(完結)妖かしの【かしかし】屋さん

くま

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これからの、かしかし屋

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あれ以来、なんだか、蘆屋君の顔をまともに見れてない。
私のファーストキッスが!!あんな形でだなんて!!

私だけが悶々としているのか、当の本人は今、台所で漬け物を作っていた。

「…蘆屋君、何の漬け物なの?」

「大根と胡瓜です。食べますか?」

平気な顔をする蘆屋君に少しイラついちゃうけど、漬け物がうまい!腹が立つくらい美味しい!

台所を見渡すと、漬け物が沢山作られていた……え、作りすぎじゃ無い?

「蘆屋君」

「はい」

黙々と漬け物を作っている蘆屋君に私は肩をツンと叩き、彼の顔を覗きこむと顔を真っ赤にしていた。

「……すいません。この前は…」

平然としていると思いきや、蘆屋君もこの前の事が引っかかっていたもようだった。

私だけじゃ、なかったんだ……なんだか急に、蘆屋君が自分と同い年の男の子と感じて笑ってしまった。

そんな私の様子に、何故笑っているのかわからない蘆屋君だった。

「ふふ、蘆屋君、漬け物作りすぎだよ」

「あの饅頭屋にでも渡しておきます」

「あ、やっぱりお饅頭気に行ってくれた?美味しいもんね!」

そう私が話すのを蘆屋君はジッと見つめる。なんだろう?

「あの…おじいさんと過ごして…良かったですか?」

「??うん。もちろん」

「…そうですか」

そう話すと、何故か蘆屋君は少しだけ嬉しそうにしていた。なんでだろう?たまに……蘆屋君を見てると、なんとなく……


そう考えていたときだった。


小さな人型の紙がやってきて、蘆屋君はそれに気づき

「かしかし屋にお客様がきているようですね」

ふわりと、黒い着物姿になりかしかし屋へ向かおうとした時、私も彼についていく。

「君は、まだ懲りないんですか?」

「へへ、なんか楽しくなってきたかも!私もお手伝いするね!」

そう話すと、蘆屋君はクスッと笑った。

まだ蘆屋君の事はわからないけれど……これから一緒に過ごしたら……わかり合える気がする。

うん、そんな感じがする、かな?

私と蘆屋君は、かしかし屋へと向かっていく。

今日もまた妖のお客様がきてくれているのだから。
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