死も許されず男は屈服を教え込まれる

五月雨時雨

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死も許されず男は屈服を教え込まれる

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左右の手首同士と二の腕同士を縄で縛り上げられた腕は、背中で伸ばした状態のまま曲げることも許されず、思い通りには動かせないよう自由を取り上げられてしまっている。足首同士とすね同士、そして太もも同士を縄で括られた足は左右をぴったりと密着させられた状態から抜け出せなくされてしまっている。
両手両足を拘束された男は、どこにも逃げられない。視界を閉ざす黒布の目隠しを外せず、言葉を封じる白布の猿轡を毟り取ることも出来ない。黒い首輪の後部と地下室の天井に打ち付けられたフックを繋ぐ縄を解き、立ったままの姿を強要する残酷な拘束から離れることも叶わない。
あらゆる行動を制限され、身動きを封じられた哀れな男の裸体は、一人きりで置き去りにされた地下室の中央で立ち続けるしか無い。座ることも出来ず、縄に余裕が無いために身をよじって暴れることも禁じられている男は自分を放置した男達の言い付け通りに大人しく立っていることしか出来はしないのだ。

「んぅ……む、ぐうぅ」

地下室には、男が発する呻きと縄が軋む音以外何も音は無い。黒布の目隠しを施されているために視界を黒に占領されている男は、何も視覚情報を手に入れられない。
男に入る情報は、口内を埋め尽くし歯を割って噛まされその上から鼻と口を覆う三重に与えられた布猿轡がもたらす息苦しさと、縄が肌に食い込む痛みだけ。日中に加えられた凌辱による疲弊が生み出す強烈な睡魔を誤魔化すには足りない、弱すぎる情報だけだ。

「んぐ、む……ふうぅ……!」

眠ってはいけない。眠ったら首輪と天井を縄で繋がれた裸体は首吊りの状態となり、窒息して死に至ってしまう。
それを理解していても、快楽と苦痛を伴う責めで疲れ切った肉体は男に睡眠を要求してくる。死への恐怖を募らせながらその眠気を散らそうと考えても、外部刺激がほとんど無いと言っても良い状況では睡魔の方が強く、男は徐々に徐々に意識を朦朧とさせ眠りに抗えなくなっていく。

「っ、ふぅ……うぅ、んっ」

立っていた裸体が、ガクリガクリとバランスを崩す。力を込められていた足が、無意識的に脱力していく。
そしてとうとう、その時が訪れた。男は失神に近い形で意識を失い、首輪にぶら下がるように身体の力を抜いて眠りに落ちた。
首輪で首を圧迫された男の呼吸が、緩やかに停止していく。全ての終わりである死と、自分を捕らえた者達の男根で嬲られ性の捌け口として使い潰される地獄の日々からの解放が男に近付いてくる。
だが、今の男にとって最上の幸福とも呼べる死の瞬間が訪れることは無かった。男を監禁し弄ぶ男達が残していった仕掛けが、首輪に内蔵された非道な装置が作動したからだ。
首輪の内側前部に仕込まれた機械は、一定以上の圧迫を設定された時間を超えて受けたことを感知したことで反応し、首輪全体に内蔵された装置を作動させた。それは、電撃を生み出す装置。気を失った男の裸体に強力な電撃を流し、男の意識を無理矢理覚醒へと導く装置だ。

「んぎゅぅぅぅぅぅーっ!? うぶっ、あぶぁぁぁっ!!」

死へ進んでいた肉体を生の世界へと引き摺り戻す電撃の痛みに悶絶する男は脱力していた裸体を飛び跳ねるような動きで再び立たせ、なおも続く電撃に悲鳴を上げている。
何時まで続くのか、永遠とも思える電撃に苛まれ喉が潰れるほどに鳴き叫ばされていた男は前触れ無くピタリととまった電撃に安堵すると同時に改めて絶望を抱いた。
自分は、死すら許されない。自分を捕らえたあの男達は死ぬことすら認めずに、自分を気が済むまで毎日弄び続けるのだ。

「うぅ……うっ、ふうぅ……!」

誰か、助けて。目を覆う布の下で涙を零し、丸出しの男根を揺らしながら裸体をもがかせる男はその夜一晩中気を失っては電撃で起こされを繰り返し、心と身体を容赦無くすり減らされ男達には抗えない存在へとなるよう屈服を教え込まれていくのだった。
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