【完結・BL】王子は騎士団長と結婚したい!【王子×騎士団長】

彩華

文字の大きさ
3 / 75

3】

3】

 一日の時間はあっという間に過ぎていく。アーサー様と別れた後、別段予定は無かったのだが、急に入った仕事などで気づけば夕食を取る時間になっていた。夕食を取り終え、風呂に入り。あとは眠れば、一日が終わる。だが今日は違う。

『ギルベルト、今日も私の部屋に来てくれるかい?』

思い出すのは、アーサー様の言葉。二人だけだったから良かったが、あんなに至近距離で。しかも甘く囁いたアーサー様。呼ばれれば、拒否権は無い。それに、呼ばれるのは初めてではなかった。

「はぁ……」

姿見で自身の姿を確認。何度見ても、慣れない。年若いアーサー様と違って、やはり鏡を見れば俺は十分良いおじさんだ。おじさんも丁寧過ぎるな。おっさんだ。更には、鏡に映る自身の恰好は、普段と異なっている。

「アーサー様は、こんな俺のどこが良いんだか」

未だに分からない事を呟いて、俺は自室を後にした。コツコツと、静かな廊下に俺の足音だけが響く。
王宮は大きく、国王たちの居住地区はアーサー様の部屋とは離れている。アーサー様が、成人の儀を迎える前に子供じゃないからと、一人暮らしをしたいと離れに近いこちらの開いている王室を居住区とした。一人暮らしは良い経験になるだろう。だが、大事な王子だ。護衛をどうするかとなった結果、アーサー様が俺一人を同じ居住区に住まわせると言って聞かず、今に至っている。つまり、この周囲には俺とアーサー様しかいない。

(まぁ、そうじゃないと、こんな格好で廊下を歩けはしないのだけれど)

コツコツと変わらず俺の足音だけが響き続け、もう何度も通った道だ。迷うことは無く、あっという間に扉の前についた。扉を開ける前に、深呼吸を一つ。

「……よしっ」

コンコンとノックをすれば、返事が返ってくる前にギイィ……と扉が開いて、端正な顔をしたアーサー様が現れた。

「ギルベルト、来てくれたんだね」

アーサー様が呼んだじゃないですか、とは言わず。アーサー様の手を煩わせないように、急いで室内へと入った。

「ギルベルト」

アーサー様が俺の身体を抱き締めて、昼間のように耳元で囁く。穏やかな声が俺の耳穴を通じて頭まで入ってきて、ゾクリと身体が震えた。

「アーサー様……っ」

「ちゃんと着てくれたんだね。可愛いよ」

ちゅっ、と頬にキスをして俺は思わず目を瞑ってしまった。そんな俺をよそに、クスクスとアーサー様の笑い声が聞こえる。俺とあまり変わらない身長の、しかも男同士。決して可愛くもないのに、アーサー様俺の姿を見て可愛いと言った。────女性もののワンピースを纏った俺の姿を見て。

「ギルベルト、今夜も私に奉仕してくれるかい?」

「わ……かりました……」

どうして、こんなことになってしまったんだろう? だがアーサー様は俺の手を引いて、部屋の更に奥。アーサー様の寝室へと連れて行った。

*******
更新しました。お気に入りほか有難うございます(^^)
※前半部、少し修正するかもしれません><
感想 2

あなたにおすすめの小説

若さまは敵の常勝将軍を妻にしたい

雲丹はち
BL
年下の宿敵に戦場で一目惚れされ、気づいたらお持ち帰りされてた将軍が、一週間の時間をかけて、たっぷり溺愛される話。

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!