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アメリー 下克上編
久しぶりの対面
しおりを挟む来月の生誕祭パーティーの為、私はドレスを新調しにメイドと一緒にお店まで向かっていた。本来貴族は屋敷に来てもらうのが当たり前だけど、やっぱり身の周りが今流行ってるものを知りたいし、意外と良い店と出会えるのものね。
カランと鈴が鳴り店に入ると、何故か貴族の令嬢達だらけだった。
「まあ!アメリー様だわ。ご機嫌よう!」
「みなさんご機嫌よう。自分の屋敷でドレス選びをしている方が多いと思ってましたが意外と多いのですね」
私がそう言うと貴族の令嬢が私の顔を見て赤らめながら嬉しそうに話す。
「アメリー様の御用達のお店ですわよね!こうやって足を運び、素敵なドレスを見てまわるのも楽しいことに私達気付きましたの。それに、ここのお店は安いのにデザインが素敵です!」
私の後ろに控えていた屋敷のメイドがクスッと笑いながら私に声をかけた。
「これはアメリー様の影響ですね。あのお菓子屋さんも救ったわけですし」
「‥‥んー‥多分みんな勘違いよ。私は結構欲が高い人間だもの」
「アメリー様、そんなに謙遜せずとも」
「そうですわ!」
小さい頃、マカロン家は今よりお金が無かったから高いドレスを買うよりいかに質が良くデザイン性と安さをどうするか考え探していた時、今のこのお店のデザイナーと出会い今に至る。他にも潰れかけていたお菓子屋さんもあったけれど、あのプリンは手放したくないし美味しいから勿体無いと思ったからなんとか立て直したりした。
でも、そのおかげで沢山の人達が安く手に入り、喜んでくれて良かったかな?
「はあー、来月ルチータ殿下とお会いするのは緊張しちゃうわ」
「あの方とまだお話ししたことはないけれど、お父様達にチャンスだ!と言われたけど、目が合うだけでもう恥ずかしいわ」
「でも婚約者がいませんもの!この機会を逃すわけにはいかないわ!」
もう少しでルチータ王子の生誕祭で、年頃の令嬢達はまだ婚約者がいなく、王妃の座を狙っているためかルチータ王子の話題に持ちきりだった。
「ルチータ殿下は‥そう!太陽のようにいつも眩しくてキラキラしてる方よね!爽やかで優しくて頼りになる次期国王に間違いなしだわ!」
「そうね、キラキラしてる方だわ!そう思いません?アメリー様」
みんなドレス選びは終わったのか、話が盛り上がってる。ルチータ王子は太陽‥‥確かにこの国の象徴は太陽だし、次期国王としては申し分ない褒め言葉よね。でも私は‥そうだなぁ‥‥
「太陽というより‥‥月でしょうか」
「「月ですか?」」
「遠い国では月は愛や希望ともとらわれますし、ルチータ殿下はむしろみんなが見えないところや休んでる時に動く方です。人それぞれにあった道標を教えてくれる繊細で、優しい光を放つ月のような方かと思いますわ。‥‥‥‥あと腹黒いし、逃げるの早い」
最後の部分は聞こえないようにポソリと呟いた。
それでも、本当はそうだよね!カッコいいよね!でも駄目よ!!と大きな声で言いたいけれどそこは我慢しよう。
令嬢達と少し話して、私は店の奥で隠れていた人物を見つけた。うん、そろそろ声をかけてもいいわよね?
令嬢達が帰っていくのを確認し、私はスタスタと近寄って挨拶をする。
「‥‥ルチータ殿下、アルフレッドお兄様。ご機嫌よう」
ニッコリと私は挨拶をすると、黒髪で変装していたルチータ王子が気まずそうに立っていた。アル兄様は私の顔を見て驚いていた。
「‥‥完全に気配を隠してたのに‥アメリー何故わかったんだ?」
「ん~二人共、甘いわね。さて、可愛らしいい令嬢達のお話を盗み聞きなんて、ルチータ王子は素敵なご趣味をお持ちですね?」
「‥‥私は腹黒いからね」
「そんな事ありますねっ」
「「‥‥‥あはははは」」
目が笑ってないアメリーとルチータの会話にゾクっと背筋が凍っていたアルフレッドだった。
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