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裏切り 後日談
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始めに立ち上がったのは、やはり龍だった。
「泉龍寺君を追うのか?」
背中越しにかけられた問いに、龍は振り向くことなく答えた。
「そんなことをして何になるんです。あんな証言が逮捕の理由になるとでも? あなたとの協力だって、証明するものは何もない。先ほどの会話を録音していたところで、頭がおかしくなったとでも思われますよ」
「それはそうだな。では、どうする?」
再び問いかけられ、龍は今度こそ振り向いた。先ほどまでの感情の波を感じさせない、静かな瞳だった。
「証拠を探すだけです。それが警察官としてやるべきことだ。実際、彼女は詳細を語らなかった。だから、彼女の言葉が事実か否かは置いておき、捜査をするしかない。ーー私情は捜査を狂わせる」
そう言い放った龍は、兄と上司を交互に見据えた。
浩史は満足げに微笑んだ。その顔を見た瞬間、海里もゆったりと立ち上がる。椅子の横に置いた鞄を手に取り、浩史を見て、龍を見た。
「協力します。以前、私は警察官連続殺人事件の犯人の一味に拉致された。あれがただの警告や脅しとは、どうしても思えませんから」
「できることがあれば頼むが、1人で動くなよ」
海里は頷き、龍と共に部屋を後にした。2人の足音が聞こえなくなると、ため息にも似た息を、玲央が吐き出す。
「失望したか?」
「してほしいんですか?」
玲央の問いに浩史は答えなかった。玲央は瞑目し、「それに」とつぶやく。
「あなたの口振りから考えて、話していませんよね。私たちが伝えると危惧しないんですか?」
「しなかったわけではないよ。ただ、小細工も限界だと考えただけだ。あの人を相手にしたと考えれば、持った方だろう」
浩史の言葉に玲央は顔を歪めた。素早く鞄を手に取り、足早に部屋を後にする。引きずるような足音が、嫌に耳に残った。
どのくらいの時間が経ったのか。バーの入口が開く音が聞こえるなり、浩史は立ち上がった。5人分のグラスを回収し、濡れた机を軽く拭く。個室を出ると、酒を作り始めている凪の姿があった。
空になったグラスを渡しながら、浩史は口を開く。
「開店前にすまなかったな。また連絡するよ」
「いいのよ。仕事、頑張ってね」
「凪もな」
駐車場に停めた自車に乗り込みながら、浩史は電話帳の番号を押した。
「泉龍寺君を追うのか?」
背中越しにかけられた問いに、龍は振り向くことなく答えた。
「そんなことをして何になるんです。あんな証言が逮捕の理由になるとでも? あなたとの協力だって、証明するものは何もない。先ほどの会話を録音していたところで、頭がおかしくなったとでも思われますよ」
「それはそうだな。では、どうする?」
再び問いかけられ、龍は今度こそ振り向いた。先ほどまでの感情の波を感じさせない、静かな瞳だった。
「証拠を探すだけです。それが警察官としてやるべきことだ。実際、彼女は詳細を語らなかった。だから、彼女の言葉が事実か否かは置いておき、捜査をするしかない。ーー私情は捜査を狂わせる」
そう言い放った龍は、兄と上司を交互に見据えた。
浩史は満足げに微笑んだ。その顔を見た瞬間、海里もゆったりと立ち上がる。椅子の横に置いた鞄を手に取り、浩史を見て、龍を見た。
「協力します。以前、私は警察官連続殺人事件の犯人の一味に拉致された。あれがただの警告や脅しとは、どうしても思えませんから」
「できることがあれば頼むが、1人で動くなよ」
海里は頷き、龍と共に部屋を後にした。2人の足音が聞こえなくなると、ため息にも似た息を、玲央が吐き出す。
「失望したか?」
「してほしいんですか?」
玲央の問いに浩史は答えなかった。玲央は瞑目し、「それに」とつぶやく。
「あなたの口振りから考えて、話していませんよね。私たちが伝えると危惧しないんですか?」
「しなかったわけではないよ。ただ、小細工も限界だと考えただけだ。あの人を相手にしたと考えれば、持った方だろう」
浩史の言葉に玲央は顔を歪めた。素早く鞄を手に取り、足早に部屋を後にする。引きずるような足音が、嫌に耳に残った。
どのくらいの時間が経ったのか。バーの入口が開く音が聞こえるなり、浩史は立ち上がった。5人分のグラスを回収し、濡れた机を軽く拭く。個室を出ると、酒を作り始めている凪の姿があった。
空になったグラスを渡しながら、浩史は口を開く。
「開店前にすまなかったな。また連絡するよ」
「いいのよ。仕事、頑張ってね」
「凪もな」
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