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アメリー 下克上編
それでも私は大好き
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ポツポツと振りだした雨の中、ソフィアは警備を怠らず待機をしていた。
「‥騎士になって早々、色々と危険な事に巻き込まれたな」
そう声をかけてきたアルフレッドに、ソフィアはクスッと笑って少し濡れたアルフレッドの肩をハンカチで拭いてあげる。
「アル。そんな顔をしないで、ルチータ殿下には信頼されてるって事だし、光栄な事だわ」
アルフレッドは少し溜息を出しながら、複雑な顔をしてソフィアに話しだす。
「‥‥あいつ‥‥ルチータが俺に王位を継いだほうがいいと国王陛下達にも話しをしたみたいなんだ」
「え?!ルチータ殿下が?どうして?」
「‥‥わからないな。国王陛下はその理由を知ってるみたいだけど‥‥。でも陛下はルチータ王子に継いでもらいたいだろうし、周りもそう思ってるはずだ。いつか理由を教えるとは言ってくれたけどさ、わかってないよな、あいつほど王に向いてるのなんていないのに」
「そうね。何処の国へ行ってもホワイト国の王子であるルチータ殿下の評価は高いわね。あ、もちろんアルもだけど」
アルフレッドは少し肩を落としながら、寂しそうにしていた。
「‥‥一人でいつも決めてるようでたまに腹が立つ。頼りにならないのかな」
「頼りにしてるからこそ、そんな事を言ってるんだわ。理由があるんだろうけど、意外と大した事ないはずよ。それにもし貴方が国王となったら私は?自分で言うのもだけど、私は王妃に向いてないわ」
「‥‥なるほどな」
「ふふ、そうよ」
そうソフィアは自分が着ている騎士である証拠のバッチと剣を見せる。自分は騎士になる人間だとそう言い切るソフィアを見たアルフレッドは安心した顔をし、ポツポツと雨が降るのを一緒に見ていた。
「‥‥このまま何事も起きなければいいけどな」
そうアルフレッドは呟いていた。
次の朝、リリアン姫に関してはまず、まだ行方不明のままということで身分を隠し、信頼できるルーカス君のお家である、シュベレルト家に預かってもらう身となった。
リリアン姫にもフォース国で信頼できる家臣もいるようで、ヒューゴ王子の暴走を止めたいとものの、既にフォース国の国民は行方不明の姫の安否を祈ってはいたものの、事実上第二王子ヒューゴが実権を握っている国となりはじめていた。
表向きはまだ平和協定を結んだ同士だけど、いつ向こうがどう仕掛けてくるかがわからない関係となっていた。
そして私達はそろそろホワイト国へ入国しなければならないんだけど、それはジェイコブお兄様とサヨナラを意味する。せっかく会えたのに‥‥まだ沢山お話ししたい事あるのに。
そう落ちこんでいた時
「あ、あの‥‥ジェイコブ様も一緒についていく事は駄目でしょうか。会ってまだ短い間柄ですが、彼は強く信頼できる方で私は安心できるので」
そうリリアン姫様が提案するものの、ジェイコブお兄様は首を横に振る。
「リリアン姫様、僕はただの平民です。ルチータ殿下、アルフレッド殿下、どうぞ‥‥妹達をよろしくお願いします。‥‥ぐすっ」
鼻水たっぷりだして男泣きするジェイコブお兄様にルチータ王子はシリウス伯父様に何やら目配りさせてそのまま馬車に乗った。
シリウス伯父様は咳払いをし話す。
「本来は‥禁止だがジェイコブお前も来なさい。シュベレルト家でパティシエを探してるみたいだ。今の状況が落ちつくまで、そこでリリアン姫のそばにいてくれないか」
「え!?ジェイコブお兄様も一緒に帰れるの!?」
その銀髪と青い目とか姿はバレてしまうといけないから変装はしてもらうがな」
ずっといるわけではないけれど、一人でも今の状況を理解し味方が欲しいみたい!という事はという事は!!
「ジェイコブお兄様‥‥また会える?!」
「‥そう‥みたいだな!ずっとではないが、期間限定みたいだけど」
「やった!やった!ジェイコブ兄様!」
私はジェイコブお兄様の胸に思いっきり飛びついた。ジェイコブ兄様も嬉しそうにしていたし、ソフィア姉様もなんだか嬉しそうに笑っていた。頻繁に会えるわけじゃないけど、オスカー君家に行けば会える確率高いものね!?嬉しいー!
私は先に馬車に乗っていたルチータ王子の元へ走り、ドアを叩いた。
「‥‥うん、なんだい?」
「ありがとう!ルチータ王子」
「私は別に君の為にしたわけじゃないよ?合理的に考えて、自分が動かしやすい人間を選んだだけだからね」
「それでもね、優しい人だとわかってるよ。ルチータ王子!やっぱりね、というか昨日私に言ったことだけどね、私ね、諦めるのって凄く嫌なの!それに自信があるもの!ルチータ王子は私を大好きになるって!だから‥‥私はソフィア姉様やアデライト姉様より凄くいい女性になるんだから!
昨日言って私をガーン!ってさせた事後悔するからね!!」
私は再度ルチータ王子に伝えると、ルチータ王子は一瞬固まっていたけれどいつも通り余裕ある態度へと戻った。
ぜったい余裕出来ないほど、素敵な女性になると強く決心した私だぞ!マカロン家の女は強いんだから!
