37 / 89
第1章 街
第035話 誠実な男
しおりを挟む
窓から朝日が差し込み、小鳥の囀りが聞こえる。
幼馴染の少女は無防備な寝顔を晒している。
長く黒い髪に白い肌、綺麗なうなじが見え隠れしている。
寝顔は天使。まさしくそれだと思う。一体、誰が言い出した言葉なんだろうか。
可愛いと綺麗。その丁度中間といえばしっくりくる。
僕は今、そんな少女に抱き枕にされている状態だ。
寝覚めが近いのか、彼女が寝返りをうつ。ようやく解放された。
僕は逃げるようにゆっくりと身体を起こす。
二度目の朝チュン。
前回は速攻で気絶させられ、目が覚めても全く動けないという最悪の気分だった。
今回は今回で、ある意味最悪だった。何せ一睡もしてない。
年頃の女の子に抱きつかれて、脚を絡められて、胸を押し付けられて、スヤスヤと眠れるわけねーだろ!
彼女がモゾモゾと動くたび、理性が飛びそうだった。
“変な事をしない”という約束を、忠実に一晩守った自分自身を褒めてあげたい。
僕は誠実な男だ。
……もしかして不能なのか?
いやいや、息子さんは一晩中ずっと元気ですよ。ホント。
この生殺しのような状況、流石に自室に戻って“処理”をしてたい。
そのあと一眠りしたい。
昼まで寝てても、誰も僕を責めないはずだ。
彼女を起こさないよう、ゆっくりベッドを降りる。
忍び足でコソコソと動き、静かに扉を開けて部屋を出た。
「キャ!」
「ん?」
扉の前には、何故か女性がいた。
優しい表情、ゆったりとしたローブ、長い赤髪をした女性。
セイナだった。
「おはようございます。こちらの部屋がジンの部屋でしたか。 ではこの右隣がカヨの部屋ですね」
僕の頭はフリーズした。
「んー?」
間の悪い事に、後ろでカヨが目を覚す。その声にピクッと反応したセイナ。
展開、ベタ過ぎない?
セイナは扉の奥を覗き見る。
彼女は口元を押さえてニッコリと笑った。
そして僕の股間もチラリと見る。
「あらあら。あらあらあら。そんな、シングルベッドでご一緒なんて⋯⋯失礼しました」
彼女はくるりと振り返り、立ち去ろうとしていた。
「待てセイナ!」
ガシっと肩を掴んだ。
ここで逃してはまずい。
誤解を解かないと。
いや、そもそも誤解? 誤解なのか?
一晩同じベッドで寝ていたのは事実だ。
一切、行為を及んでいない。
あー……いやそんな話を信じられる訳ないですよねー?
「ジン、迫る相手を間違えてますよ」
セイナはふふーんと笑いながら僕の手を払いのけた。
「待て、話を聞け」
あまりの慌てように僕の敬語が崩れる。
「カヨは僕の部屋の左隣だ! あの閉まってる扉からカヨが出てくる!」
何を言ってるんだ僕は。イリュージョンかよ!
自分に突っ込みたくなった。
「何を言ってるんですか。カヨはあなたのベッドで寝ていたでしょう?」
「いいや、違うね。ちょっと待ってろよ!」
僕はダッシュで部屋に戻り、鍵を締める。
ベッドの上には寝ぼけたカヨがいた。
「ジンがなんで私の部屋に……あっ!……ああ……!」
彼女は彼女で、段々と昨晩の事を思い出してきたようで目が泳いでいる。
だがそんなのは知った事か、今はそれどころでは無い。
僕はしーっと人差し指を立て、小声で話す。
「カヨ!緊急事態だ、僕がこの部屋から出るところをセイナに見られた! 壁を抜けて僕の部屋から出てきてくれ! 頼む」
「え? え? どういう事?」
「頼む!」
寝起きにこの情報量。 彼女は事態を把握していない。
ーーコンコン
左隣の部屋⋯⋯つまり僕の部屋をノックする音が聞こえた。
「カヨ、起きてますか? ジンにこの部屋だと聞きました」
セイナの大きな声が聞こえる
「おかしいですね⋯⋯もしかして、他の部屋で寝てるのですか? 誰かと寝てるのですか!?」
あ、朝っぱらから何を口走ってやがるあのアマァァ!
