27 / 41
■噂をすれば何とやら■
■噂をすれば何とやら■
気づけば、一年の季節はあっという間に過ぎていた。
春が過ぎ、外回りのスーツの汗染みが気になる夏を過ぎ、秋を過ぎ。俺が少し苦手な冬が近づいていた。
「はぁ~……暖房が効いている社内は最高ですね」
「水野、冬苦手だもんな」
「はい。寒いのが苦手なんです」
今日も俺は真面目に仕事。(偉い)きちんと仕事を終え、昼食を兼ねた休憩時間。タイミング良く昼食を食べるという田中さんと一緒に、俺も昼食を食べ終えたところだ。まだまだクリスマスまで遠いというのに、町中は明るいイルミネーションに包まれながらクリスマスを前面に出してきている。
(季節は変わってるけど、俺と加藤主任の関係は変わってないな…………当たり前か)
「クリスマスまでに、どうにかして彼女が欲しい……!」
くぅぅっ! と感情重めに訴える田中さんを見ながら、俺はいつも通り。昼食に節約も兼ねて握って来たおにぎりを食べるだけ。
「田中さん、モテてると思うんですけど? 俺が営業行くと田中さんは? と取引先の女性陣から大人気ですよ」
「え!? 何だそれ、初耳! どこ!? どこの取引先!!」
「ははっ……」
詳しく教えろ! と詰め寄って来た田中さんに「落ち着いて下さい」と言いながら、また一口おにぎりを口へと放り込んだ。
「俺は逆にイケメンの質問ばっかなんだけどなぁ」
「そうですか」
「なぁ、あのイケメンさ。本当に今も彼女いないのかよ? 仕事も出来るイケメンだぞ? 絶対おかしいだろ?」
そうですよね。俺もそう思います。
何て言葉は口から出ず。また俺以外の誰かが先輩の隣にいる想像をしたくなくて、自分でも意地悪だなと思うような。マウントを取るような言葉が出ていた。
「さぁ……。加藤主任、ああ見えて結構子供っぽいですよ? この前も駄々捏ねてましたし」
俺の前でだけだけど。
「何だぁ? 水野。お前だけが知ってるってやつ? 自慢かよ~」
「ぁ、ちがっ。そういうわけじゃ……!」
田中さんが、ニヤリと笑ってくれたから良かった。俺が田中さんの立場だったら、こんな風に言えない。
「水野はイケメンのこと、色々知ってるもんなぁ?」
「そういうわけじゃないです。田中さん、揶揄わないで下さいよ。ほら、お昼食べて下さい!」
「照れるなよ。全く、水野は可愛い後輩だなぁ~」
田中さんの彼女が欲しいという話から、逸れてしまった。話を軌道を、修正しなければ。やれやれと一瞬だ。一瞬だけ視線を逸らすように、目を閉じた時。俺と田中さんの間にも、もう聞き覚えのある声が響いた。
「ええ、そうですね。水野は可愛い後輩ですよね」
「お……っ、おお。イケメンじゃないか」
「せ……加藤主任……」
その手には、珍しく食堂でお昼を選んだのか。通勤鞄ではなく、ピンク色のトレーを手にした先輩が立っていた。
■噂をすれば何とやら■
(先輩、いつも間から現れ過ぎでは!?)
■噂をすれば何とやら■
******
気づけば、一年の季節はあっという間に過ぎていた。
春が過ぎ、外回りのスーツの汗染みが気になる夏を過ぎ、秋を過ぎ。俺が少し苦手な冬が近づいていた。
「はぁ~……暖房が効いている社内は最高ですね」
「水野、冬苦手だもんな」
「はい。寒いのが苦手なんです」
今日も俺は真面目に仕事。(偉い)きちんと仕事を終え、昼食を兼ねた休憩時間。タイミング良く昼食を食べるという田中さんと一緒に、俺も昼食を食べ終えたところだ。まだまだクリスマスまで遠いというのに、町中は明るいイルミネーションに包まれながらクリスマスを前面に出してきている。
(季節は変わってるけど、俺と加藤主任の関係は変わってないな…………当たり前か)
「クリスマスまでに、どうにかして彼女が欲しい……!」
くぅぅっ! と感情重めに訴える田中さんを見ながら、俺はいつも通り。昼食に節約も兼ねて握って来たおにぎりを食べるだけ。
「田中さん、モテてると思うんですけど? 俺が営業行くと田中さんは? と取引先の女性陣から大人気ですよ」
「え!? 何だそれ、初耳! どこ!? どこの取引先!!」
「ははっ……」
詳しく教えろ! と詰め寄って来た田中さんに「落ち着いて下さい」と言いながら、また一口おにぎりを口へと放り込んだ。
「俺は逆にイケメンの質問ばっかなんだけどなぁ」
「そうですか」
「なぁ、あのイケメンさ。本当に今も彼女いないのかよ? 仕事も出来るイケメンだぞ? 絶対おかしいだろ?」
そうですよね。俺もそう思います。
何て言葉は口から出ず。また俺以外の誰かが先輩の隣にいる想像をしたくなくて、自分でも意地悪だなと思うような。マウントを取るような言葉が出ていた。
「さぁ……。加藤主任、ああ見えて結構子供っぽいですよ? この前も駄々捏ねてましたし」
俺の前でだけだけど。
「何だぁ? 水野。お前だけが知ってるってやつ? 自慢かよ~」
「ぁ、ちがっ。そういうわけじゃ……!」
田中さんが、ニヤリと笑ってくれたから良かった。俺が田中さんの立場だったら、こんな風に言えない。
「水野はイケメンのこと、色々知ってるもんなぁ?」
「そういうわけじゃないです。田中さん、揶揄わないで下さいよ。ほら、お昼食べて下さい!」
「照れるなよ。全く、水野は可愛い後輩だなぁ~」
田中さんの彼女が欲しいという話から、逸れてしまった。話を軌道を、修正しなければ。やれやれと一瞬だ。一瞬だけ視線を逸らすように、目を閉じた時。俺と田中さんの間にも、もう聞き覚えのある声が響いた。
「ええ、そうですね。水野は可愛い後輩ですよね」
「お……っ、おお。イケメンじゃないか」
「せ……加藤主任……」
その手には、珍しく食堂でお昼を選んだのか。通勤鞄ではなく、ピンク色のトレーを手にした先輩が立っていた。
■噂をすれば何とやら■
(先輩、いつも間から現れ過ぎでは!?)
■噂をすれば何とやら■
******
あなたにおすすめの小説
別れたはずの元彼に口説かれています
水無月にいち
BL
高三の佐倉天は一歳下の松橋和馬に一目惚れをして告白をする。お世話をするという条件の元、付き合えることになった。
なにかと世話を焼いていたが、和馬と距離が縮まらないことに焦っている。
キスを強請った以降和馬とギクシャクしてしまい、別れを告げる。
だが別れたのに和馬は何度も会いに来てーー?
「やっぱりアレがだめだった?」
アレってなに?
別れてから始まる二人の物語。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
計画的ルームシェアの罠
高木凛
BL
両親の転居をきっかけに、幼馴染の一ノ瀬涼の家に居候することになった湊。
「学生のうちは勉強に専念しろ」なんて正論を吐く涼に反発しながらも、湊は心に決めていた。
しかし湊は知らない。一ノ瀬涼の罠に。
【初回3話は毎日更新! 以降は火・木19時更新予定】
【完結】後悔は再会の果てへ
関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。
その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。
数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。
小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。
そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。
末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前
【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。
ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。
幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。
逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。
見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。
何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。
しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。
お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。
主人公楓目線の、片思いBL。
プラトニックラブ。
いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。
2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。
最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。
(この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。)
番外編は、2人の高校時代のお話。
夢の中の告白
万里
BL
バレー部のムードメーカーで、クラスのどこにいても笑い声の中心にいる駆(かける)。好奇心と高いコミュニケーション能力を持つ彼は、誰とでもすぐに打ち解けるが、唯一、澪(れい)にだけは、いつも「暑苦しい」「触んな」と冷たくあしらわれていた。
そんな二人の関係が、ある日の部活帰りに一変する。
あまりの疲れに電車で寝落ちした駆の耳元で、澪が消え入りそうな声で零した「告白」。
「……好きだよ、駆」
それは、夢か現(うつつ)か判然としないほど甘く切ない響きだった。
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である