歳とか何か文句を言われないくらい、完璧なレディになるの!
とりあえず‥‥好き嫌いを無くそう!人参よ!どんときなさい!
「‥騎士になって早々、色々と危険な事に巻き込まれたな」
そう声をかけてきたアルフレッドに、ソフィアはクスッと笑って少し濡れたアルフレッドの肩をハンカチで拭いてあげる。
「アル。そんな顔をしないで、ルチータ殿下には信頼されてるって事だし、光栄な事だわ」
アルフレッドは少し溜息を出しながら、複雑な顔をしてソフィアに話しだす。
「‥‥あいつ‥‥ルチータが俺に王位を継いだほうがいいと国王陛下達にも話しをしたみたいなんだ」
「え?!ルチータ殿下が?どうして?」
「‥‥わからないな。国王陛下はその理由を知ってるみたいだけど‥‥。でも陛下はルチータ王子に継いでもらいたいだろうし、周りもそう思ってるはずだ。いつか理由を教えるとは言ってくれたけどさ、わかってないよな、あいつほど王に向いてるのなんていないのに」
「そうね。何処の国へ行ってもホワイト国の王子であるルチータ殿下の評価は高いわね。あ、もちろんアルもだけど」
アルフレッドは少し肩を落としながら、寂しそうにしていた。
「‥‥一人でいつも決めてるようでたまに腹が立つ。頼りにならないのかな」
「頼りにしてるからこそ、そんな事を言ってるんだわ。理由があるんだろうけど、意外と大した事ないはずよ。それにもし貴方が国王となったら私は?自分で言うのもだけど、私は王妃に向いてないわ」
「‥‥なるほどな」
「ふふ、そうよ」
そうソフィアは自分が着ている騎士である証拠のバッチと剣を見せる。自分は騎士になる人間だとそう言い切るソフィアを見たアルフレッドは安心した顔をし、ポツポツと雨が降るのを一緒に見ていた。
「‥‥このまま何事も起きなければいいけどな」
そうアルフレッドは呟いていた。
次の朝、リリアン姫に関してはまず、まだ行方不明のままということで身分を隠し、信頼できるルーカス君のお家である、シュベレルト家に預かってもらう身となった。
リリアン姫にもフォース国で信頼できる家臣もいるようで、ヒューゴ王子の暴走を止めたいとものの、既にフォース国の国民は行方不明の姫の安否を祈ってはいたものの、事実上第二王子ヒューゴが実権を握っている国となりはじめていた。
表向きはまだ平和協定を結んだ同士だけど、いつ向こうがどう仕掛けてくるかがわからない関係となっていた。
そして私達はそろそろホワイト国へ入国しなければならないんだけど、それはジェイコブお兄様とサヨナラを意味する。せっかく会えたのに‥‥まだ沢山お話ししたい事あるのに。
そう落ちこんでいた時
「あ、あの‥‥ジェイコブ様も一緒についていく事は駄目でしょうか。会ってまだ短い間柄ですが、彼は強く信頼できる方で私は安心できるので」
そうリリアン姫様が提案するものの、ジェイコブお兄様は首を横に振る。
「リリアン姫様、僕はただの平民です。ルチータ殿下、アルフレッド殿下、どうぞ‥‥妹達をよろしくお願いします。‥‥ぐすっ」
鼻水たっぷりだして男泣きするジェイコブお兄様にルチータ王子はシリウス伯父様に何やら目配りさせてそのまま馬車に乗った。
シリウス伯父様は咳払いをし話す。
「本来は‥禁止だがジェイコブお前も来なさい。シュベレルト家でパティシエを探してるみたいだ。今の状況が落ちつくまで、そこでリリアン姫のそばにいてくれないか」
「え!?ジェイコブお兄様も一緒に帰れるの!?」
その銀髪と青い目とか姿はバレてしまうといけないから変装はしてもらうがな」
ずっといるわけではないけれど、一人でも今の状況を理解し味方が欲しいみたい!という事はという事は!!
「ジェイコブお兄様‥‥また会える?!」
「‥そう‥みたいだな!ずっとではないが、期間限定みたいだけど」
「やった!やった!ジェイコブ兄様!」
私はジェイコブお兄様の胸に思いっきり飛びついた。ジェイコブ兄様も嬉しそうにしていたし、ソフィア姉様もなんだか嬉しそうに笑っていた。頻繁に会えるわけじゃないけど、オスカー君家に行けば会える確率高いものね!?嬉しいー!
私は先に馬車に乗っていたルチータ王子の元へ走り、ドアを叩いた。
「‥‥うん、なんだい?」
「ありがとう!ルチータ王子」
「私は別に君の為にしたわけじゃないよ?合理的に考えて、自分が動かしやすい人間を選んだだけだからね」
「それでもね、優しい人だとわかってるよ。ルチータ王子!やっぱりね、というか昨日私に言ったことだけどね、私ね、諦めるのって凄く嫌なの!それに自信があるもの!ルチータ王子は私を大好きになるって!だから‥‥私はソフィア姉様やアデライト姉様より凄くいい女性になるんだから!
昨日言って私をガーン!ってさせた事後悔するからね!!」
私は再度ルチータ王子に伝えると、ルチータ王子は一瞬固まっていたけれどいつも通り余裕ある態度へと戻った。
ぜったい余裕出来ないほど、素敵な女性になると強く決心した私だぞ!マカロン家の女は強いんだから!
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