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3】悩みを打ち明けてみた
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3】悩みを打ち明けてみた
「こんにちは、アラン様。俺の名前はレオ。賢者なんて言われていますが何。ただの知りたがり屋です。王様の命で、アラン様の悩みを解消しに来ました」
よりにもよって、私を気遣ってくれる皆の優しさか。
私に悩みがあるらしいと流れてしまった噂は王様の耳に入り、国一番の賢者を呼ばれてしまった。
「アランよ。悩み事は一人で抱え込まない方が良い。きっとお主のことだ、人には言えないような悩みをもっていることだろう。だが、誰かに悩みを打ち明け考えていくと解決策があるかもしれん。よって、ここに賢者・レオを呼んだ。口は賢者らしくないが、知識は確かだ。レオに相談すると良い。わし相手でも、決して口外はせん」
「そ……れは……お心遣い感謝致します……」
(どうして、こんなことに!)
心の中で叫びながら、私は王様と賢者・レオ殿の顔を見つめることしか出来なかった。私の様子に気づいたレオ殿が、「おや」と言葉を続ける。
「王様。では早速、俺はアラン様の悩みを聞くためにお暇しますよ。そうだ、俺の庭が良い。これから、時々アラン様を借りてしまうと思うが、王様良いですか?」
「ああ、勿論だ。ではアランよ。お主の悩みが消えることを、願っているぞ」
「はい」
二コリと王様の隣で、俺を見つめて笑うレオ殿。それからコツコツと足音を鳴らして俺の隣へ。
「じゃあ、アラン様。俺についてきて下さい」
「え! 早速ですか? ですが今日も仕事が……」
「良い。アランよ、働き過ぎじゃ。今日の仕事はレオと共に過ごすことじゃ」
「だそうですよ」
「……分かりました。では、失礼致します」
「安心してください。別に取って食おうってわけじゃないんで」
二人に対して、私の悩みは大丈夫なんだと言える雰囲気ではなく。
私は「行きますよ」と声をかけたレオ殿の後ろとついて行くことにした。城の中は広い。いつも行き来している通路を抜けて、城を出た。城下町とは反対の、城の裏手にある森の方へ。草木の茂る道は、馬を連れてくることがあっても奥まで行ったことは子供の頃くらいだろうか。
「ここから森の中を、少し歩きますよ」
「分かりました」
*******
*****
それからレオ殿と二人、森の中を暫く歩いた。そうこうしていると、丘のように開けた場所に家が一軒見えた。
「着いた。ここが俺の家です」
「こんな所に家があるなんて、知りませんでした」
「まぁ、誰もこんな所には来ませんからね。誰が言い出したが、賢者の庭なんて恰好良い呼び名がついてはいますが、いたって普通の我が家ですよ。王様に、我がまま言って作って貰ったんです」
「王様に?」
「ええ、賢者特権です」
それからガチャリとレオ殿が扉を開けて、家の中へ。
広くて大きな室内は、本が多いが片付いていて髪の匂いが鼻孔に香った。
「お茶を淹れるので、アラン様は適当に座って下さい。ああ、このローブと帽子も脱ぎますね。王様が城にいる時は、それらしい恰好をというので着てるんですが、俺は堅苦しい恰好は苦手で」
そういって入口の傍にローブと帽子を引っかけたレオ殿。ローブ以外の姿は初めて見るなとまじまじと姿を見つめていれば、レオ殿がクスリと笑った。
「俺が珍しいですか?」
「あ、いえ! すみません。見かける時は、ローブ姿しか見たことがなったので新鮮で」
「あはは。まぁ、そうでしょうね」
どうぞ、と置かれたお茶を一口。
最初の印象こそ緊張してしまったが、言葉を交わすうちに緊張が和らいできたが……────。
「どうです? 俺に慣れてきました?」
「はい。そういえば、何度かお顔は見たことがありますが、こうして話すのは初めてですね」
「そうですね。俺もアラン様と話したかったので嬉しいです。とまぁ、世間話は置いておいて本題にいきましょうか。アラン様の悩みを教えて下さい」
「……ぇ」
(どうしよう)
引き戻される現実に、思わずヒュッ……と息を飲んだ。
悩みというほど大きく深刻な物ではない。
「あ、いえ。本当に噂になるような悩み事は無いんですよ」
「……」
ジッと私の目を見つめるレオ殿。
「アラン様。俺の目を見て言って下さい」
「本当に、相談するほどのことでは……」
「アラン様?」
二度目の微笑は、どこか圧を感じた。
騎士団長として団員を率いる時は、こんなこと無いのに。着ている鎧を脱がされ、ただ一人の人間として逃げ場のない状況に、私は初めて白旗を上げた。
「…………いんです」
「ん?」
「そのっ……一人で自慰するときに上手く達せないんです……」
「へぇ……」
ああ、言ってしまった。
**********
■一部少しキャラ修正などしました。
今回、この辺で区切りたかったのでこのくらいの長さですが、次回からまた少し短くなると思います。
繁忙と、詰んだので少し更新遅れるかもしれません><
■お気に入り有難うございます!
