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青年は憎き男の手で無様な陥落へと追いやられる

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父を罠に嵌めて破滅へと追いやり、失望した父の自死を引き金とした一家離散の状況を作り出した憎き男への復讐を遂げるために青年は男の悪事に繋がる証拠を集め続けた。男の秘書として懐に潜り込んだ青年は、湧き上がる憎悪を押し殺しつつ秘密裏に情報を拾い続け、とうとう男が父を嵌めたことを示す確固たる証拠へと辿り着いた。
しかし、青年の復讐はそこで終わってしまった。秘書に招いた時にはすでに自身の正体を暴いていた男の手で泳がされていた青年は、全ての証拠を手に入れた直後に男の指示を受けて自分を見張っていた部下達に捕らわれ、味方もおらず助けも望めない男の私邸の地下室へと連れ攫われてしまったからだ。
これで父の無念を晴らせる。男の悪事を白日の下に晒せる。そんな希望から、絶望へと叩き落とされた青年。長年掛けて収集した証拠を男の部下達に回収され、二度と取り返せない形で処分したと告げられ、更なる絶望へと突き落とされた哀れな青年。青年の正体を把握しつつもわざと放置し、ようやく掴んだ希望を欠片も残さず没収するという冷酷な仕打ちを行って青年の心を無慈悲に切り刻んだ非道な男は、絶望に打ちひしがれる青年の様子を愉しみ復讐に掛けた日々が無駄に終わった事実を笑い飛ばして追い打ちを仕掛けると、自分の手に堕とし抵抗と逃走を奪った無様な青年に嬉々として辱めを加えた。
憎みに憎んでいた男の手で為す術無く弄ばれる恥辱と屈辱に悶え苦しむ青年を堪能するために。そして、罠に嵌めて破滅へと追い込むほどに疎ましく思っていた男の息子を手籠めにし、あの世で悔しがり絶望する男の姿を想像して充足感と優越感に浸るために。男は抗う手段と共に衣服を奪った裸体を甘くいたぶり、青年の心と身体を辱め出したのだ。
その責めを拒みたいと願っても、青年は何処にも逃げられない。左右の手首に巻き付けられた黒革の枷と天井の金具を鎖で結ばれ、左右の足首の枷と床の金具を短い鎖で繋がれた青年の裸体は地下室の中央で上下に引き延ばされた体勢からどうやっても抜け出せず、地下室の扉に近付くことはおろか無防備にさらけ出された自分の身体へと無遠慮に触れる男の手を振り払うことも出来ない。
そんな手足では当然、口内を埋め尽くし、歯を割って噛まされ、鼻と口をきつく締め付ける三重の猿轡を毟り取ることも叶わない。あらゆる自由を取り上げられた惨めな青年は、言葉を封じ舌を噛み切ることを禁じる三枚の白布に染み込まされた強力な媚薬を拒絶することも無論不可能で。一切の行動に制限を施され自ら命を絶つ選択肢も除外された青年は、呼吸の度にもたらされる媚薬による望まぬ発情に苛まれながら、逆らえない裸体を幼き頃から憎んでいた男の手で甘く淫らに翻弄されてしまっていた。

「んんっ! むぅ、んぐっ……ふぐぅぅんっ!!」

気持ち良くなんてされたくないのに、媚薬に火照らされた肉体は男が注ぐ悦楽を否定出来ない。ぷっくりと尖った左右の乳首を男の指先で転がされ強めに摘まんで捻られると、全身に甘い電流が駆け巡ってしまう。感度の高まった肌をくすぐるように撫でられると、乳首よりもゆっくりと全身を這う甘い電流に責め嬲られ、縛められた裸体を情けなくくねらされてしまう。何より、吸入させられた媚薬で無理矢理に勃起させられた男根を男の手に包み込んで扱かれると、堪らない快感を味わわされてしまう。イかされたくないと願う心を蝕み、男への憎悪を霞ませる程の射精欲を引き起こす苛烈で淫猥な快感を抱かされてしまう。
だが、残忍な男はその快感だけで責めを終わりにはしなかった。手も足も出せなくさせた青年の裸体を一方的に弄り倒す男は、意に染まぬ悦びで絶頂への欲を限界ギリギリまで高めさせては寸前で快感を送る手をとめるを何度も何度も繰り返し、抑えきれぬはしたない渇望に悶絶し汗に濡れた裸体をみっともなくよじらせて悲痛に鳴き喚く滑稽な痴態を目と耳で愉しみつつ、青年の心を痛め付ける言葉を醜悪な笑みを浮かべながら紡ぎ続けていた。

「んもっ、むぅぅんっ! んふっ、ふぐ、ぶむぅぅんっ!!」
「残念、またイかせてもらえなかったねぇ……○○君? 君の身体は一生懸命に腰を振っておチ○チンを揺らしちゃうくらいにイきたいイきたいって言ってるのに、イかせてもらえなかったねぇ。お父さんの敵である私に苛められて、屈服して、身体は正直に射精したいっておねだりをするくらい堕とされちゃったっていうのに……またイかせてもらえなかったねぇ……可哀想に」
「ふむっ、むぐっ! んもっ、むふぅぅぅっ!!」

塞ぎたくても塞げない耳から入り込む容赦の無い言葉の刃に心をボロボロにされながら、目前に迫っていた射精欲が遠ざかった裸体に再び男の手で快楽を注がれもう何十度目かも分からない寸止めの苦悶へと押し上げられながら、青年は父を破滅させ一家を散り散りにし自分を捕らえた男への復讐心と共に理性と尊厳と自我を崩され、身体のみならず心でも射精をねだる無様な陥落へと、たっぷりと時間を掛けて追い詰められていくのだった。
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