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60】【最終話】ストンと気持ちが腑に落ちた
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60】【最終話】ストンと気持ちが腑に落ちた
ドキドキドキ。
(ずっと心臓が煩い)
ドキドキドキと、心臓が煩い。アーサーの腕の中で、黙ったまま。ただ抱き締められる。俺が抵抗をしないことを了承と得たのか、アーサーが口を開いた。
「やっぱり、私はギルベルトが好きだ。あの会場の中でだって、気が気じゃなかった。ギルベルトに触れる女性に嫉妬した。器の小さな男だと思うだろうが、ギルベルトの隣に私以外の誰かがいて、私以外に微笑みかけるのが、こんなにも苦しいだなんて。ギルベルト、好きなんだ。愛しているんだ……!」
ただまっすくに伝えられる、愛の言葉。アーサーが、ずっと俺に伝え続けている言葉。
ドキドキドキ。
「……ッ」
最初は、分からなかった。どうして俺なんだろうって。いやいや、俺じゃ駄目だろうだとか。
だが今は、アーサーが伝えてくれる言葉が嬉しい。
(アーサーも嫉妬して、気が気じゃなかったって……俺と同じだな)
(俺と同じ……?)
巡り巡って、身体と同じく。気持ちも逃げ場がないまま答えが出た。今まで認めない、見ようとしなかった気持ち。
(俺……アーサーのことが好きなのか……!?)
認めてしまえば、案外とストンと気持ちが腑に落ちた。
「……ッ!?」
ブワワッ……! と一気に顔が熱くなる。
認めてしまった、認めざるを得なくなってしまった。アーサーを守り、国を守り。アーサーが誰かと結婚し、子供を産み。そんな未来の傍に、俺がいられればくらいに思っていたのに。今では、誰かと添い遂げるのかと思うと苦しいと思う。
(ああ、この気持ちは)
「ギルベルト?」
今顔を見ないで欲しい。きっと、酷く赤いだろうから。だが、口を開いていない俺に、そんな言葉を言えるわけもない。
「どうしたの? 顔が真っ赤だよ」
可愛い、と耳元で囁くアーサー。うん? と俺の顔を覗き込むアーサーに、ゆっくりと開いた俺の唇。
「……きだ」
「?」
「…………好きだ」
思わず口を出た言葉に、アーサーの目が見開く様を目の前で見た。
「ギルベルト……!」
また強い力で抱き締められる。苦しさを感じたが、嫌じゃない俺がいる。むしろ、抱き締められて嬉しいというか。満たされる気がする。
「アーサー、苦しいって」
ポンポンと抱き着く腕を叩けば、バッ! と伏せていた顔を上げたアーサー。俺の衣服に飾られた宝石と同じアンバーが、キラキラと輝いていた。
「嬉しい!」
「ははっ、何だそりゃ」
いつもは甘くて、沢山言うのに。短い感想に、思わず笑ってしまう。
(そうか。嬉しいのか)
俺に好きだと言われるのは。ふふんと、いつもしてやられてばかりで、主導権を握れたようで俺も嬉しいと思った。
「ギルベルト」
「何だ?」
「私とギルベルトは恋人同士ということで良い?」
「こ……いびと」
「だってそうだろう? お互いに気持ちは一緒。伝えただけで、ハイお終いとはならないよね?」
「そういうものか?」
「そういうものだよ。だから、ね?」
先ほど可愛いと囁いた耳元で、またヒソリと言った。
「ギルベルト。これからは自慰も気にせず、私と沢山気持ち良くなろうね?」
「は……?」
甘い顔をして、甘い空気をぶち壊すような言葉。アーサーの腕が、俺の腰へと回る。
「あ、おい! アーサー!」
「大丈夫。怖いことは何もしないから」
ニコニコと微笑んで、俺は寝室へと連れてこられ。
「あの時ギルベルトの悩みを聞いて良かったなぁ」
なんて。
嬉しそうに言うアーサーに、あの時食い気味にくるアーサーをかわせていたら、少しは違っていたんだろうか? と思った。
(いや多分。遅かれ早かれ、結果はこうなっていそうだな)
■俺がナニが小さい悩みを伝えたら、幼馴染の王子が食い気味に協力すると言い出したんだが?(やめろ!)■
最後は幼馴染の王子と、恋人関係になったとさ。
「っておい! アーサー! 寝室に連れていくのを止めろ!」
「やだ♡」
******
完結しました。お気に入り・お付き合い下さり、有難うございました。
次に、この続きだけの単品で1回このままえっっっなことをするのを近々始める予定ですので、もし読んで頂ければ嬉しいです(◍•ᴗ•◍)
お気軽にコメント頂けると嬉しいです。
2025.6.1 この後の少し短編読み切り
【BL】幼馴染の王子と恋人関係になって、これから「そういうこと」をする雰囲気なんだが(まて、初めて知ることがあるぞ!?)【王子×騎士団長】
になります。宜しくお願い致します
ドキドキドキ。
(ずっと心臓が煩い)
ドキドキドキと、心臓が煩い。アーサーの腕の中で、黙ったまま。ただ抱き締められる。俺が抵抗をしないことを了承と得たのか、アーサーが口を開いた。
「やっぱり、私はギルベルトが好きだ。あの会場の中でだって、気が気じゃなかった。ギルベルトに触れる女性に嫉妬した。器の小さな男だと思うだろうが、ギルベルトの隣に私以外の誰かがいて、私以外に微笑みかけるのが、こんなにも苦しいだなんて。ギルベルト、好きなんだ。愛しているんだ……!」
ただまっすくに伝えられる、愛の言葉。アーサーが、ずっと俺に伝え続けている言葉。
ドキドキドキ。
「……ッ」
最初は、分からなかった。どうして俺なんだろうって。いやいや、俺じゃ駄目だろうだとか。
だが今は、アーサーが伝えてくれる言葉が嬉しい。
(アーサーも嫉妬して、気が気じゃなかったって……俺と同じだな)
(俺と同じ……?)
