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悪趣味なチョコレートは青年を容赦無く頂点へと至らせる

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今日はバレンタインデーだから、特製のチョコレートをたっぷりと食べさせてあげるよ。
縄拘束をいつも通りに施し終えた男がそう告げながら取り出した物は、男根型に固めた悪趣味なチョコレートの棒だった。
どうせ拒絶したくても、背にした丸い柱へと厳重に縛り付けられた裸体ではそれを拒めなどしない。左右の二の腕同士と手首同士を背中で縛り、足首同士と太もも同士を遊び無く括って自由を奪う縄だけでも抗えず逃れられない立場に追いやられている上に全身を緩みなく絞め上げる縄によって柱へと縫い付けられている自分は、黒革と輪状の金属を組み合わせて作られた枷によって閉じることを禁じられた口に異常な見た目をしたチョコレートを突き入れられてもただただそれを受け入れることしか出来ない。
男に飼われている肉奴隷の青年は屈辱と共に諦めを抱きながら、普段加えられている辱めよりはまだマシだと己に言い聞かせつつ、無駄な足掻きなど一切行うこと無く甘ったるい偽の男根に口を貫かれ指示通りにそれを舐めしゃぶり始めた。
選択肢も拒否権も存在しない青年は、自分の支配者である男がチョコレートの外観だけでなくその中身にも悪趣味を混ぜ込んでいることなど知る由も無いまま、従った方がまだ良いという認識のままに己の口内で作り物の男根を舐め溶かし出してしまったのだ。
毎日使われている物とは、効果が比べ物にならない程強烈な媚薬。そんな残酷な薬品が仕込まれた男根型のチョコレートを一本、二本、三本と食べさせられた青年は、拘束された裸体を襲う気が狂う程の発情にみっともなく悶絶し続けている。ビンと張り詰めた男根を苦しげに脈打たせ、縄に縛められているとは到底思えない勢いで柱に密着させられた汗塗れの裸体を痙攣させている青年は、他の箇所よりも媚薬の影響を濃く受けた口内を自らの唾液が撫でる刺激にすら愉悦を感じる程に感度を増幅させられている。
だが、青年にチョコレートを与えた無慈悲な飼い主の男は、滑稽なまでに発情し勝手に快楽を覚えている肉奴隷の様子を悠然と堪能しながら、今日の為だけに用意した専用の冷蔵庫から新たなチョコの男根を取り出し、中心に据えた棒の部分を残してチョコの部分を完全に失った器具の代わりに新品の男根を無防備な口へと差し込んでいく。わずかな休息も許さず、罰をちらつかせて舌の酷使を強要しながら、男は青年に媚薬入りのチョコレートの摂取を命令していく。
無論、青年はそれに抗えない。非道な罰を示されたら、青年はもう従順に従うことしか出来ない。口だけですでに、何回も射精へと達している。その事実を分かり切った上で嬉々として次の行動を促していく男の悪意を遠ざけられない存在として飼育される惨めな青年は、口の中に広がる甘さと媚薬由来の火照りに狂わされながら、触られてもいない男根を絶頂へと至らせることが精一杯の最高に間抜けな肉奴隷なのだ。

「んっ、んむっ、ふみゅうぅ」
「そうそう、その調子だよ。頑張って用意した分を食べきらないと終わらないからね? さっきも言った通り日付が変わるまでに全部食べきれなかったらまた新しいチョコを準備して、明日もたくさん食べさせちゃうからね? それが嫌だったら、しっかり全部食べなさい。休んでる暇なんか無いからね? 頑張るんだよ?」

無自覚に放たれるくぐもった悲鳴が生み出す振動すらも快感へと紐付けられながら。男根が小さくなるにつれて口枷の金属に接続した透明なチョコの土台越しによく見えるようになっていく口内の光景を鑑賞されながら。バレンタインデーを口実にした新鮮な地獄に嬲られる青年は食べきれなかった際に訪れる明日の仕打ちに怯えつつ、満面の笑みを浮かべて自分を愉しむ無慈悲な飼い主の前でまた、男根から精液を迸らせていくのだった。
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