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第3章
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王宮の侍女によって私史上あり得ないほど美しく着飾った姿で、これまた王宮から遣わされた馬車を使って学園に着く。
そしてそんな私を馬車から降りてすぐに呼び止めたのは意外な人物だった。
「どうやら盛大なる勘違いをしているようね、リディア・ウェルデル。クライブ殿下のお情けで学園に通っているくせに生徒会執行部に出入りして、殿下やロラン様と親しいのを自慢するなんて見苦しいと思っていたのよ。しかも今日はなんなの?その身分不相応な格好!今すぐ家に帰って鏡を見直すといいのよ。自分の品のなさに気分が悪くなるはずよ」
「マグリット様。確かに私にとって不相応に豪華な衣装だとは思いますが、流石にそれは言い過ぎでは……」
「まぁ!ではそのドレスが学園のパーティに相応わしいと思ってらっしゃるの?まるで社交界の夜会に着るように華美なもの、きっと殿下も苦々しくお感じになられるわ」
まさかその殿下がドレスを選んだ当人とは気付いてはいないので、すらすらと悪口が出てくる。これで事実を知ったらどんな顔をするのだろうかと考えて、尚も続く辛辣な声を聞き流していく。
学園に入ってすぐは私を通じてクライブ殿下と交流を持とうとしてか珍しく友好的だったマグリット嬢だけど、私に協力する意図がないと知ると以前と同じように影でチクチクと攻撃するようになっていた。が、殿下に心配させる隙を与えまいと必死に勉強に励み、クラスメイトとの交流に勤しんでいた私にそれを気に病む暇はなくて。いつの間にやら疎遠になっていたのだけど、今回の豊穣祭の実行委員長に自ら名乗りを上げた彼女はそれまでの分を取り返す勢いで私につっかかってくるのだ。もちろん、殿下のいないところで。
まぁ何を言われても大してダメージを受けないからいいけどさ、と大人の余裕で受け流していると(前世の分を含めると倍以上年上だしね)それが顔に出てしまっていたらしい。顔を怒りで真っ赤に染めたマグリット嬢が掴みかかろうと近付いてきた。
「っ!」
せっかく王宮侍女の皆さんに綺麗にしてもらったのに、ここで乱されては申し訳ない。咄嗟に後ずさろうとした私の前にスッと入り込んできた人がいた。
そしてそんな私を馬車から降りてすぐに呼び止めたのは意外な人物だった。
「どうやら盛大なる勘違いをしているようね、リディア・ウェルデル。クライブ殿下のお情けで学園に通っているくせに生徒会執行部に出入りして、殿下やロラン様と親しいのを自慢するなんて見苦しいと思っていたのよ。しかも今日はなんなの?その身分不相応な格好!今すぐ家に帰って鏡を見直すといいのよ。自分の品のなさに気分が悪くなるはずよ」
「マグリット様。確かに私にとって不相応に豪華な衣装だとは思いますが、流石にそれは言い過ぎでは……」
「まぁ!ではそのドレスが学園のパーティに相応わしいと思ってらっしゃるの?まるで社交界の夜会に着るように華美なもの、きっと殿下も苦々しくお感じになられるわ」
まさかその殿下がドレスを選んだ当人とは気付いてはいないので、すらすらと悪口が出てくる。これで事実を知ったらどんな顔をするのだろうかと考えて、尚も続く辛辣な声を聞き流していく。
学園に入ってすぐは私を通じてクライブ殿下と交流を持とうとしてか珍しく友好的だったマグリット嬢だけど、私に協力する意図がないと知ると以前と同じように影でチクチクと攻撃するようになっていた。が、殿下に心配させる隙を与えまいと必死に勉強に励み、クラスメイトとの交流に勤しんでいた私にそれを気に病む暇はなくて。いつの間にやら疎遠になっていたのだけど、今回の豊穣祭の実行委員長に自ら名乗りを上げた彼女はそれまでの分を取り返す勢いで私につっかかってくるのだ。もちろん、殿下のいないところで。
まぁ何を言われても大してダメージを受けないからいいけどさ、と大人の余裕で受け流していると(前世の分を含めると倍以上年上だしね)それが顔に出てしまっていたらしい。顔を怒りで真っ赤に染めたマグリット嬢が掴みかかろうと近付いてきた。
「っ!」
せっかく王宮侍女の皆さんに綺麗にしてもらったのに、ここで乱されては申し訳ない。咄嗟に後ずさろうとした私の前にスッと入り込んできた人がいた。
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