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え?泥を被ったけどラッキーが起こったよ!

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さてあれから1ヶ月ほど経ちました。

姉様や、エリオス、スクアーロは、現在王立学園に通っている。そんな王立学園は基本貴族達しか通えないウルトラ金持ち学園!
そんななか、クロとトムが途中入学すると耳にはいった。私達より年齢が二つ上の二人は3学年。ほかにも少数だがいるらしい。



「クロとトムが王立学園に入学するの?」

クロはあれから執事見習いとして、今は私のそばにいて色々と遊んでくれている。あの、冷酷非道なクロエラとは違い、とても良いこのクロです。このまま大きく成長し、ヒロインと出会いメロメロになるわね!今のところ、姉様との関係も良好!これで姉様はクロに断罪されないわ!

クロはまだ慣れない手つきで、紅茶を淹れながら
「はい、トムと途中入学ですが、せっかくのチャンスです。頑張って勉強をしたいと思います」
笑顔でそう答えるクロに、ミルクティーを飲みながら姉様は、
「恥のないよう心がけなさい。貴方を馬鹿にしてくる人もいるのだから気をつけなさい。あとこの紅茶渋いわ」

クロは慌てて謝って、再度いれなおしていた。

いつ見ても、美しいです。我が姉は。

私はニコニコ姉様を見つめていると、隣に座っているエリオスに、
「他人事のように見ているようだけど、マリアも今年一学年として、入学するんだよ?」

「え?あれ?そーだっけ?」

ケーキを沢山食べている、スクアーロに
「お前まさか、忘れてたのか??ははっ!」

そんな、まさかの、すっかり忘れていた私に姉様は少し呆れていて、またそれも可愛いらしい。

「学校かあートムもクロも学年違うけど、楽しみだね!友達百人作れるかなあー」

「何かあったなら、直ぐに報告しなさいよ。ただでさえ、マリアは何をしでかすか…」

姉に心配されてる私は…幸せ過ぎる!!




とまあ、そんな感じで入学して一週間。
ハイ!いっこうに友達できませんよ!わたしは!
なんでだ!?えー6歳とかあまり深く考えず、
「おはなしにいーれーてっ!」とか仲良くなるもんじゃん?鬼ごっこしたりとかさあーするじゃん?

なんだろ、クラスの皆んなはいつも避ける。

これが俗にいう、ぼっちなのか…ぼっち、ツライ。

私はとりあえず教室の空を眺めて、今日の晩御飯はなんだろうか、と考えていた。


クラスの生徒や廊下をわざと通る生徒達がこそこそとマリアを見ていた。

「マリア様、お人形さんみたくて、可愛いーよね」

「お空を眺めてて、多分婚約者のエリオス王子の事を考えているのよ」

「姉のマリエ様も素敵だし」

「僕は断然、姉マリエ様派だったけど、やっぱ可愛いーよな」

「俺、声かけてみよっかなあー」

「バカ!私達はマリア様を見守る会なのよ!」




マリアはただ空を見て呟いた。

「はあ…わたあめが、食べたい…」

そして姉様に会いたい。とても会いたい。

廊下から歓声が聞こえてきた。
ふと、見ると、マリエお姉様とエリオス、スクアーロだった。

三人目立つなあーと感心して見ていたら、マリエお姉様が手を振ってきたので、ダッシュでマリエお姉様の胸に飛び込んでいきましたとも!

「マリア、走っては駄目よ。さ、そろそろ帰るわよ」

「ハイ!姉様」
マリエお姉様の匂い、素敵な匂いだわ。薔薇や!薔薇だー!

隣で両手いっぱい手を広げようとしていたエリオスに、マリエは鼻で笑って
「ふっ、残念でしたわね?エリオス様」

エリオスは笑顔のまま
「はは、そういう余裕な表情をトムにも見せてあげるべきだよ?」

そんな、二人の会話を聞いてるスクアーロは
「こわっ」と呟いていた。

とまあ、最近二人は、仲良しです。本来なら、姉様の片思いで一方的な婚約者となり関係は悪くなるのだけど、なんだろー?仲良くなってるよね。これって姉様の断罪回避したってことだよね!!

「二人共仲良しでよかったね!」
にっこり褒めたのに、二人は何故か固まっていた。そんな私を見てスクアーロはまた笑っていたから、
「姉様が可愛いからって、二人共争いはやめなさいよ!」と注意をしたら、三人共固まっていた。
なんで???

