【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

アデライト 逆行復讐編

1番聞きたかった言葉

ルカという大罪人が囚われ、死刑宣告をされ、何も知らないフォース国の者達は歓喜をあげ、ホワイト国の中で事実を知っている者、ルカという人物を信じているもの、どうでも良いと思っている者達もいた。

フォース国の城には王2人が話し合っていた中、ルチータ王子とアルフレッド王子が掛け合っていた。

「父上！何故ルカを大罪人と決めつけるのです！彼の功績を‥‥これまでの彼の行動と結果は」

「だとしても王族を殺した。犯罪を犯した馬鹿息子でもな。もう我々も止められない。周りが誰かを【悪】と決めつけ、今回の件で２つの国がバラバラになるのはなんとしても避けたい」

そう答えたのはフォース国王だった。

「‥‥つまり‥貴方様は自分の息子の死を利用し、挙げ句の果てに罪のない者を犯罪者に仕立て上げ、国の友好の為にと？」

「ルチータ、今回は私でもどうにも出来ないんだ。それにルカというこは、君達を【利用】したと言っていた。全て自分がこの国を壊そうしていたんだと、全て話してくれた」

いつも冷静なルチータは声を荒げていた。

「‥‥っそんなの！！どう見ても聞いても違うのが貴方にはわからないのか！何が王だ！何が悪か貴方達が決めつけるな！」

「‥‥ルチータ、おい。落ちつけ。らしくない」

ルチータは二人の王を無視して、部屋から出ていく。
スタスタと歩くルチータはドン！と壁を叩いて悔しそうにしていた。

「‥‥ルチータ」

そうアルフレッドといた時、フレデリック王子とリリアン姫が現れた。

「‥‥あの者が死刑宣告をされて反対している者達も大勢いると聞いている‥‥彼は‥‥今地下牢にいるけど‥会うかい？」

「お父様に何度もお願いしているのですが‥‥実際、彼が‥ルカさんがヒューゴを殺してなくとも私かフレデリックお兄様どちらかが‥‥ヒューゴを殺してましたわ‥‥」

ぐっと涙を堪えて話すリリアン姫にフレデリック王子はリリアン姫の背中をそっとさする。

ルチータ王子はスウと深く息を整い、キッと前を向いてルカの元へと向かった。

「ルカと二人きりで話しがしたい」

そう護衛の者達を少し離れさせ、ルチータ王子は地下牢の階段に降りると、そこには牢に入ってるルカが本を読んでいた。

ルチータ王子は呆れた顔で話しかける。

「‥‥‥‥こんな時にでも本を読んでいるのかい？」

「やあ、【チーター君】こんな時だからこそ、いつも通りに本を読む。いいと思うけどな」

普段と変わらない様子のルカに、ルチータはそばに寄る。

「‥‥‥‥たった友人を守れないなんて‥‥私は‥‥駄目だな」

「僕は君を利用したのは事実。君の周り、コネ、全てを。だから友ではないよ」

「全てはアデライト嬢の為かい？‥‥君は私と似ている。一人で全てしようとするところがね」

そう呟くルチータにルカは優しく微笑む。

「‥‥君は良き王となるよ。そんな次期国王様にお願いがあるんだ」

「‥‥嫌だね。アデライト嬢を止められるのは君ぐらいだ。私では手が負えない。ただでさえ、今小さなレディだけでも一杯一杯なのに」

「あはは！アメリは君の素敵なお嫁様になるよ。そう予言しとく」

「‥それは嫌な予言だよ」

そう少しだけルカとルチータは会話をしていた。以前のように、友達同士のように楽しく会話が弾んでいた。



ーー真夜中ーー

外は雨が降り出していた。地下牢にいた警備の者達は何者かに眠らされ、とても静かな夜だった。

カツンとヒールの音が階段から、降りてくる音がしてきた。

ずぶ濡れのフードとマントをかぶっていたのは‥‥アデライトだった。

「‥‥‥ルカ」

「うん、来るだろうなあと思ってた」

「‥‥‥一緒に‥‥逃げましょう？」

私はそっと牢の中にいるルカに手を差し伸べる。ルカは本を読むのをやめて、私に本を渡してきた。‥‥これは、昔からルカが書いていたお手製の薬草本だわ。よりにもよって、またこの本を私に渡さないで‥‥

「‥‥なんで‥‥っ‥‥本を‥この私が手を差し伸べてるのに！」

「僕は行かないよ。ごめんね」

今なら、警備が薄い今なら‥‥！みんな‥協力してくれているこの瞬間を狙って、ルカのお母様と一緒に何処か逃げて暮らせるのに！！

「僕、沢山人を殺してしまったんだ」

私は俯いていた顔を見上げて、ルカの顔を見る。ルカは涙目になりながら、笑顔のまま私の頬を触ると、私は涙を流してしまい目を逸らした。

「‥‥‥それは‥‥仕方ないのよ」

私がそういうとルカは答えた。

「仕方ないからという理由で人を殺めてなんて絶対駄目なんだよ。どんな理由であれ‥‥これは絶対駄目な事なんだ。僕はきちんと罪を償うんだ。全てをね。だから、アディー、泣かないで。こっちを向いて」

「‥‥泣いてなんかないわ。ルカはわかってない‥‥私がどれだけ‥‥‥‥どれ‥だけ」

貴方が恋しく、会いたくて、抱きしめて欲しくて。やっとルカに会え隣りに歩けて‥‥

「‥‥‥今私は不細工な顔をしているわ」

「アディーは綺麗だよ」

そうニッコリと笑って私に微笑むルカ。

「綺麗で強くて、僕には勿体ないくらい。‥‥‥うん、1番大切な女の子だ」

「‥‥ルーー」

そうルカの名前を呼ぼうとした時、ルカは私の仮面を外し、そっとルカの柔らかい唇と私の唇が重なった。


「僕はアディーを愛してます」


あぁ‥‥‥‥


‥‥私が貴方から1番聞きたかった言葉だわ。




地下牢の上には護衛が起きないように、見張っていた‥‥ルチータとアルフレッド、ソフィア、ジェイコブやフレデリック王子もいた。

「‥どこでもドアがあればいいのに‥」

「ソフィアってたまに不思議な言葉使うな」

「便利な猫型ロボットに頼りたいだけよ。ハア。アデライトお姉様‥‥大丈夫かしら」


ルチータは腕を組みながら、眉をしかめている中、まだ寝てないアメリがルチータのズボンの裾をクイッと掴む。

「‥‥‥小さなレディ。君は寝る時間だよ」

「落ち込んじゃだめ。まだ終わってないよ？みんな泣いちゃだーめ！」

にんまりと、何やら悪巧みするような顔をするアメリに、ソフィアとジェイコブは

「「‥‥あ、あれはまたなんかしでかす‥‥」」そう不安に感じていた。