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アデライト 逆行復讐編
味方か敵か
しおりを挟むジェイコブお兄様はテーブルにある紅茶のシフォンケーキを食べて幸せそうにしている姿が周りにいた令嬢達は頬を赤らめていた。
顔はまあまあ良いものね、ソフィアもあまり目立つ事は無かったけれどよくも悪くも陰では彼女を注目している者もいる‥‥。
これからどんどんとソフィアは注目される。
ルカは‥‥‥ソフィアのような子が良いのかしら‥‥。
「‥‥ゴホッゴホッ!」
「アデライト!大丈夫か?もう僕達は早く帰ろか?ルチータ王子とも挨拶をしたし、シフォンケーキも食べたし‥」
「アデライトお姉様‥ッ。顔が真っ青ですよ?やっぱり無理してこられて‥」
ジェイコブお兄様とソフィアは慌てた様子で
私の元へ寄ってきた。ソフィアは私の手を触ろうとしたので私は避けてソフィアを睨む。
「ふふ、同情などいらないわ。貴女は貴女でやる事があるでしょう」
「え?」
「オスカー様がこちらを見てるわ。婚約者として色々と話してきなさい」
「‥‥でも‥‥」
私はもう一度ソフィアを見た。やっぱり貴女のその瞳が嫌いだわ。私はソフィアを無視すると、ソフィアはルチータ殿下に頭を下げてからオスカー様の席へと向かっていった。
「‥‥ジェイコブお兄様」
「僕は席を外したくない。ルチータ王子とはいえ、可愛い妹と二人っきりとなると心配だからね」
「おや、私の隣にはぬいぐるみがいるみたいだけどね?」
「‥‥ジェイコブお兄様、少し話したら帰りますわ」
ルチータ殿下はそうジェイコブお兄様にからかいながら話すとジェイコブお兄様は私をジッと見てから少しシフォンケーキを食べてから席を立った。
「アデライト、僕はあえて空気を読まないようにしていたけど‥‥‥一人で色々と抱え込まないで欲しい。僕は頼りのない兄なのだろうか」
「‥‥‥‥」
‥‥少し驚いたわ。以前のジェイコブお兄様とは違う‥‥周りを見ずに前を見てばかりで、自分自信の力だけを信じていた。マカロン家の次期当主として、良い兄として、私を可愛がるばかりのお馬鹿な兄‥‥。
「‥‥頼りになるのはもう少し先かもしれませんわね」
「五分だけだぞ」
「ふふ。わかりました」
そう返答すると、ジェイコブお兄様はウサギのぬいぐるみを私とルチータ殿下の間に椅子に置いてソフィアの後を追った。
私は紅茶を一口飲んでからルチータ王子の方を見るとルチータ王子は何かを詮索するかのように私を見つめていた。
「私が美しいからと言ってそんなに熱く見つめないでくださるかしら?‥‥五分しかありませんので、単刀直入に話します。まず、今回の流行りの皮膚病の薬ですが、その薬が貴族達だけにしかまわっていない事も皮膚の病の原因は既にわかってはいらっしゃいますわよね」
「そうだね、君とルカの話を聞いて私は半分信じてすぐに城の者を呼び川の汚染を確認させたよ。あそこはもう駄目だ、それで早急に新しく生活に使えるよう建築家や学者などの意見を聞きながら父上は新しく川を作るらしいけどね」
「問題は貴族ですわ」
そう私が話すとルチータ殿下はクスッと笑いながら話す。
「おかしいね。‥私が知る君が1番『貴族らしい』思考の持ち主だと思っていたけど‥‥」
私はルチータ殿下の話には乗らず、紙一枚ルチータ殿下に渡した。ルチータ殿下は不思議に紙の内容を見て私を再度見た。
「そのレシピは今回の皮膚病に関しての薬ですわ。今出回っているのは役に立たないものですから。‥‥私を疑うのであれば、ルカのお母様に一度お会いし確認してくださいませ。彼女はそこらへんの医者以上に腕はありますわ。それと今日中に、貴族だけにしか薬を売らない馬鹿な男の不正の証拠類も届きますわ」
「‥‥‥‥アデライト嬢がよくわからないな。我々がプラスになる話しばかりだけど。何が目的なんだい?国にそこまで忠誠心なんて‥‥ないよね。それに簡単に私を信じて話していいのかい?沢山聞きたいことがあるけれど」
「ふふ、いやだわ。国を思っての忠誠心からですわ」
「嘘だね。大体察するけれど、ルカの為だよね」
そうルチータ殿下は口元をニヤリと笑っているのが‥‥気に食わないわね。
「‥‥ルチータ王子。ルカにあまり近づかないでくださいませ」
「はは。ルカはかなりの知能が優れているね。私が貸した本を全て覚えている。試しに学者が読んでいるものや、王宮の本を貸したら飲み込みが早く驚いたよ。将来が楽しみだ。私の側近として申し分ないくらいーー」
「‥‥‥ルカの邪魔をするようなのであれば、いくら国の王子であれ容赦いたしませんわ」
「‥‥アデライト嬢。それ反逆すると言っているようなもんだよ?」
私はキッとルチータ殿下を睨んだ。やはりこの王子は殺してルカとルカのお母様を連れて国外へ逃亡したほうがよいかしら。
私がこんなにも優しく教えてあげたのだから、跪ついてありがたく敬って欲しいわ。
「君のそのルカに対する想いは、純粋な恋というより、執着に近い」
「‥‥ルカに近づかないでくださいませ」
あぁ‥‥末の妹の未来の旦那様なんでしょうけれど‥‥この男もやっぱり邪魔だわ。
近寄って欲しくない。
彼をこれ以上奪われたくない。
ルカが過ごしやすい毎日を送るようにしたいだけなのに、周りはただのゴミだわ。
「‥ふふ。そんなことより‥‥ルチータ王子様。最近の体の調子はどうです?右手とか」
そう私が話すとルチータ殿下は私を一瞬警戒した。何故お前が知っている?という目をしているもの。‥‥彼は自分の病に気づき始めた頃で、王や王妃、そして直属の医者しか知らない。‥少し指先の震えが見えたもの。
「あら、五分経ったわ。ふふ、ジェイコブお兄様とソフィアが来たのでこれで失礼しますわ‥‥お互い体を大切にしましょう。ルチータ王子様」
そう私はウサギのぬいぐるみをルチータ殿下にそっと渡して会場を出た。
ルチータ王子は渡されたウサギのぬいぐるみに小さな声で囁いいた。
「さて‥‥‥君は私の味方か敵か。ウサギさん、君はどちらかな?」
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