探し求めた希望は淫猥な裏切りを男達に与える

五月雨時雨

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探し求めた希望は淫猥な裏切りを男達に与える

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「むふうぅ……っ! ん、もおぉ……っ!!」
「っふ、むおぁぁ……ふー……! うーっ……!!」

敵達は間違い無く、自分の背後にスマートフォンを置いていった。助けを呼べるなら呼んでも良いと嘲笑いながら、連絡手段であるスマートフォンを残して車のトランクに鍵を施していった。
その自分達を舐めた態度に対する苛立ちを糧にしながら、悪の罠に嵌まり二人仲良く生け捕りにされた捜査員の男達は不自由な姿に追いやられた裸体をよじらせつつ指を酷使し、己のスマホを必死で探し続けている。
絶対に後悔をさせてやる。自分達を乗せた状態で走行する車に焦りを絶え間無く募らせながら、捜査員達は反抗を込めた唸りを厳重に塞がれた口から漏らしつつ、背後に転がされた希望を一生懸命に求め続けている。
だが、二人の熱意とは裏腹に、そこに確かにあるはずのスマホはいつまで経っても見付からない。二の腕同士と手首同士を背中できつく括り、肘の部分を腹部へと縫い付ける上半身の縄を着せられ、足首同士と太もも同士を一つにまとめる縄を施された上で足首の縄と上半身の縄を繋ぐ上乗せの縄拘束を付け足され、緩い海老反りを強要された二つの裸体を向かい合わせで密着させる追い打ちの縄をもたらされた捜査員達がわずかに自由を残された指を頑張らせても、スマホには触れることさえ叶わない。

「っふ、ふうぅ、んむうぅ……!」
「おぅ、あぶ、もほおぉ……!!」

口内を布に埋め尽くされ、その布を吐き出せなくさせる役割を持った別の布を歯に噛まされ、とどめとして鼻と口を隙間無く締め付ける布を装着された捜査員達が、三重の猿轡越しにくぐもった唸りと乱れた呼吸をお互いに浴びせつつ諦め悪く指を頑張らせ続ける。
仮にスマホを見付けられたとしても、望む操作に辿り着けるあてなど無い。それをはっきりと理解した上で、捜査員達は悪の手に堕ち連れ攫われている絶望を否定したい一心で至近距離にある仲間の顔面すらほとんど見えない闇の中で、自身のスマホを捜索し続けている。
そんな時間が、どれ程経過した頃だろう。自分達の汗が生み出した熱気と濃い体臭に包まれたトランクの中で努力を重ねていた捜査員の内の片方が、ようやく指先にスマホの存在を確認した。

「むぅっ……!?」
「っ、ふうぅ」

指先にスマホが触れた感覚に、捜査員が驚きと喜びの唸りを上げる。それを聞いたもう一人の捜査員は自身が行っていた格闘を切り上げ、仲間の妨害を行ってしまわないよう裸体の動きを制止させてスマホの操作に協力する。
その協力を受けつつ慎重に自身のスマホを腕の自由を奪われた手で拾い上げた捜査員は、取り落としてしまわないよう細心の注意を払いながら電源ボタンを押し、指先の感触と記憶を頼りに電話を掛ける操作に移ろうとした。
しかし、ようやく手繰り寄せた希望を噛み締める捜査員達を待っていたのは、あまりにも無慈悲な展開だった。

『これより、媚薬ガスの散布を開始致します』
「っふ!? むうぅ!?」
「ふぎゅぅぅ!? むぅ、んうぅ!?」

電源ボタンを押されたスマホから、聞いたことも無い案内の音声が流れる。あまりにも残忍な仕打ちの開始を告げる無機質な合成音声が画面から放たれる光によってほんのりと照らし出されたトランク内に響く。
その事実に狼狽し、驚愕する捜査員達が今まで自分達が探していたスマホが自身の物に見た目を似せた偽物であったという情報を導き出すよりも先に、逃げ場の無いトランクに仕込まれた非道な機構が二人に残酷な苦悶を味わわせていく。呼吸に合わせて体内に取り込むだけでも、それどころか皮膚に触れるだけでも効果を発揮する強烈な媚薬混じりの気体が、縄に縛められた二つの裸体を取り囲んでいく。
その状況から脱出する為の手段を一つ残らず削ぎ落とされた捜査員達はもう、意に染まぬ発情を促す期待に全身を甘く嬲られながら悶え狂わされるしか無い。萎えた状態で触れ合っていた二つの男根に勃起を強要され、ほんの小さな身悶えすらも快楽に繋がる状態を作り出されていく捜査員達は、偽物のスマホから流れる次の音声に戦慄しながら甘い火照りへと追い詰められるしか無いのだ。

『媚薬ガス散布の停止を希望される場合は、もう一台のデバイスに表示されている解除コードを入力して下さい』

お互いの裸体の後ろで放たれる無慈悲な装置由来の光を虚しく見つめる捜査員達は媚薬ガスの散布が始まったことを自身の端末で把握して残忍に微笑む悪達が操る車のトランクの中で精神と肉体を淫蕩に蝕まれつつ、興奮を強いられた二つの男根を無自覚に擦り合わせる腰振りを交えながら、周囲を走る車に気付かれること無く悪の本拠地へと拉致されていくのだった。
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