【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!

くま

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姉マリエの想い

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私には一つ歳が離れている妹がいる。名はマリア。
産まれた時から体が弱く、3歩歩けばいいくらい、本当に弱かった。父と母はいつも妹ばかり心配をし、私が頑張ってお勉強をしていても
「お姉さんなのだから、今度マリアにも教えてあげてちょうだい」

ピアノコンクールで優勝をしても、
「マリアの為に、そのピアノを弾いてくれ」

マリア中心ばかりの生活だった。どんなに努力をしても私を見ようとしてくれない両親とそんな両親に心配されて沢山構ってもらえるマリアがとても羨ましかった。

あの子がいなくなればいいー…そんな汚い気持ちが溢れてきた。
だけど……あの夜、マリアはもう持たないと医者に見放されてしまった。今夜があのこの最後の日になると。あの子は弱々しく笑顔で私に小さな声で

「おねえさま…ごめんね」

小さな命が尽きようとしていた。

が、何故かわけわからないけれどその瞬間、妹は仁王立ちし叫んでいた。あれから人が変わったように、お淑やかで儚い病弱な彼女はもういない。

マリアは何故か私を見て顔を赤くして、たまに独り言を言っている。大丈夫かしら…
「姉様!可愛い!サイコー!」
とまあ、ベタ褒めをする毎日だわ。あの子、姉離れは当分できなそうよね。

私はエリオス王子の婚約者となり、この国の王妃を目指していた。それが両親の期待に応えてあげるべきだし、周りの令嬢より私が絶対的候補だった。エリオス王子とはクラスも一緒で、顔も美形だと思うし良いかなと思っていたけど、最近は候補から外れたいな、と思うようになった。
そんな想いが伝わったのかどうか、何故か妹マリアがエリオスの婚約者となった。
あれから、マリアはエリオス様やスクアーロ様と仲良くしている。どう見ても、あの二人、マリアを好いているわね。
今日はマリアが町で何やら騒ぎを起こし、可愛らしい顔の頰が赤くなっていた。
あの子は今日あんな目にあったのに、私を見ては嬉しそうに笑顔を向けていた。





私は夜眠れず庭へ出て、メイドに頼み1人で暖かいミルクを飲んだ。


「…マリエお嬢様?」

後ろを振り返ると、トムがいた。

「ふわ!?え?あ、トム…」

トムのパジャマ姿を見るのは初めてだわ…トムはこの屋敷の庭師の子。少しだけ、ほんの少しだけ気になる男の子。私のような完璧令嬢は平民と仲良くなるつもりはないわ。でもトムだけは、少し違う。今は…何故かトムが気になるわ…


「パジャマ姿のマリエお嬢様と会うなんて珍しい夜ですね」

「ふっ、ふん!爽やかにそんな笑顔で話しかけてこないで欲しいわ」

トムはさり気なく隣にあるイスに座り、黙って私のそばにいた。

長い沈黙が続く。ただ私達は綺麗な星を眺めていた。

「……あのね、トム」

「はい」

「…私昔妹にとても嫉妬していたのよ…病弱でお父様お母様はマリアばかり目をかけていたのがきにいらなかったのよ…」

「マリエお嬢様は妹のマリアお嬢様が嫌いですか?」

私は首を横に振った。

「違う…あのね、私…マリアが死んじゃいそうな時、心の中でいなくなればいいと…そう願ってしまったの…なのに、あの子は何も知らず私を慕ってくれてるっ…本当は駄目な姉なのに…っ。私欲深くて計算高くて嫌な子なのに」

あの子の無邪気な笑顔が向けられ私を慕ってくれるほど、自分がいかに欲深く、嫌な子だと知ってしまう。

「あまり難しいこといえませんけど…僕は欲深く計算高くて嫌な子のマリエお嬢様のほうが可愛らしいと思いますよ」

ヘラッと笑顔で答えるトム。
…なんだか、そう考えて悩むのが馬鹿馬鹿しいと感じてしまった。

「あ、そういえば僕と新しくきた、えーと黒髪のクロ君なんですけどマリエお嬢様達と同じ学園に通うことになりました」

何やらエリオス王子は平民でも学べれる環境を作りたいと言い出し、全員とはいえないが、まずは貴族達の執事や屋敷の者達からと少しずつ受け入れる体制を整えているようね。
最近王子は楽しそうにしてるよう見えるわ。
ほんの昔の私なら、エリオス王子の肩書きと顔に一目惚れをしていたけど、ま、トムの方がタレ目でたぬき顔みたいなのが私は好きだわ。

「ねえ、トム」

「はい」

「二人の時だけは、私はただのマリエで貴方もただのトム。敬語とか、い、いらないわ…」

トムは少し驚いた表情をしたけど、すぐに笑顔で喜んで優しい声で私に話す。

「…そうだね、マリエ。また二人でお星様みようね」


夜の星はとても綺麗だった。
二人だけの秘密ができた。





「姉様!一緒にお茶をしましょう!」

いつものように、私の後ろについてくる可愛い妹。
その妹の周りにはエリオス王子達が妹に振り回されている毎日を見るのも悪くはないわね。

庭先の方へ向くと、トムはいつものように薔薇に水をあげていた。
私もいつものように、妹にとって誇らしい姉であり完璧な令嬢として振る舞い、今日も優雅に紅茶を飲んでいた。


「クロ、紅茶が渋いわ。入れ直してちょうだい」
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