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散歩はペット達から脱出の思考を摘み取る

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両手両足に折り畳んだ状態を強要し、意味のある言葉を発せなくさせる口枷を噛ませる動物の着ぐるみを着せられた男達が、部屋の中心に設置された太い柱状の機械の周りに集まり、くぐもった悲鳴を上げながら自由を奪われた肉体を苦しげに悶えさせている。

「ん、んむぅっ……ふぅ、ふぐぅぅ」
「む、むぅっ、んぐ、むぁぁっ」

茶色い犬の着ぐるみを着せられた男。黒い猫の着ぐるみを着せられた男。白い兎の着ぐるみ、金色の狐の着ぐるみ、虎の着ぐるみ、ライオンの着ぐるみ。様々な着ぐるみを着せられた男達は着ぐるみの内側に生えた棒に喉近くまでを埋め尽くされた口で唸りながら、逃げる素振りすら見せずに仲良く柱の周りで身をよじらせている。柱状の機械の近くにいなければ地獄を味わうことになるという無慈悲な事実を心と身体に教え込まされてしまっているからだ。
檻などに閉じ込められていなくても、男達はどこにも逃げられない。首に巻かれた名前入りの首輪を鎖やリードなどで繋がれていなくとも、男達は着ぐるみに包まれ視界と言葉と手足を封じられた肉体を酷使しての脱出を試みようとはしない。
このままこの場所に居続ければ、少なくとも今以上の苦しみには晒されない。それを知っているからこそ、男達は無駄な足掻きをせずに柱の近くで身悶えている。そして、それを知っているからこそ男達を捕らえ、着ぐるみを与え、自身が所有する山中の屋敷で男達を飼い慣らしている残酷な男は、自分のペットである男達に非道な仕打ちを加える。

「さぁ、皆。お散歩の時間だよ。今日は……兎ちゃんからだね」
「ふぶぁっ!? んむぅぅ! ふぶぅぅっ!!」

嬉々として浴びせられた男の言葉に一瞬にして絶望と恐怖を掻き立てられた兎の着ぐるみの男が放つ哀願の絶叫を無視しながら男は兎の首輪に持ってきた緑のリードを繋ぎ、兎の鳴き声に怯える他のペット達の様子を細めた目で愉しみながら、嫌がる兎を無理矢理に引き摺り屋敷内を歩き回る散歩へと連れ出した。




兎が男の手で歩かされ始めてから数十分。兎が柱状の機械から引き離されてから数十分。機械が一定時間ごとに発する信号を受信出来なくなった着ぐるみは内部に仕込まれた機構を残酷に変化させ、逃げ場の無い兎の身体を容赦の無い快楽で叩きのめしていた。

「んーっ! ふぐ、ぶふぅぅっ!! むぅ、むぐふっ! ぶぁぁぁぁぁぁーっ!!」

柱の近くにいたときは緩やかに動いて腸壁を擦るだけだった極太の張型は腸内を素早く荒々しく抉り、男に雌の快楽を味わわせながら自身と一体化している兎の尻尾をゆらゆらと揺らめかせている。柱の近くにいたときは意識を逸らせば男根を萎ませることが可能なくらいの弱い振動を注ぐだけだった着ぐるみに内蔵されたパッドは、男根全体を激しくまんべんなく震わせ、萎ませる以前に絶頂付近の位置から下りることも許さずに断続的な射精を迎えさせている。
達しても達してもとまらない絶頂。それだけでも地獄だというのに、兎の男は肘と膝で身体を支えながら行う不安定な四つん這いでの散歩を強いられている。望まぬ射精と望まぬ歩行。二種類の責めに嬲られた兎の男はもはや無駄な抗いを見せる余裕すら無く、悲痛に歪んだ鳴き声を上げ自らの汗と淫臭を吸った着ぐるみに鼻腔を犯されながら痙攣のとまらぬ手足で無抵抗に歩かされるしか無い。

「あぐ、ば、ぶぅぅ……ふぐ! んむふぅぅっ……!!」

救いを求めることも忘れ、従順に歩き続ける哀れな兎。そんな兎を強引に引っ張っていた男が突然に足をとめ、愉快の色に染まった声で言った。

「皆、ただいま。次のお散歩はワンちゃんだよ」
「ふぎゅぅっ!? んむぅぅーっ!!」

名を呼ばれた犬の着ぐるみの男が、怯え色の鳴き声を上げる。それを聞きながら男は兎の首輪に繋いでいたリードを手早く外して犬の首輪へと繋ぎ、今度は犬の男を無慈悲な絶頂散歩へと連れ出していく。

「さぁ、ワンちゃん。ご主人様と一緒に散歩を愉しもうね?」
「うぅぅ! んむふぅぅぅっ!!」

後ろから届いてくる男の声と拒絶を放つ犬の絶叫を聞きながら、兎はようやく今日の散歩がこれで終わりであることを疲弊させられた脳で理解すると右側を下にする形でその場に倒れ込み、柱の機械から飛ばされる信号を受けて駆動が弱まっていく責め具に安堵しながら眠りへと落ちていく。
もう、兎にはまだ遠くから聞こえてくる犬の悲鳴はおろか、すぐ近くにいる虎や猫達が放つ恐怖に歪んだ鳴き声も認識出来ない。
柱状の機械の近くにいなければ苛烈な快楽責めに襲われてしまうことを思い知らせる散歩で憔悴させられ、体力と気力を限界以上に削り落とされた兎の男は自分を飼い殺す男の思い通りに脱出を狙う思考を改めて潰されながら、やっと許された休息を自分の淫猥な匂いが充満した着ぐるみの中で幸せそうに貪るのだった。
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