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二話 ヒロインじゃないっ!!
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人間は都合良く嫌な思い出を忘れる事ができないらしい
しかし、それは本当に一瞬のことで....
あるいは永遠にも感じられる程に
本当に本当に輝いていた......
◆◆◆
自分の自己紹介を終えて席についてなんとなくグラウンドの様子を窓越しに眺めているとしばらくして今朝見かけたあの少女が自己紹介を始めた。
「蝴取撫子といいます!可愛いものと美味しいものが大好きです!いいお店とか知ってたら教えて下さい!」
••••••けっクソリア充がよ!可愛いじゃねーか。
しかし、よく見るとサラサラとした指通りの良さそうな黒髪は教室の電灯に照らされてどこか神秘的にも見える。整った顔立ちで良い意味で浮いている。
席に帰って座る、その動作一挙一動が絵画のように(?)美しい。きっと絶世の美女という言葉は彼女のためにある、ロマンチストなんかじゃ無い俺でさえ柄にもなくそんなことを考えた。
今日は登校初日だからオリエンテーションと授業の説明だけで一日が終わった無難に話を聞いていれば一日なんてすぐだ。
ホームルームの最中に寝てしまったから部活動も終わった様な頃に起きてしまった。
まあ帰宅部志望の俺にとっては部活動は関わりのないものだが.......
「ほん··に何··のあ···つ!マジでム····く!」
正確には聞き取れないが誰かが絶叫に近い悪意の吐露を行っているらしい。関わらないほうが良いな。
スッと静かに、気配を消して横を通り過ぎようとしたがちらっと見えたスマホの画面には信じられない罵詈雑言が並んでいた。
(今日が登校初日だった男共は気持ち悪い目で見てくるし女は皆嫉妬を隠そうともしないし、マジで最悪。)
おいおい登校初日だろ悪口を言うにはいくらなんでも早すぎるんじゃ無いか?
そんな嫌いなやつでもいるのか....⁇
「オイ、」
「はい?..」
恐る恐る振り返るとそこには蝴取さんがいた、自己紹介のときとは打って変わって憎悪に顔を歪めこちらを睨んでいる。
「聞いたよな?」
「え、ぇ聞いて無いですョ...」
「嘘はつかなくてもいい、聞いたり見たりされたならそれまで。」
「私の本性はこれ、誰かに言ったりしないならこっちから関わったりはしないし。」
「てゆうかさ、君同じクラスの人だよね。しかも君滅茶苦茶陰キャみたいな自己紹介してたし、これ以上クラスでの居場所を失うような事はすべきじゃ無いと思うけどな?」
「だ、誰かに言ったりするつもりはない。だからその脅しはやめてくれ.....」
流石にこれ以上クラス内での居場所が無くなるのは怖い、それに今日一日だけで蝴取さんは俺のクラスの大多数を味方に付けてしまった。そんな彼女が言ったことならあのクラス内では白も黒に変わってしまう、敵に回したく無い人間ランキングではすでに上位に君臨している。
今この瞬間も危険人物ランキングで一気に上位に躍り出た。
別にラブコメみたいな展開やヒロインが欲しい訳じゃないがいくらなんでもこれは無いんじゃないか?············
春:4月2週(晴れ)
しかし、それは本当に一瞬のことで....
あるいは永遠にも感じられる程に
本当に本当に輝いていた......
◆◆◆
自分の自己紹介を終えて席についてなんとなくグラウンドの様子を窓越しに眺めているとしばらくして今朝見かけたあの少女が自己紹介を始めた。
「蝴取撫子といいます!可愛いものと美味しいものが大好きです!いいお店とか知ってたら教えて下さい!」
••••••けっクソリア充がよ!可愛いじゃねーか。
しかし、よく見るとサラサラとした指通りの良さそうな黒髪は教室の電灯に照らされてどこか神秘的にも見える。整った顔立ちで良い意味で浮いている。
席に帰って座る、その動作一挙一動が絵画のように(?)美しい。きっと絶世の美女という言葉は彼女のためにある、ロマンチストなんかじゃ無い俺でさえ柄にもなくそんなことを考えた。
今日は登校初日だからオリエンテーションと授業の説明だけで一日が終わった無難に話を聞いていれば一日なんてすぐだ。
ホームルームの最中に寝てしまったから部活動も終わった様な頃に起きてしまった。
まあ帰宅部志望の俺にとっては部活動は関わりのないものだが.......
「ほん··に何··のあ···つ!マジでム····く!」
正確には聞き取れないが誰かが絶叫に近い悪意の吐露を行っているらしい。関わらないほうが良いな。
スッと静かに、気配を消して横を通り過ぎようとしたがちらっと見えたスマホの画面には信じられない罵詈雑言が並んでいた。
(今日が登校初日だった男共は気持ち悪い目で見てくるし女は皆嫉妬を隠そうともしないし、マジで最悪。)
おいおい登校初日だろ悪口を言うにはいくらなんでも早すぎるんじゃ無いか?
そんな嫌いなやつでもいるのか....⁇
「オイ、」
「はい?..」
恐る恐る振り返るとそこには蝴取さんがいた、自己紹介のときとは打って変わって憎悪に顔を歪めこちらを睨んでいる。
「聞いたよな?」
「え、ぇ聞いて無いですョ...」
「嘘はつかなくてもいい、聞いたり見たりされたならそれまで。」
「私の本性はこれ、誰かに言ったりしないならこっちから関わったりはしないし。」
「てゆうかさ、君同じクラスの人だよね。しかも君滅茶苦茶陰キャみたいな自己紹介してたし、これ以上クラスでの居場所を失うような事はすべきじゃ無いと思うけどな?」
「だ、誰かに言ったりするつもりはない。だからその脅しはやめてくれ.....」
流石にこれ以上クラス内での居場所が無くなるのは怖い、それに今日一日だけで蝴取さんは俺のクラスの大多数を味方に付けてしまった。そんな彼女が言ったことならあのクラス内では白も黒に変わってしまう、敵に回したく無い人間ランキングではすでに上位に君臨している。
今この瞬間も危険人物ランキングで一気に上位に躍り出た。
別にラブコメみたいな展開やヒロインが欲しい訳じゃないがいくらなんでもこれは無いんじゃないか?············
春:4月2週(晴れ)
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