せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月

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第3章

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「ーーーあのぉ、本当にこれを着るの?宛先間違ってないかしら?」

豊穣祭の当日、早朝に我が家に届けられたドレスを見て私は固まっていた。

「はい。宛名はお嬢様の名前で間違いないですし、何より送り主がクライブ殿下ですから。流石にドレス店も間違えたりはしませんよ」

「だよねぇ……」

私が幼い頃から家にいてくれる数少ない侍女も若干戸惑いを隠せていない。温厚ではあっても決して裕福ではない雇い主の家に届くには場違いすぎるドレスがそうさせるのだろう。まさか、という気持ちは私も同じだから分かる。

「社交界に準ずる、とはいえ学園内のパーティにこのドレスは……目立ち過ぎるわね」

折角贈って頂いたドレスを着ないという選択肢はないけれど、着るのに勇気がいるのは間違いない。

控えめなフレンチスリーブとレースが愛らしい上半身からドレスの裾に向かってベビーピンクからローズピンクへと鮮やかなグラデーションをみせ、品の良い華やかさを演出している。露出は控えめなのはまだ色気があるとは言い難い私のことを考えてだろうか、美しいというより可愛らしいドレスだ。うっとりとする手触りは最高級の絹で間違い無いだろうし、ふんわりと広がったスカート部分には小さな宝石がキラキラと輝いている。

「きっと王女様が晩餐会でお召しになるのはこのようなドレスなのでしょうね」

はぁぁっと夢見るような瞳で語る侍女を嗜めるでもなく、私もはぁっとため息を吐いた。

「王女様には似合っても没落貴族令嬢には豪華すぎるわ。殿下もいったい、どういうおつもりなのかしら」

採寸が必要だと言って、なんと学園にドレス店を呼び出したクライブ殿下に私は何度も言ったのだ。なんならドレス店の店主にもうるさがられるまで言った。

『とにかく控えめなドレスで。私の身に沿った、私の身分に相応わしいドレスをお願いします』

クライブ殿下は軽く眉を顰めただけではっきりとした返事はしてくれなかったけれど、店主は『お約束します』とげんなりとしながらも約束してくれたというのに。うっかり気を緩めると悪態が口を突いて出そうだ。
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