巡り巡って、身体と同じく。気持ちも逃げ場がないまま答えが出た。今まで認めない、見ようとしなかった気持ち。
(俺……アーサーのことが好きなのか……!?)
認めてしまえば、案外とストンと気持ちが腑に落ちた。
「……ッ!?」
ブワワッ……! と一気に顔が熱くなる。
認めてしまった、認めざるを得なくなってしまった。アーサーを守り、国を守り。アーサーが誰かと結婚し、子供を産み。そんな未来の傍に、俺がいられればくらいに思っていたのに。今では、誰かと添い遂げるのかと思うと苦しいと思う。
(ああ、この気持ちは)
「ギルベルト?」
今顔を見ないで欲しい。きっと、酷く赤いだろうから。だが、口を開いていない俺に、そんな言葉を言えるわけもない。
「どうしたの? 顔が真っ赤だよ」
可愛い、と耳元で囁くアーサー。うん? と俺の顔を覗き込むアーサーに、ゆっくりと開いた俺の唇。
「……きだ」
「?」
「…………好きだ」
思わず口を出た言葉に、アーサーの目が見開く様を目の前で見た。
「ギルベルト……!」
また強い力で抱き締められる。苦しさを感じたが、嫌じゃない俺がいる。むしろ、抱き締められて嬉しいというか。満たされる気がする。
「アーサー、苦しいって」
ポンポンと抱き着く腕を叩けば、バッ! と伏せていた顔を上げたアーサー。俺の衣服に飾られた宝石と同じアンバーが、キラキラと輝いていた。
「嬉しい!」
「ははっ、何だそりゃ」
いつもは甘くて、沢山言うのに。短い感想に、思わず笑ってしまう。
(そうか。嬉しいのか)
俺に好きだと言われるのは。ふふんと、いつもしてやられてばかりで、主導権を握れたようで俺も嬉しいと思った。
「ギルベルト」
「何だ?」
「私とギルベルトは恋人同士ということで良い?」
「こ……いびと」
「だってそうだろう? お互いに気持ちは一緒。伝えただけで、ハイお終いとはならないよね?」
「そういうものか?」
「そういうものだよ。だから、ね?」
先ほど可愛いと囁いた耳元で、またヒソリと言った。
「ギルベルト。これからは自慰も気にせず、私と沢山気持ち良くなろうね?」
「は……?」
甘い顔をして、甘い空気をぶち壊すような言葉。アーサーの腕が、俺の腰へと回る。
「あ、おい! アーサー!」
「大丈夫。怖いことは何もしないから」
ニコニコと微笑んで、俺は寝室へと連れてこられ。
「あの時ギルベルトの悩みを聞いて良かったなぁ」
なんて。
嬉しそうに言うアーサーに、あの時食い気味にくるアーサーをかわせていたら、少しは違っていたんだろうか? と思った。
(いや多分。遅かれ早かれ、結果はこうなっていそうだな)
■俺がナニが小さい悩みを伝えたら、幼馴染の王子が食い気味に協力すると言い出したんだが?(やめろ!)■
最後は幼馴染の王子と、恋人関係になったとさ。
「っておい! アーサー! 寝室に連れていくのを止めろ!」
「やだ♡」
******
完結しました。お気に入り・お付き合い下さり、有難うございました。
次に、この続きだけの単品で1回このままえっっっなことをするのを近々始める予定ですので、もし読んで頂ければ嬉しいです(◍•ᴗ•◍)
お気軽にコメント頂けると嬉しいです。
2025.6.1 この後の少し短編読み切り
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