目覚めぬ男は仲間と同じ姿へと追いやられる

五月雨時雨

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目覚めぬ男は仲間と同じ姿へと追いやられる

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「んぅぅぅーっ! んぐっ、むぅぅぅっ!!」
「ふぶっ、ぶむぅぅ! んむ、んもっ、むぐぅぅっ!」

固く丸めた布を押し込まれ、黒色のガムテープを用いて栓を施された口から言葉にならない唸りを飛ばして、二人の男が早く目を覚ませと必死に訴えかける。
このままではもう一人にも自分達と同じ拘束を与えられ、三人仲良く敵の手に堕ちた状態へと陥ってしまう。どうにかしてそれを避けたい一心で、二人の男は縄に縛められた裸体をじたばたとよじらせながら意識を失っている仲間に向かって一生懸命に叫ぶ。
しかし、薬品の効果がまだ残っている男は二人の仲間が飛ばすなりふり構わぬくぐもった絶叫も虚しく目を覚ます気配すら見せない。迫り来る危機はおろか仲間が無我夢中で行う注意喚起の唸りにも一切気付かぬまま眠り続けている男は、先に捕らわれた二人と同じ縄の拘束を裸体に加えられ、自力では何処にも逃げられない屈辱的な格好へと追いやられるしか無いのだ。

「んっ……むぅ……っ」

裸体を圧迫する縄の食い込みに無意識の反応を見せる男が、言葉を取り上げられた口からテープごしに呻きを漏らす。
その呻きを耳にして愉しげに笑い、無意味に叫び続けている二人を一瞥して嘲笑を浮かべながら、男達は無抵抗の男に協力して縄を手早く巻き付けていく。
左右の手首と二の腕を背中で一つにまとめられた男の腕は、伸ばしたままの状態から抜け出せないよう動きを制限された。足首とすね、そして太ももを縄に括られた男の足は密着させられた左右の足をわずかに離すことも許されず、歩いての移動以前に立つことすらも不可能にされてしまった。
だが、男達の悪意はそこで終わらない。すでに手も足も言葉も出せない惨めな男に、非道な男達は更なる縄をもたらしていく。
左右を結合された腕を腹部と胸部に縛り付ける縄を加えられた男は、腕を暴れさせることさえも禁じられた。足首の縄に後から足された縄と腕を胴体に繋ぐ縄を遊び無く結合された男は足を限界まで後ろに折り曲げることを強要され、芋虫のように情けなく床を這うことも出来なくされた。
そうして完全に身動きを封じた男を、残忍な男達は愉悦を露わにした醜悪な表情を浮かべながら最後の一人も自由を奪われてしまった事実に打ちひしがれる二人の間に運び、二人と同じ姿となるように地下室の天井から吊るした鎖の先にあるフックを足首と胴体を結ぶ縄に引っ掛け、鎖を巻き取ってもがいた程度ではフックからは離れられない状況を作り出してしまった。

「んぐっ、むうぅぅ」
「んもっ、ぶぅぅ」
「ふぐ……っう……」

甲高い金属音を立てて巻き取られていく鎖を横目で見上げ、自分達と同じように全身の縄の圧迫を引き上げられながら腹部のみが床に触れている格好に追いやられていく仲間を絶望色の瞳で見つめつつ、二人の男は隠しきれぬ怯えを滲ませた唸りを思わず零し、眠り続けていた男は身体中を苛む不快な食い込みを感じてわずかに声を零した。
その様子を堪能し、笑みの黒さを増幅させた男達は自分達の支配下に置かれた三人の男を見下ろしながら愉しげに言葉を浴びせた。それは、抗えぬ三人へと無慈悲に叩き込む苛烈な淫獄を宣告する言葉だ。

「それじゃ、真ん中の奴が起きたら三人仲良くいたぶってやるからな。愉しみにしてろよ?」
「俺達を嗅ぎ回ったことを、たっぷりと反省させてやるよ。どんなに鳴き喚いても絶対に許さずにな……」
「剥き出しのチ○コに玩具を付けて、みっともなくイき狂わせて欲しいか? それとも、乳首とチ○コに薬塗って気が狂う程の疼きで苦しめて欲しいか? 俺達全員のオカズになって全身精液塗れにされながら、匂いで追い詰められるってのもあるぜ? どれが良いか、真ん中が目ぇ覚ますまでに決めておけよ? もし決めてなかったら……今言った全部でめちゃくちゃに嬲り倒しちゃうからな?」
「んぐ、もおぉ……っ!」
「うぶ、むぐぁぁ……!!」

嬉々として告げられた責め苦に戦慄し、聞き流されるだけの拒絶を返す二人の男はやがて淫獄が訪れないよう、真ん中に配置された仲間を目覚めさせないよう唸りと身悶えを最小限に抑え始め、残忍な男達は仲間を目覚めさせようとしていた数分前の物とは真逆の努力を行う二人の男の哀れな様を鑑賞しつつ、じょじょに薬が抜けていく真ん中の男が絶望と淫獄が待ち受けている現実に戻ってくる時を歪んだ高揚を湧き上がらせながらじっと待ち続けていた。
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