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第3章
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「ーーーえ?」
初めて見る唖然顔に私も止まる。
「えって……だって、でなきゃおかしいですよね?」
「いや、しかし……卒業したくないのか?」
「そりゃ、したくない訳じゃないですけど。でも、本来なら出来ないはずの社交界デビューも出来ましたし、お友達も出来ましたし、思い残すことはないかなって」
「いや、それでも急に窮屈な生活になるのは辛いだろう。せめて学園を卒業するまでは待って……」
「いえ、クライブ殿下が学園からいなくなるのに、それは出来ません。学園にいては仕事だって上手くいきませんから」
決意を込めた視線を向けると、ハッと殿下が息を呑みすぐに吐き出したのがわかった。珍しい。
いつもは立場上、殿下はほとんど表情を出さない。近くにいるのがエルフリーデ先輩、もしくは側に仕えるロランさんや私だけなら違うけれど、それだって殿下自身がコントロールして見せていい部分だけを見せてくれるだけなんだと思う。不用意に隙がある顔を見せてはくれないのだ。なのに今日はどうしてだか初めて見る表情が多くて、私もとまどってしまう。
「ーーーなるほど。学園生活を続けることよりも、俺の元で働くことを選んでくれるのだな。では、学園を卒業するまで給料は払うが仕事は休んでいいと言ったらどうする?」
「仕事もせずに報酬だけ受け取るなんて到底受け入れられません」
報酬は労働の対価だ。それは私の魂の次元で刷り込まれた感覚で、仮に受け取ってしまえば生涯負い目を感じてしまうことは間違いないのだから、私自身の為にも良くない。キッパリハッキリ言い切ると、殿下は分かっていたとばかりに苦笑した。
「だろうな。リディアはそう言うと思ったよ」
「では、どうして……」
私のことを理解しているなら出るはずのない提案に首を傾げると、殿下は小さく首を振った。
「いや、少し読み違えていたのだ。リディアは自分のこととなると鈍いと分かっていた筈なのに、想像よりも自分に無頓着過ぎて、な」
「無頓着……ですか?」
理解出来ずに首を傾げると、もういいとばかりに殿下が顔の前で軽く手を振る。
「それより、もう一つの大事な話だ。先程、豊穣の女神の候補から辞退したいと話があった」
「え!?だって、今日選出なのにですよ?」
豊穣の女神はダンスパーティの開催に先立って、同じ会場内で行われる。つまり、後1時間ほどで始まるのだ。
初めて見る唖然顔に私も止まる。
「えって……だって、でなきゃおかしいですよね?」
「いや、しかし……卒業したくないのか?」
「そりゃ、したくない訳じゃないですけど。でも、本来なら出来ないはずの社交界デビューも出来ましたし、お友達も出来ましたし、思い残すことはないかなって」
「いや、それでも急に窮屈な生活になるのは辛いだろう。せめて学園を卒業するまでは待って……」
「いえ、クライブ殿下が学園からいなくなるのに、それは出来ません。学園にいては仕事だって上手くいきませんから」
決意を込めた視線を向けると、ハッと殿下が息を呑みすぐに吐き出したのがわかった。珍しい。
いつもは立場上、殿下はほとんど表情を出さない。近くにいるのがエルフリーデ先輩、もしくは側に仕えるロランさんや私だけなら違うけれど、それだって殿下自身がコントロールして見せていい部分だけを見せてくれるだけなんだと思う。不用意に隙がある顔を見せてはくれないのだ。なのに今日はどうしてだか初めて見る表情が多くて、私もとまどってしまう。
「ーーーなるほど。学園生活を続けることよりも、俺の元で働くことを選んでくれるのだな。では、学園を卒業するまで給料は払うが仕事は休んでいいと言ったらどうする?」
「仕事もせずに報酬だけ受け取るなんて到底受け入れられません」
報酬は労働の対価だ。それは私の魂の次元で刷り込まれた感覚で、仮に受け取ってしまえば生涯負い目を感じてしまうことは間違いないのだから、私自身の為にも良くない。キッパリハッキリ言い切ると、殿下は分かっていたとばかりに苦笑した。
「だろうな。リディアはそう言うと思ったよ」
「では、どうして……」
私のことを理解しているなら出るはずのない提案に首を傾げると、殿下は小さく首を振った。
「いや、少し読み違えていたのだ。リディアは自分のこととなると鈍いと分かっていた筈なのに、想像よりも自分に無頓着過ぎて、な」
「無頓着……ですか?」
理解出来ずに首を傾げると、もういいとばかりに殿下が顔の前で軽く手を振る。
「それより、もう一つの大事な話だ。先程、豊穣の女神の候補から辞退したいと話があった」
「え!?だって、今日選出なのにですよ?」
豊穣の女神はダンスパーティの開催に先立って、同じ会場内で行われる。つまり、後1時間ほどで始まるのだ。
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