正義は憎しみを込めた淫獄で自我の崩壊へと追い詰められる

五月雨時雨

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正義は憎しみを込めた淫獄で自我の崩壊へと追い詰められる

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「むぐぅぅっ……うぅぅ! うむぅぅ……っ!!」

黒革の目隠しの下で悔しげに眉根を寄せ、口内を喉近くまで満たしている男根を模した棒に歯を立てて焦りを乗せた言葉にならぬ唸りを漏らしながら、男が拘束を与えられた状況からの脱出を求めて一人きりの部屋で必死に裸体をもがかせている。
だが、幾ら男が試行錯誤を繰り返しても自由を奪う拘束達は外れる気配すら見せない。左右の指先から二の腕をすっぽりと包み込んで締め付け男の両腕に背中で伸ばしきった状態を強要している黒革製のアームバインダーは、どんなに腕を暴れさせてもぎちぎちと軋む音を立てながら肩に通された固定用のベルトが食い込む痛みを男に味わわせるのみでビクともしない。左右の足首から足の付け根までを覆って圧迫し男の両足を隙間無く密着させている腕の物と同じ黒革で作られた拘束具は、曲げることも左右を離すことも禁じられた足をじたばたと動かしている男の足掻きを嘲笑うかのように音を鳴らすばかりで緩みすらしない。
視界と言葉を没収する拘束と一体化している黒革のベルトを組み合わせた器具を全体に這わされた頭部を前後左右に揺らし、頭頂部の部分を通るベルトの金具に通されている部屋の天井から鎖で吊るされたフックに甲高い金属音を立たせながらなりふり構わずに身悶えを行っても、哀れな男は自由を取り戻せず自分を捕獲した組織の者達が所有する建物の一室から逃れることも叶わない。
腕を縛められ、足を一つにまとめられ、頭部と天井を繋ぐ頑丈な金属によってつま先立ちの姿勢を強いられた無様な男。そんな男に残された道は、たった一つだけ。長い間惨めな孤独に苛まれながら放置されていた部屋にやって来た者達に一方的な落胆と侮蔑を浴びせられつつ、恥部を覆い隠すことも不可能にされた抗えぬ裸体を弄ばれることだけだ。

「んぐっ!? むぁっ、ぶむぅぅぅっ!!」

数時間ぶりに開いた扉の音に驚愕しながら、焦燥と恐怖の反応を示しつつ男が一層激しく裸体をよじらせる。その行動が何の成果も生めないことは嫌という程に理解させられたというのに、男は容易に想像が付く目隠しの向こうにいる者達の醜悪な笑みとこれから始まる地獄を嫌がって、丸出しの男根をぶるぶると跳ね回らせつつ天井から頭部を吊るされつま先のみが床に触れている汗に濡れた拘束塗れの裸体をくねくねと無駄に踊り狂わせる。
その愉快極まりないダンスを披露する男を悠然とした足取りで取り囲んだ非道な存在達は、男が想像した通りの悪意を露わにした笑顔で滑稽な諦めの悪い努力をしばし鑑賞し愚かな男を手中に収めた事実を改めて噛み締めながら、とめどなく湧き上がる興奮に従って何処にも逃れられぬ男を辱める言葉を吐き、到底納得出来ない理由を添えつつ無防備な男に嬉々として責めを注ぎ始めた。
それは、守りたくても守れぬ男の裸体を好き勝手に嬲り甘く悶え苦しめさせる快楽の責め。自分達に被害をもたらそうとしたことに対する後悔を抱かせつつ、気高き誇りと尊厳を容赦無く打ちのめさせる残酷で淫猥な拷問だ。

「私達は君の優秀さを買ってたのに、まさか最初から裏切るつもりで潜入してた捜査員だったなんてねぇ……残念だよ、○○君」
「本当にね、私は君にだったら幹部の座を明け渡しても構わないと思うくらいに良い印象を持っていたし、評価もしていたんだよ? それなのに、君は私達の組織を潰すつもりだった。君に期待してると口にしていた私達幹部の顔に泥を塗ったんだよ?」
「そんなの、許されることじゃないよねぇ? 君のせいで私達の立場が危うくなっているんだから、お詫びとして壊れるまでイき狂いなさい。捜査員としての正義も、人としての理性も全部無くなるまで気持ち良く苦しみ抜いて、君と私達が繋がっていないことをその身体でしっかり他の幹部や総帥に示すんだよ? 分かったね、○○君?」
「あぐっ、んまぁぁっ! うぶっ、ぶぅぅ! あぉっ……んむぅぅぅんっ!!」

悪に属する幹部として敵対している正義の男を叩き潰す目的だけではなく、男が捜査員である事実に全く気付いていなかった頃に発した言葉のせいで恥をかかされたことへの私怨を晴らす目的も交えた責めにいたぶられる捜査員は、情けなく身をよじらせてどうにか逃がした乳首をすぐに追い付いた指に捏ね回され、同様に逃がした男根を巧みに動く指で心地良く撫で回されながら、つま先立ちの裸体を痛々しく痙攣させつつ意に染まぬ悦楽に屈して絶頂を迎える様子を、自分を憎む敵組織の幹部達と、監視を兼ねて恥辱の光景を愉しむ為に部屋を訪れた敵達に、自我が淫らに崩壊しこれまで積み重ねた自分が跡形も無く消え去る時まで鑑賞され続けていた。
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