悪は視覚と聴覚で無様な正義を味わう

五月雨時雨

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悪は視覚と聴覚で無様な正義を味わう

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左右の手首と肘、そして二の腕を背中できつく括る縄を与えられた男の腕は背中で伸ばしたままの状態から離れられないよう動きを制限されてしまった。すでに思い通りの動きを行えず視界を閉ざす黒革の目隠しと言葉を奪う黒い棒状の口枷を毟り取ることも叶わない腕を、追い打ちの縄で胴体へと遊び無く縫い付けられた男は腕を振り乱すことも禁止され、指を用いて縄の結び目と格闘することさえも困難な状況に追いやられてしまった。
この腕の拘束だけでも、男はあらゆる抵抗と試行錯誤を不可能にされている。男は視界と言葉を取り返す行動に近付くこともままならず、指を無意味に暴れさせる程度の動きしか取れなくされている。
そんな男に、非道な存在は更なる縄をもたらした。追加された縄によって足首と太ももを結合され、膝の上下を結わえられてしまった男は足を伸ばすことも封じられ、歩く以前に立ち上がることさえも出来ぬ姿へと変えられてしまったのだ。
手も足も使えない。視界も言葉も塞がれた。様々な形で自由を没収された男はもう、どうやっても捕らわれた事実を覆せない。そうして完全に選択肢を潰され、危機からの脱出に続く道を断たれた滑稽な男を作り出した無慈悲な存在は、悔しげに呻いて強気に反抗を示しつつ裸体をもがかせる男の様子を嘲笑いながら、まだ気丈な態度を保っている男にこれ以上無い絶望を味わわせる為にとどめの拘束を施した。
それは、上半身の縄と下半身の縄を繋ぐ縄と、手の指から自由を削ぎ落とす鍵付きの黒い手袋。かすかな希望と、その希望を手繰り寄せる手段を欠片も残さず消滅させる残忍なとどめの拘束だ。

「ふぅ……んぐっ、むふぅっ……!」

上下の縄を繋ぐ縄によって許しを請うかのように頭を低くした体勢を強要された裸体をくねらせながら、男が隠しきれぬ絶望が滲んだ唸りを弱々しく零す。手を握り拳に固定する手袋の内側で指を虚しく必死に動かしながら、男が丸出しにさせられた尻穴と男根を抑えきれぬ怯えの感情に合わせて小刻みにヒクヒクと震わせる。
もうこの男は、何をされても決して拒めはしない自分専用の玩具だ。屈辱と恥辱に嬲られながらも、叩き込まれるそれらの辱めを無抵抗に受け入れさせられるしか無い滑稽な肉奴隷だ。
触り心地の良い尻肉を指先で堪能し、嫌がる唸りと恥部を揺らしつつ行われる愉快な身悶えを存分に愉しみながら至福の情報を改めて噛み締めた支配者は、汗に濡れた尻肉を掴んで尻穴を大きく広げさせながら、自身のベッドの上で哀れに恥部を晒している男に歪んだ悦びを露わにした言葉を浴びせた。

「ふふっ……捜査員さんの恥ずかしいところ、何もかも丸見えだよ? 逞しいおチ○チンも、お尻のシワが私の親指で伸ばされてる光景も、全部丸見えだ。惨めだね、無様だね、私を愉しませる為だけに生きる奴隷にぴったりの情けない格好だねぇ……捜査員さん?」
「ふぅぅ! んぐっ……むうぅぅ!」

憎い悪の男が放つ言葉の刃に心を切り付けられた捜査員の男は無駄だと理解しているはずなのに悪の思惑に沿って裸体をもがかせ始め、予想通りの反応を見せ出した捜査員に対し悪の男は無言で笑みの黒さを深めながら、左右の親指で広げた尻穴がもがきに合わせて変形する様と悔しげな呻きを、捜査員を手中に収めた事実を再確認させてくれる縄の音と一緒に視覚と聴覚で鑑賞し続けていた。
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