青年は届かぬ男根の苦悶に翻弄される

五月雨時雨

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青年は届かぬ男根の苦悶に翻弄される

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伸ばすことを禁じられた腕では、思い通りの行動など何一つとして取れはしない。窮屈に折り畳まされた状態を強いられた足では外側から施錠された部屋から逃げ出すことはもちろん、首から下を隙間無く包み込む拘束と恥辱を同時に味わわせるスーツを脱ぎ去ることも、黒革の板に男根を模した張型が取り付けられている口枷を振り払うことも叶わない。
喉近くまでを満たす張型によって言葉と口呼吸を封じられ、手足を小さくまとめさせる形で縛められた青年はもう、与えられたスーツの機構に為す術無く責め嬲られながら情けなくくぐもった悲鳴を上げることしか出来ない。腹部へと縫い付けるように位置を固定された男根に緩い振動を絶えず加えられている哀れな青年は、意に染まぬ快楽を覚えさせられながらも決して絶頂には至れない甘くもどかしい拷問にただただ苛まれ続けるしか無いのだ。

「んぐっ、むぐっ、ぶむぅぅんっ!」

イきたいとねだる男根の苦悶が、密着している青年の腹部に痛々しい脈動として伝わってくる。
必死に鼻を鳴らして酸素を貪っても強まっていく息苦しさに朦朧としている青年の思考でもはっきりと分かるくらいに、射精寸前の状況で延々といたぶられている男根は出口を見失った精液の放出を望んで悶えつつ、泣いて許しを請うように透明な蜜をスーツ内へと垂れ流している。
しかし、幾ら男根が苦しげに跳ねようとも、意識を遠のかせることも認めない程に苛烈な射精欲に青年が追い詰められようとも、青年の裸体を拘束するスーツに内蔵された装置は足りない快楽を淡々と発生させるのみだ。
どんなに射精を希求しようが関係無い。誇りを捨てた声音で哀願の唸りを紡ごうとも意に介さない。無感情な装置は腹部へと押し付けた男根全体を小刻みに震わせ、射精出来そうで出来ない地獄を無慈悲に注いでいくのだ。

「あぉっ、ぶぉ、んぐぅっ! ふぶ、ぼぅ、むぐあぁ!」

欲望を散らす目的で肘と膝を用いて狭い監禁部屋の中を歩き回り、時に仰向けに転がって伸ばせぬ手足をバタつかせながら見えているのに届かない股間へ刺激の追加を行おうとなりふり構わずに試みた青年。自分をこの責めに閉じ込めた憎い相手への怒りを忘れ、ひたすらに射精を欲して無駄な足掻きを何度も何度も繰り返した滑稽な青年。
そんな青年の様子を部屋の中に仕込んだ何十ものカメラを通してモニターで愉しみながら、残酷な男は悠然とグラスを傾けつつ自分に刃向かった愚かな青年が自らの欲望に精神と肉体を押し潰され快楽を追求するだけの淫猥な存在に陥落するまでの過程を鑑賞し続けていた。
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