「こんにちは、アラン様。俺の名前はレオ。賢者なんて言われていますが何。ただの知りたがり屋です。王様の命で、アラン様の悩みを解消しに来ました」
よりにもよって、私を気遣ってくれる皆の優しさか。
私に悩みがあるらしいと流れてしまった噂は王様の耳に入り、国一番の賢者を呼ばれてしまった。
「アランよ。悩み事は一人で抱え込まない方が良い。きっとお主のことだ、人には言えないような悩みをもっていることだろう。だが、誰かに悩みを打ち明け考えていくと解決策があるかもしれん。よって、ここに賢者・レオを呼んだ。口は賢者らしくないが、知識は確かだ。レオに相談すると良い。わし相手でも、決して口外はせん」
「そ……れは……お心遣い感謝致します……」
(どうして、こんなことに!)
心の中で叫びながら、私は王様と賢者・レオ殿の顔を見つめることしか出来なかった。私の様子に気づいたレオ殿が、「おや」と言葉を続ける。
「王様。では早速、俺はアラン様の悩みを聞くためにお暇しますよ。そうだ、俺の庭が良い。これから、時々アラン様を借りてしまうと思うが、王様良いですか?」
「ああ、勿論だ。ではアランよ。お主の悩みが消えることを、願っているぞ」
「はい」
二コリと王様の隣で、俺を見つめて笑うレオ殿。それからコツコツと足音を鳴らして俺の隣へ。
「じゃあ、アラン様。俺についてきて下さい」
「え! 早速ですか? ですが今日も仕事が……」
「良い。アランよ、働き過ぎじゃ。今日の仕事はレオと共に過ごすことじゃ」
「だそうですよ」
「……分かりました。では、失礼致します」
「安心してください。別に取って食おうってわけじゃないんで」
二人に対して、私の悩みは大丈夫なんだと言える雰囲気ではなく。
私は「行きますよ」と声をかけたレオ殿の後ろとついて行くことにした。城の中は広い。いつも行き来している通路を抜けて、城を出た。城下町とは反対の、城の裏手にある森の方へ。草木の茂る道は、馬を連れてくることがあっても奥まで行ったことは子供の頃くらいだろうか。
「ここから森の中を、少し歩きますよ」
「分かりました」
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それからレオ殿と二人、森の中を暫く歩いた。そうこうしていると、丘のように開けた場所に家が一軒見えた。
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「こんな所に家があるなんて、知りませんでした」
「まぁ、誰もこんな所には来ませんからね。誰が言い出したが、賢者の庭なんて恰好良い呼び名がついてはいますが、いたって普通の我が家ですよ。王様に、我がまま言って作って貰ったんです」
「王様に?」
「ええ、賢者特権です」
それからガチャリとレオ殿が扉を開けて、家の中へ。
広くて大きな室内は、本が多いが片付いていて髪の匂いが鼻孔に香った。
「お茶を淹れるので、アラン様は適当に座って下さい。ああ、このローブと帽子も脱ぎますね。王様が城にいる時は、それらしい恰好をというので着てるんですが、俺は堅苦しい恰好は苦手で」
そういって入口の傍にローブと帽子を引っかけたレオ殿。ローブ以外の姿は初めて見るなとまじまじと姿を見つめていれば、レオ殿がクスリと笑った。
「俺が珍しいですか?」
「あ、いえ! すみません。見かける時は、ローブ姿しか見たことがなったので新鮮で」
「あはは。まぁ、そうでしょうね」
どうぞ、と置かれたお茶を一口。
最初の印象こそ緊張してしまったが、言葉を交わすうちに緊張が和らいできたが……────。
「どうです? 俺に慣れてきました?」
「はい。そういえば、何度かお顔は見たことがありますが、こうして話すのは初めてですね」
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「……ぇ」
(どうしよう)
引き戻される現実に、思わずヒュッ……と息を飲んだ。
悩みというほど大きく深刻な物ではない。
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「……」
ジッと私の目を見つめるレオ殿。
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「本当に、相談するほどのことでは……」
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「…………いんです」
「ん?」
「そのっ……一人で自慰するときに上手く達せないんです……」
「へぇ……」
ああ、言ってしまった。
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■一部少しキャラ修正などしました。
今回、この辺で区切りたかったのでこのくらいの長さですが、次回からまた少し短くなると思います。
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