青春を謳歌するすべての人に贈る

わん太

文字の大きさ
3 / 3

二話 ヒロインじゃないっ!!

しおりを挟む
人間は都合良く嫌な思い出を忘れる事ができないらしい

しかし、それは本当に一瞬のことで....
あるいは永遠にも感じられる程に
本当に本当に輝いていた......

  ◆◆◆

自分の自己紹介を終えて席についてなんとなくグラウンドの様子を窓越しに眺めているとしばらくして今朝見かけたあの少女が自己紹介を始めた。

蝴取撫子ことりなでこといいます!可愛いものと美味しいものが大好きです!いいお店とか知ってたら教えて下さい!」

••••••けっクソリア充がよ!可愛いじゃねーか。
しかし、よく見るとサラサラとした指通りの良さそうな黒髪は教室の電灯に照らされてどこか神秘的にも見える。整った顔立ちで良い意味で浮いている。

席に帰って座る、その動作一挙一動が絵画のように(?)美しい。きっと絶世の美女という言葉は彼女のためにある、ロマンチストなんかじゃ無い俺でさえ柄にもなくそんなことを考えた。

今日は登校初日だからオリエンテーションと授業の説明だけで一日が終わった無難に話を聞いていれば一日なんてすぐだ。
ホームルームの最中に寝てしまったから部活動も終わった様な頃に起きてしまった。
まあ帰宅部志望の俺にとっては部活動は関わりのないものだが.......

「ほん··に何··のあ···つ!マジでム····く!」
正確には聞き取れないが誰かが絶叫に近い悪意の吐露を行っているらしい。関わらないほうが良いな。

スッと静かに、気配を消して横を通り過ぎようとしたがちらっと見えたスマホの画面には信じられない罵詈雑言が並んでいた。
(今日が登校初日だった男共は気持ち悪い目で見てくるし女は皆嫉妬を隠そうともしないし、マジで最悪。)

おいおい登校初日だろ悪口を言うにはいくらなんでも早すぎるんじゃ無いか?
そんな嫌いなやつでもいるのか....⁇


「オイ、」

「はい?..」

恐る恐る振り返るとそこには蝴取さんがいた、自己紹介のときとは打って変わって憎悪に顔を歪めこちらを睨んでいる。

「聞いたよな?」

「え、ぇ聞いて無いですョ...」

「嘘はつかなくてもいい、聞いたり見たりされたならそれまで。」

「私の本性はこれ、誰かに言ったりしないならこっちから関わったりはしないし。」

「てゆうかさ、君同じクラスの人だよね。しかも君滅茶苦茶陰キャみたいな自己紹介してたし、これ以上クラスでの居場所を失うような事はすべきじゃ無いと思うけどな?」

「だ、誰かに言ったりするつもりはない。だからその脅しはやめてくれ.....」

流石にこれ以上クラス内での居場所が無くなるのは怖い、それに今日一日だけで蝴取さんは俺のクラスの大多数を味方に付けてしまった。そんな彼女が言ったことならあのクラス内では白も黒に変わってしまう、敵に回したく無い人間ランキングではすでに上位に君臨している。

今この瞬間も危険人物ランキングで一気に上位に躍り出た。






別にラブコメみたいな展開やヒロインが欲しい訳じゃないがいくらなんでもこれは無いんじゃないか?············


春:4月2週(晴れ)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...