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カツ丼は美味

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ちょうど昼休みとなり、土曜日でも学校の学食はやっているとの事で昼食をそこでとるようにした。

メニューはハンバーグ定食、カツ丼、焼き魚定食、うどん、カレーなどだわ。

前世では、専属の執事が用意をしてくれたり学食はフレンチだけど、ここは違うみたいね。平民の学生はサンドイッチとかを持ってきたわね。

フと外の方を見ていると恋人同士が目に映った。
女生徒が手作りのお弁当を男子生徒と一緒に食べていた。

あぁ、思い出すわね。いつもお昼の時間はルイ様とユリアン様、ルイ様のご友人達と、彼女の手作りのサンドイッチを食べていたのを遠くから眺めていた。

そんな事を思い出しボーとしていると真斗が私の頭をコツンと軽くたたいて話しかけてきた。

「おい?お前は何食べるんだよ」

「お姉様と呼んで欲しいわ」

たまに、紫苑と名前を呼んでくれているけど
お姉様と呼んで欲しいわね。

「如月さんは何を見ていたの?」

笑顔で私に声をかけてきた西園寺さんも
私が見ていた方向に目を向けていた。
鬼頭さんも一緒に外を見て、あぁ!と笑って納得したかのように話し出す。

「なるほど!やっぱ紫苑ちゃんもあーゆカップルみたいなのは羨ましいの??お弁当をあーんみたいな」

「おい、鬼頭何聞いて」

「ふふ…そうね、羨ましいわね」


「「「えっ?」」」


笑顔で答えたら三人は目が点となり、かたまった。

「そうなんだ……如月さんはあーゆの羨ましがるの意外かも」

西園寺さんに言われたけど、たしかに以前は人前であんな事ははしたないし、みっともないと思ってたわ。
でもあの時のルイ様とユリアン様のあの二人を見て、甘い雰囲気の中、仲良くお昼を食べてるのは、やはり羨ましかったもの。

「おい、そんなのどうでもいいだろう。昼のメニュー決めろよ」

溜息をしつつ、真斗は私の腕を掴み食堂へ案内する。

「そうね、メニューはカツ丼で。あ、おばさま、ご飯を多めにしてください」

カツ丼とやら、気になっていたのよね。今まで食べたこと無いものだけど、なんだか前世を思い出したらイライラしたから食べましょう。

「馬鹿、お前食べれないだろ」

「はは!紫苑ちゃんがカツ丼頼んで食べてるのが新鮮!」

「ここのカツ丼美味しいからね。僕もカツ丼を頼もうかな」

「……なら、俺も頼むわ」

「はいはーい!俺も、紫苑ちゃんと同じにするわ」

何故か三人は火花散らしるけど、カツ丼すぐ無くならないわよ?

四人でカツ丼を頼んで食べているけど、どうも周りの席は人がいない。かなり混んでるように見えるのだけど、やはり私の評価が良くないから皆んな避けているのね。私はカツ丼を食べながら考えた。


「手作りか…そうね、お昼食べたら私料理部に行ってみたいわ」

「あぁ、なんか如月さんっぽいね。凄く料理得意そう」

「俺味見係ならいーかな。紫苑ちゃんの手作りのもの食べたいわ」

「…んじゃ次は料理部な」


こうして私は大盛りのカツ丼とやらをペロリと食べ終わって三人は何故口あんぐりだったわね。

この国の食べ物は本当に素敵だわ。


今日のお昼にあの如月紫苑と王子達がカツ丼を優雅に食べていた!と後々話が広まる事となった。
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