敗者の犬達は甘く無慈悲なゲームを一方的に強いられる

五月雨時雨

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敗者の犬達は甘く無慈悲なゲームを一方的に強いられる

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「あっ、あぉ、んもっ、おぉぉ……っ」
「はっ、むぶっ、んみゅぅぅっ」

犬を模した着ぐるみに裸体を隙間無く閉じ込められた男達が、苦悶に満ちた唸り声を絶え間無く漏らしながら両手両足を前に運び続けている。
拘束を目的として作られた悪趣味な着ぐるみによって窮屈に折り畳んだ状態を強いられた手足を小刻みに震わせ、あどけない表情を浮かべた犬のマスクの内側に突き出た太い棒を用いて口を塞がれた男達が、マスクの目の部分に開けられた数個の小さな穴ごしに見える景色を頼りに目的地への移動を繰り返していく。
熱の逃げ場を遮るふわふわな着ぐるみの内部に分泌した汗をはじめとした自分由来の熱気が蓄積し、意識が朦朧とする程の火照りに嬲られても、哀れな犬達は意に染まぬ不自然な歩行をやめられない。尻尾飾りと繋がっている極太の張型が前進の度に最奥までを埋め尽くした腸壁を抉り、振動を感知して自身に振動を行わせる根元と亀頭近くに取り付けられたベルト型のローターが男根を決して絶頂には至れぬ刺激で苛んできても、色とりどりの犬に変えられた男達は肘と膝を着ぐるみごしに床へと触れさせた屈辱の歩行から逃れられない。
自分達を弄び、追い詰め、悶絶の様子を上から鑑賞する為だけにあらゆる機構を用意された広く残忍な部屋に閉じ込められた無様な犬達は、迷路のように壁で仕切られた室内をこれ以上無い地獄を味わいながら歩かされ続けるしか無いのだ。
時間内に次のチェックポイントに辿り着けなかった犬には、罰を与える。そうして最後まで残った犬には、今日が終わるまで休息を認めてやる。一方的に言い渡された無慈悲なゲームを拒めない立場に追いやられた犬達は、時間切れが訪れ悶絶へと追いやられた仲間達のくぐもった絶叫が聞こえてくる部屋の中で、罰を避ける為の歩行をただただ継続させることしか出来はしないのだ。

「んもっ、あぉ、はぼっ、もおぉ……!!」
「ふぅ、ふぐ、うもっ、むうぅ……っ!!」

頭部を囲う犬のマスクの中で真っ赤に染まった顔を痛々しく歪ませ、喉近くまでを貫いている言葉を封じる棒の隙間から意味を持たぬ悲鳴と荒く乱れた呼吸を溢れさせながら、黒犬と白犬が仲良く並んで次のチェックポイントへと近付いていく。疲労と、男根をいたぶる生殺しの快楽と、自分達を捕らえた敵の手で躾けられた尻穴を襲い雄の矜持を切り付ける張型が腸壁を摩擦する悦楽に心と身体を擦り減らされた犬達はもう、先にチェックポイントに到達している仲間の犬達が焦りと絶望を感じさせる振る舞いでこっちを眺めていることにも気付けない。それどころか、二頭は自分達を斜め上の角度からガラス壁越しに鑑賞している憎い敵達の姿に苛立ちを覚える余裕も無く、マスクの耳部分にあてがわれた小型のスピーカーが発する冷酷なカウントダウンに打ちひしがれることも叶わない。
もう、間に合わない。罰の展開は確定した。自分達を見つめている者達が全く別の感情を募らせつつ認識した情報を努力も虚しく現実にされてしまった犬達は、時間切れと同時に自分達の前後の退路を遮る形で床から現われた分厚い壁達によって作られていく狭い空間に閉じ込められながら、全く駆動していなかった尻穴の張型と勃起のみを強要する緩い刺激だけを生成していた男根のローターベルトが開始した暴力的なまでの勢いを有した駆動という甘く残酷な罰に為す術無く悶え狂わされるしか無いのだ。

「んぎゅぅぅぅっ!! ぶぎゅ! んぐぅぅぅぅっ!!」
「あぉ! はぶっ、みゅぉぉぉっ!! うー! んみゅぅぅぅぅぅーっ!!」

せり上がっていく壁の向こうで淫らにのたうち回る二匹の犬を力無く眺めながら、今回罰を回避した犬達は通路の壁に現われた新たな矢印に従っての移動を震える足で再開する。惨めな敗者達が滑稽に戦うゲームを悠然とした態度で堪能する非道な男達は、壁によって寸断されていく空間の中で先に罰へと追い込まれた犬達と同じように伸ばせぬ手足を間抜けにバタつかせながらイき狂う二匹を上から鑑賞しつつ、疑いようの無い勝利に浸った笑みの黒さを際限無く深めていくのだった。
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