素顔を見た彼は「ごめん、やっぱり無理だ……」そう言って婚約破棄をし去って行った。
それから社交界ではフィオナの素顔で話題は持ちきりになり、仮面の下を見たいが為だけに次から次へと婚約を申し込む者達が後を経たない。そして仮面の下を見た男達は直ぐに婚約破棄をし去って行く。それが今社交界での流行りであり、暇な貴族達の遊びだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる