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実家と従妹と
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「うん?」
強烈な朝日で強制的に目が覚める。視界にぶち込まれる眩しさが意識を覚醒させ、そして昨日のことを思い出させる。脳裏には未だにあんずがいる。出ていくわけもなく、さりとて追い出すこともできずに。
「・・・頭痛ぇ」
考えなければいけないことと、考えたくないことが脳内でぶつかって激しい頭痛を生んでいるが、そんなことを知る由もない従妹は布団の隣ですやすやと寝ている。暖房もあるし、密閉されていることもあって凍えるようなことは流石にないが、ここまで熟睡できるのは大したものだと思う。
「ぅん?」
「起きたか。もう朝だぞ」
「ん、おはよう」
さっぱりとした目覚め方で覚醒したあんずは特に寝不足を感じさせない伸びを見せる。せめて服を着ていないことに思い至ってほしいが。
「あ、お兄ちゃんのえっち」
わざとらしい隠し方もなんだか可愛らしい。昨晩の淫魔のような雰囲気な鳴りを潜め、年相応の可愛さを取り戻している。
「はいはい。早く服着ろ。風邪ひくから」
「うん、ありがと」
素直に服をもそもそと着だした。寝起きだと流石に聞き分けもいいのかもしれない。風呂に入っていないため、べたついて気持ちの悪い髪や体のことは考えないようにしながら服を着る。あんずに言っておいて俺だけ着ないというわけにもいかないしなにより風邪を引きたくない。
「うわ、めんど」
思わず口を衝くのはため息を混ぜた悪態。夜が明けて吹雪は収まってはいるが、積もった雪はむしろ昨日よりも多いような気すらする。そもそも昨日の時点で吹雪いていなくても迎えなど来れなかったのではないだろうか。
「あ、止んでるね。帰ろっか!」
「帰るのか?」
「うん?!なんで?」
「いや、雪がさ、多いじゃん。車とかさ」
「無いよ?もう忘れちゃったの?歩くしかないよ。荷物は持ってあげるから。行こ」
「ああ、うん。そうだな・・・」
忘れたわけではない、忘れたわけではないが、それでも思い出したくないことはやっぱりあるわけで、この雪道が嫌だというのも帰らない理由の一つに上がるぐらいには嫌だ。とはいえ、それを言い出すと春になるまでここから出られなくなる。
「行こーー!!!」
「わかったから、そんなデカい声出さなくても聞こえてるって」
「お帰りさん。久しぶりだね。全く顔も見せないんだから」
帰宅早々に小言を母親に浴びるが、久しぶりだとそれすらも懐かしさを覚える。
「あんずちゃんのお陰で助かっただろ?あの子あんたが帰ってこないの寂しがってたんだから、こっちいる間はちゃんと構ってあげなさいよ」
「はいはい。わかったわかった」
生返事を返しながら、あんずがどういう意図で俺の帰りを待っているのかは知らないのだろうななどと思う。いや、知っていて送りこむほどいかれてはいないはずだ、たぶん、きっと。
「あんずちゃん、しばらくうちに泊まるって」
「は?」
「いいだろそれぐらい。何年あの子のこと放っておいたのさ」
「いや、でもあいつもいい歳だろ」
「それはあんたもだろ。結婚もしないんだから。あんずちゃんに貰ってもらったら?」
「冗談きついぜ。あいつはまだ高校生だろ」
「別にうちもあっちも文句いわないさ。あの子があんたに懐いてるのはみんな知ってるしね」
「あー、うん。ちょっと部屋に荷物置いてくるわ」
「あ、ちょっと!」
母親を置いてとりあえず部屋に逃げ込む。なんだか帰ってこない間に外堀が埋め立てられて無くなってしまっているような気がする。誰もが反対していなくて、後は俺だけってこと?いやいや、だとしてもあいつは高校生で、俺は社会人だ。普通に考えてそれはキツイ、俺がここに住んでいるのならまだしも都会に住む社会人として都市部での倫理と常識で生きている俺にその選択は厳しすぎる。
「でも、もう手出しちゃったよ?」
「うわぁっ!!」
いつの間にかあんずが部屋に入ってきていた。というか独り言を言っていたつもりは無いのだが。
「なんか、思いつめた顔してたから、昨日のことなんだろうなって思って」
「心を読むな」
「愛だね」
「うるさいな、本当に」
「おばさんがごはん食べるよって」
親もいる場所で何かをすることもないだろうと、俺はあんずについていくことにした。今の内にあんずをどうするかを考えなければいけない。欠片すらも思いついていないが・・・。
強烈な朝日で強制的に目が覚める。視界にぶち込まれる眩しさが意識を覚醒させ、そして昨日のことを思い出させる。脳裏には未だにあんずがいる。出ていくわけもなく、さりとて追い出すこともできずに。
「・・・頭痛ぇ」
考えなければいけないことと、考えたくないことが脳内でぶつかって激しい頭痛を生んでいるが、そんなことを知る由もない従妹は布団の隣ですやすやと寝ている。暖房もあるし、密閉されていることもあって凍えるようなことは流石にないが、ここまで熟睡できるのは大したものだと思う。
「ぅん?」
「起きたか。もう朝だぞ」
「ん、おはよう」
さっぱりとした目覚め方で覚醒したあんずは特に寝不足を感じさせない伸びを見せる。せめて服を着ていないことに思い至ってほしいが。
「あ、お兄ちゃんのえっち」
わざとらしい隠し方もなんだか可愛らしい。昨晩の淫魔のような雰囲気な鳴りを潜め、年相応の可愛さを取り戻している。
「はいはい。早く服着ろ。風邪ひくから」
「うん、ありがと」
素直に服をもそもそと着だした。寝起きだと流石に聞き分けもいいのかもしれない。風呂に入っていないため、べたついて気持ちの悪い髪や体のことは考えないようにしながら服を着る。あんずに言っておいて俺だけ着ないというわけにもいかないしなにより風邪を引きたくない。
「うわ、めんど」
思わず口を衝くのはため息を混ぜた悪態。夜が明けて吹雪は収まってはいるが、積もった雪はむしろ昨日よりも多いような気すらする。そもそも昨日の時点で吹雪いていなくても迎えなど来れなかったのではないだろうか。
「あ、止んでるね。帰ろっか!」
「帰るのか?」
「うん?!なんで?」
「いや、雪がさ、多いじゃん。車とかさ」
「無いよ?もう忘れちゃったの?歩くしかないよ。荷物は持ってあげるから。行こ」
「ああ、うん。そうだな・・・」
忘れたわけではない、忘れたわけではないが、それでも思い出したくないことはやっぱりあるわけで、この雪道が嫌だというのも帰らない理由の一つに上がるぐらいには嫌だ。とはいえ、それを言い出すと春になるまでここから出られなくなる。
「行こーー!!!」
「わかったから、そんなデカい声出さなくても聞こえてるって」
「お帰りさん。久しぶりだね。全く顔も見せないんだから」
帰宅早々に小言を母親に浴びるが、久しぶりだとそれすらも懐かしさを覚える。
「あんずちゃんのお陰で助かっただろ?あの子あんたが帰ってこないの寂しがってたんだから、こっちいる間はちゃんと構ってあげなさいよ」
「はいはい。わかったわかった」
生返事を返しながら、あんずがどういう意図で俺の帰りを待っているのかは知らないのだろうななどと思う。いや、知っていて送りこむほどいかれてはいないはずだ、たぶん、きっと。
「あんずちゃん、しばらくうちに泊まるって」
「は?」
「いいだろそれぐらい。何年あの子のこと放っておいたのさ」
「いや、でもあいつもいい歳だろ」
「それはあんたもだろ。結婚もしないんだから。あんずちゃんに貰ってもらったら?」
「冗談きついぜ。あいつはまだ高校生だろ」
「別にうちもあっちも文句いわないさ。あの子があんたに懐いてるのはみんな知ってるしね」
「あー、うん。ちょっと部屋に荷物置いてくるわ」
「あ、ちょっと!」
母親を置いてとりあえず部屋に逃げ込む。なんだか帰ってこない間に外堀が埋め立てられて無くなってしまっているような気がする。誰もが反対していなくて、後は俺だけってこと?いやいや、だとしてもあいつは高校生で、俺は社会人だ。普通に考えてそれはキツイ、俺がここに住んでいるのならまだしも都会に住む社会人として都市部での倫理と常識で生きている俺にその選択は厳しすぎる。
「でも、もう手出しちゃったよ?」
「うわぁっ!!」
いつの間にかあんずが部屋に入ってきていた。というか独り言を言っていたつもりは無いのだが。
「なんか、思いつめた顔してたから、昨日のことなんだろうなって思って」
「心を読むな」
「愛だね」
「うるさいな、本当に」
「おばさんがごはん食べるよって」
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