「あー、てかマリアは友達できたか?」

何気ないスクアーロの質問に深い溜息をする私。

「ふっ、百人じゃなくていいから、一人ぐらい欲しいかなあー。まあ、そのうち仲良しなこ見つかるよ。うん」

「ま、俺もさーあまり人とつるんだりしてなかったけどエリオスと出会って楽しかったりするからなあーきっといいやつと出会うよ!」

なんだか、やっぱり将来はエリオスの盾となる絶対的な信頼できる騎士のスクアーロだなと感じた。
優しい兄ちゃん!ってこんな感じかもね。

「マリア、今日のおやつはショコラプリンをシェフに頼んでおいたんだ。一緒に食べよう」

エリオスが私の頭を撫でながら、微笑んでくるけど、周りにいる姉様達以外鼻血出して、キャーキャー騒いでいるのは無視なのかしら。罪な男よのぉ。でもショコラプリンは食べたい!

「行く!皆んなと一緒に食べよう!」

ということで3学年教室にいるクロとトムも呼ぼうと私はダッシュで走った。後ろから姉様の声が聞こえたけど、とりあえず皆んなで美味しいおやつを食べたいもんね!
階段を下り、少し庭先へ向かえば3学年の教室なのだ。

角を曲がり、クロとトムを見つけた。

おや?クロには沢山のお友達ができたようだわ!
お友達に囲まれている、いいなあ。

「おーい!クロー!トムー!今日のね、おやつね、ショコラプリンだよー」

私の存在に気付いた二人は慌てた様子で
「お嬢様!来てはなりません!」

二人の目の前に着いた瞬間…


バシャッ!!!!


「へ…?」


一瞬の出来事でわけがわからず自分の服や髪が泥だらけになっていた。


「うあ!?マリア様じゃん?!なっなななんで!」

「泥かぶせちゃたじゃん!どどしーよ!」

「おい!お前らみたいな平民がこの学園にきたからこーなったんだぞ!」

五人の男子学生が逆キレして、クロとトムに突っかかっていた。
意味がわからず、呆然としていると、クロはハンカチを出して
「またお嬢様に守ってもらい、情けないですね」
と悲しい顔をしていた。

「トム、お嬢様を頼む。お嬢様、出来たら目を閉じて耳を塞いで欲しいです」

え?何?クロよ、可愛らしい男の子から、目つきが鋭くなってるのは気のせい?

「マリアお嬢様、少しだけ我慢してくださいね」
トムにそっと耳を塞ぎこまれ、クロにお願いされたし黙って目を閉じた私。



なんだかトムの匂いが、姉様の薔薇の匂いと同じでなんかわからないけど、安心して、少しそのまま寝てしまった。
目が覚めたら、泥を被せた学生達は消えて、私を追いかけてきたエリオス、スクアーロがクロと三人で怖い顔をしながら何やら話ていた。

攻略対象の三人並んでるの見ると、凄いわ。美形だわー。
ボ~と見て感心していたら、トムと愛しい姉様が声をかけてきた。


「マリア、大丈夫?」

「申し訳ありません…自分達の事にお嬢様を巻き込んでしまって…」

トムは平民である自分達がこの学園に通う事に相応しくないと嫌味を言われて、嫌がらせがあったとのこと。

「ひど!」

私はトムもクロも大事なお友達だと思ってるから許せないので、一発ぶん殴る勢いで行こうとしたら姉様に止められた。

「たしかに、相応しいかどうかといったら、まだ貴方達は相応しくはないわね」

おぉ!なんかズバッというね!姉様!

「ならば、落ち込んでいないで、今後相応しくなるよう努力を怠らず、が、が、がっ、頑張ればいいのよ!」


トムは笑って
「はは、貴女にはほんと敵わないなあ」

「ふんっ」


私が起きたのに気づいたクロは走っていき、
私をギュッと抱きしめた。

「本当に、申し訳ありませんっ!今後は絶対マリアお嬢様をお守りするよう強くなります」

「私はいーから、姉様を守ってねーでもありがと!」
私もギュッと抱きしめ返したら、クロは照れていた。
エリオスとスクアーロは後ろで、なんだか面白くない顔をしているけど、お腹でもすいたのか。


私は泥だらけのままでは馬車に乗れなかったので姉様の運動用の服を借りた。

「はうっ!推しの!推しの体操着を借りた!幸せ!」

泥を被ったおかげで姉様の体操着を借りたんだから、ラッキーじゃね?と思った一日でした!



「まったく……あぁエリオス様。今回の件は何も口も手も出さないでください」

「…何故?僕の可愛い婚約者がこんな目にあったというのに?」


「トムとクロは我がクリスタルティーン家の者ですわ。そして、マリアは我が妹。我が家を敵に回してしまったことを教えてさしあげなきゃなりませんから。
後始末はクリスタルティーン家がいたします」


「…ふーん。わかったよ、今回は黙っておく」




おや?エリオスと姉様がまた二人で話をしてる!
ハッ!まさか!!エリオスは姉様が好きなったんか!?いや、ヒロインちゃんを好きになる筈だから、それはないかー。

それにしても、姉様の顔!!とても悪どい顔になってます!いかにも悪役令嬢っぽい表情!


「なにかを企んでる姉様の顔が可愛いすぎだわっ!」



































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