堕ちた探偵はマッサージへの期待を膨らませる

五月雨時雨

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堕ちた探偵はマッサージへの期待を膨らませる

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この店に足繁く通っていた青年や男が、何人も行方知れずとなっている。探偵である自分の元に持ち込まれた幾つもの捜索依頼を調べる内にその共通点に気付いた俺は正体を隠してその店を訪れ、客として内部を確認することにした。
もちろん、出された飲み物には手を付けず、飲み干したふりをして近くに置かれていた観葉植物の鉢へと捨てた。下着一枚の姿でも内部の情報を集められるよう、超小型のカメラと録音機材を埋め込んだボクサーパンツを用意した。だが、そこまで準備したにもかかわらず怪しい要素は何も見つからない。店の人間はマッサージ師として俺の身体を丁寧にもみほぐしているだけだ。

「お客さん、引き締まった身体をされてますね。身体を動かす仕事でもされてるんですか?」
「あぁ、そうですね……仕事柄、あっちこっち歩き回ったり力を使う場面は多いですね」
「なるほど、ではお疲れの筋肉をしっかりとケアさせて頂きますねー」

穏やかな声音で話しかけながら、マッサージ師の男は俺の身体の凝った部分を宣言通り心地良くケアしていく。
それは、ただただ気持ち良いだけのマッサージで。入店前に疑念を抱いていた俺はその疑念が偶然が重なっただけだという可能性に思い至り、疑っていたことに対する罪悪感を胸に湧かせた。
このまま何もなく終わったら素性を明かし、姿を消した人々に変わった様子が無かったかを尋ねよう。警戒心を完全に緩めはせずにそんなことを考えている俺に、マッサージ師の男が優しい声で言った。

「じゃあ、今度は身体の正面側をほぐしていきますねー。仰向けになって頂けますか?」
「あ、はい。分かりました」

丹念にケアされ蕩けている身体を細長いベッドの上で動かし、俺は指示通りに身体を仰向けに変えていく。
俺が身体を仰向けにさせている間に、マッサージ師の男とその男の助手二人が次のマッサージに使うのであろう革の枷や口枷、薄桃色の粘液が入ったボトルなどを手早くベッドの横の台に運んだ。その手際の良さに感心しながら、俺は次のマッサージを若干楽しみにしつつ仰向けの身体を脱力させた。

「ありがとうございます。どうやらしっかり催眠も効いているようですし、ここから本格的に気持ち良いマッサージをさせて頂きますね。思わず身体が大きく動いてしまったり間違って舌を噛んでしまうこともありますので、お客様の身体にこちらの拘束具を装着させて頂きます。左右の手首と足首をベッドの下に回して、口を大きくあーんと開けてください」
「こんな……感じれふか?」
「はいそんな感じです。ご協力ありがとうございます。○○君、□□君、僕は口枷を付けるから君達は手足の枷をお願いね」

笑顔で助手達に指示を出したマッサージ師の男は口枷を手に取って俺の頭の近くに移動すると、大きく開いた俺の口に黒い棒状の枷を噛ませ、顔を振っても外れないように後頭部で口枷のベルトを締めて固定していく。それと同時に、二人の助手は短い鎖で繋がれた枷を使って俺の手首同士と足首同士を結合し、俺の手足を拘束していく。
これで俺はもう、言葉を発せず、ベッドから下りることも叶わない。幾ら力を込めても手足は思い通りに動かせず、何をされても抵抗出来ない。マッサージをするときにうってつけの、思わぬ事故が発生しない状況の完成だ。

「はい、装着し終わりましたよ。それでは、早速こちらの媚薬ローションをたっぷり使って、警戒してたくせにあっさり催眠にかかった情けない探偵さんの貴方をたくさんイきまくらせてあげますね。三人がかりで容赦無くイかせて、このパンツに仕込まれている機械が壊れちゃうくらいに射精をさせてあげますから期待しててくださいね、無様な探偵さん」
「ふぁい、よろひふ、おへがいひまふ」

これから始めるマッサージの内容を薄桃色の液体が入ったボトルを片手に笑いながら説明する男に、俺は塞がれた口で返答を行いつつ、今から加えられるマッサージでどれだけ惨めにイき狂わせてもらえるのだろうかと探偵の仕事として来たにもかかわらずそれを忘れてマッサージへの期待を膨らませていた。
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