甘い至福で男は商品へと蕩け落ちる

五月雨時雨

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甘い至福で男は商品へと蕩け落ちる

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斜め上に引き延ばされた腕は、肘から先の部分を柔らかなクッションに隙間無く包み込まれていて全く思い通りに動かせない。斜め下に伸ばされた足も同様に、膝から先をクッションの内側に閉じ込められており自由には動かせない。
その手足を縛められた状況で、男は逞しく鍛え上げられた無防備な裸体を甘く緩やかに責め立てられている。手足を拘束する箱状の機械に蓋をする形で取り付けられた別の機械から伸びたアームの先にある作り物の手から染み出す淫薬混じりのローションを全身にまぶされながら、男は尖りきった乳首と硬く張り詰めた男根を、暗闇の中で刺激され続けている。
身動きを封じられ、何処にも逃げられず姿で快楽を一方的に注がれる。それは、危機以外の何物でもないはずだ。機械製の箱の内側に閉じ込められ、抗えぬ裸体を好き勝手に弄ばれている。その状態は、絶望以外の何物でもないはずだ。
しかし、男は一切焦ること無く送り込まれる快楽を受け入れている。拘束を加えられた直後に抱いていた恐怖や怯えを完全に忘れ、男は蕩けるような快楽を積極的に汲み取っている。
何故なら、これは淫らな刺激を用いて肉体に安らぎとほぐれをもたらすマッサージ機の稼働テストであり、男はその稼働テストに若干の行き違いはありつつも自ら応募した被験者だからだ。

「あぁ……んぁっ、はぁ……ふぁぁんっ」

普通のマッサージ機だと勘違いして応募し、現場に着いてから己の間違いに気付いた時の狼狽を思い出すことすらも困難な程の至福に溺れながら、男は無意識に腰を振りつつ箱の内側に甘い鳴き声を響かせている。応募の際に出した求人の内容が分かりにくかったことを謝罪しながら移動費を出しますと言いつつ辞退をするかと尋ねられたことと、恥じらいながらも裸体を晒し拘束を与えられながら念を押すように確認されたことを鈍った頭で思い出しながら、男はそれらの申し出を受けなくて良かったと心から感じつつ、ゆったりと押し上げられるがままに新たな射精へと上り詰めていく。

「きもちぃ……あぁ、まら、イくぅ……乳首も、ひんこも……幸せぇ……っ」

次々と湧き上がる悦びに浸り、だらしなく表情を緩ませている男にはもう、正常な判断力は欠片も残っていない。
蓋を閉じる前に伝えられた稼働テストの時間である一時間がとっくに過ぎ去っていることも、今の男には把握出来ない。
理性と本能の両方で快楽を追い求める淫乱へと堕ちた男は、弄るのは乳首と男根だけという自らの口でさせた約束を破り新たに現われたアームが快楽漬けによって弛緩した尻穴をほじり始めても、男根を模した機械が喘いでいた口を塞ぎ身体に塗られている物よりも強力な淫薬を飲ませてきても恐れを覚えられず、むしろ増えた快感を嬉しがりながらより短い間隔で幸福に満ちた射精へと至り出した。
淫猥な男の鳴き声が聞こえてくる機械の箱を外側から邪悪な笑みで眺めている男達の目論見通りに、求人の不備を謝った際や拘束を施しつつ不安げに確認を発した際に見せていた柔和な人柄の仮面を捨て残忍な犯罪組織の表情を浮かべている非道な男達の思惑通りに、まんまと捕らわれた男は快楽を得ること最優先と考える愛玩奴隷への調教を本格的に開始されてしまったのだ。

「んふっ、んぶっ、むぅぅんっ……! うぐっ、むぁぁぁんっ!」

はしたなく膨らみ硬くしこっている乳首を捏ねる指が、何度も射精を迎えさせられたというのに勃起を維持し先走りをとめどなく零している男根を撫でる指が、窄まった尻穴を割り開き淫薬をたっぷりと塗り付けつつ腸壁を優しく巧みに掻き毟る指が、気持ち良い。それどころか、偽の男根全体から染み出す強力な淫薬を塗布され性器と変わらぬ感度へとあっという間に仕立て上げられた口が、くぐもった喘ぎを放つ度に堪らなく気持ち良い。
クッションに飲み込まれた肘から先と膝から先を除いたほぼ全てを心地良く嬲り作り変えていく無慈悲な機械に何処にも逃れられぬ裸体を甘く追い詰められながら、男は自分が残酷な調教によって淫らに変質させられつつあるという自覚さえ持てぬまま幸せにイき狂わされ続け、何もかもを忘却した従順な愛玩奴隷へと、同じ手口で騙され快楽の虜にされた者達と同じように犯罪組織を潤す淫猥な商品へと、自らの意思で無抵抗に陥落していくのだった。
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