カヨは焦りながら魔法を唱えた。
「な、な……!!ーークアンタマイズ!」
彼女は壁を抜けて僕の部屋にダイナミックエントリーしていった。
よし、これで何とかなる。
「セイナァ!」
僕は部屋から飛び出た。
「セェイナァァァ!!」
カヨも隣の部屋から飛び出る。僕よりも気合が入っている。
「あ、あれ? どうして隣の部屋から?」
予想と違う展開に驚きを隠せないセイナ。
「私が誰と寝てるって!?」
「いえ、ジンと同じ部屋で寝てるのかな?と」
「見ての通り、隣の部屋で寝てたわよ!」
セイナはため息をついて残念そうに頭を振った。
「はぁ⋯⋯なんだ、私の見間違いでしたか」
「ええ、そうよ!」
まあ、見間違いじゃないんだけどね。
「それでこんな朝から何の用かしら?」
凄い迫力でセイナに迫るカヨ。
「え、延期になってた北壁の迷宮ですが、明日行きませんか?という相談です」
カヨは荒い鼻息を少しずつ収めていき、対応する。
「ふー……分かったわ。ジンもいいわね?」
「ああ、体も装備も問題ないよ」
セイナは今までの事をごまかすかのように笑顔で対応した。
「では午後2時にギルドで打ち合わせをやりますから、来てくださいね」
セイナはこちらをチラチラと見ながら、何か言いたげに去っていった。
廊下に残される僕とカヨ。セイナという嵐が去り、安堵する。
「……」
「……」
ゆっくりと横を見ると、彼女と目が合ってしまった。
「……」
「……」
沈黙が流れ、カヨの顔が赤くなっていく。僕も色々思い出してきた。ちょっと直視できない。
そう言えば死ぬほど恥ずかしいから、ほっといて欲しいって言ってたな。栗栖ジンは約束を守る男だ。
よし、ほっとこう。
何も言わず……いや、何も言えず、そそくさと僕は部屋に戻った。
幼馴染の少女は無防備な寝顔を晒している。
長く黒い髪に白い肌、綺麗なうなじが見え隠れしている。
寝顔は天使。まさしくそれだと思う。一体、誰が言い出した言葉なんだろうか。
可愛いと綺麗。その丁度中間といえばしっくりくる。
僕は今、そんな少女に抱き枕にされている状態だ。
寝覚めが近いのか、彼女が寝返りをうつ。ようやく解放された。
僕は逃げるようにゆっくりと身体を起こす。
二度目の朝チュン。
前回は速攻で気絶させられ、目が覚めても全く動けないという最悪の気分だった。
今回は今回で、ある意味最悪だった。何せ一睡もしてない。
年頃の女の子に抱きつかれて、脚を絡められて、胸を押し付けられて、スヤスヤと眠れるわけねーだろ!
彼女がモゾモゾと動くたび、理性が飛びそうだった。
“変な事をしない”という約束を、忠実に一晩守った自分自身を褒めてあげたい。
僕は誠実な男だ。
……もしかして不能なのか?
いやいや、息子さんは一晩中ずっと元気ですよ。ホント。
この生殺しのような状況、流石に自室に戻って“処理”をしてたい。
そのあと一眠りしたい。
昼まで寝てても、誰も僕を責めないはずだ。
彼女を起こさないよう、ゆっくりベッドを降りる。
忍び足でコソコソと動き、静かに扉を開けて部屋を出た。
「キャ!」
「ん?」
扉の前には、何故か女性がいた。
優しい表情、ゆったりとしたローブ、長い赤髪をした女性。
セイナだった。
「おはようございます。こちらの部屋がジンの部屋でしたか。 ではこの右隣がカヨの部屋ですね」
僕の頭はフリーズした。
「んー?」
間の悪い事に、後ろでカヨが目を覚す。その声にピクッと反応したセイナ。
展開、ベタ過ぎない?
セイナは扉の奥を覗き見る。
彼女は口元を押さえてニッコリと笑った。
そして僕の股間もチラリと見る。
「あらあら。あらあらあら。そんな、シングルベッドでご一緒なんて⋯⋯失礼しました」
彼女はくるりと振り返り、立ち去ろうとしていた。
「待てセイナ!」
ガシっと肩を掴んだ。
ここで逃してはまずい。
誤解を解かないと。
いや、そもそも誤解? 誤解なのか?
一晩同じベッドで寝ていたのは事実だ。
一切、行為を及んでいない。
あー……いやそんな話を信じられる訳ないですよねー?
「ジン、迫る相手を間違えてますよ」
セイナはふふーんと笑いながら僕の手を払いのけた。
「待て、話を聞け」
あまりの慌てように僕の敬語が崩れる。
「カヨは僕の部屋の左隣だ! あの閉まってる扉からカヨが出てくる!」
何を言ってるんだ僕は。イリュージョンかよ!
自分に突っ込みたくなった。
「何を言ってるんですか。カヨはあなたのベッドで寝ていたでしょう?」
「いいや、違うね。ちょっと待ってろよ!」
僕はダッシュで部屋に戻り、鍵を締める。
ベッドの上には寝ぼけたカヨがいた。
「ジンがなんで私の部屋に……あっ!……ああ……!」
彼女は彼女で、段々と昨晩の事を思い出してきたようで目が泳いでいる。
だがそんなのは知った事か、今はそれどころでは無い。
僕はしーっと人差し指を立て、小声で話す。
「カヨ!緊急事態だ、僕がこの部屋から出るところをセイナに見られた! 壁を抜けて僕の部屋から出てきてくれ! 頼む」
「え? え? どういう事?」
「頼む!」
寝起きにこの情報量。 彼女は事態を把握していない。
ーーコンコン
左隣の部屋⋯⋯つまり僕の部屋をノックする音が聞こえた。
「カヨ、起きてますか? ジンにこの部屋だと聞きました」
セイナの大きな声が聞こえる
「おかしいですね⋯⋯もしかして、他の部屋で寝てるのですか? 誰かと寝てるのですか!?」
あ、朝っぱらから何を口走ってやがるあのアマァァ!
カヨは焦りながら魔法を唱えた。
「な、な……!!ーークアンタマイズ!」
彼女は壁を抜けて僕の部屋にダイナミックエントリーしていった。
よし、これで何とかなる。
「セイナァ!」
僕は部屋から飛び出た。
「セェイナァァァ!!」
カヨも隣の部屋から飛び出る。僕よりも気合が入っている。
「あ、あれ? どうして隣の部屋から?」
予想と違う展開に驚きを隠せないセイナ。
「私が誰と寝てるって!?」
「いえ、ジンと同じ部屋で寝てるのかな?と」
「見ての通り、隣の部屋で寝てたわよ!」
セイナはため息をついて残念そうに頭を振った。
「はぁ⋯⋯なんだ、私の見間違いでしたか」
「ええ、そうよ!」
まあ、見間違いじゃないんだけどね。
「それでこんな朝から何の用かしら?」
凄い迫力でセイナに迫るカヨ。
「え、延期になってた北壁の迷宮ですが、明日行きませんか?という相談です」
カヨは荒い鼻息を少しずつ収めていき、対応する。
「ふー……分かったわ。ジンもいいわね?」
「ああ、体も装備も問題ないよ」
セイナは今までの事をごまかすかのように笑顔で対応した。
「では午後2時にギルドで打ち合わせをやりますから、来てくださいね」
セイナはこちらをチラチラと見ながら、何か言いたげに去っていった。
廊下に残される僕とカヨ。セイナという嵐が去り、安堵する。
「……」
「……」
ゆっくりと横を見ると、彼女と目が合ってしまった。
「……」
「……」
沈黙が流れ、カヨの顔が赤くなっていく。僕も色々思い出してきた。ちょっと直視できない。
そう言えば死ぬほど恥ずかしいから、ほっといて欲しいって言ってたな。栗栖ジンは約束を守る男だ。
よし、ほっとこう。
何も言わず……いや、何も言えず、そそくさと僕は部屋に戻った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる