絶滅危惧種オメガと異世界アルファ

さこ

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おしおき

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 気を利かせてくれた。というモアサナイトの台詞を吟味ぎんみして、ようやく気が付いた。

 人前ひとまえでキスすることに慣らされてる俺がおかしい。

「……うぎゃぁ」
 ちっさく叫ぶ。いまさら恥ずかしくなってきた。
「どうしたんだい?」
 とか聞きつつ、モアサナイトは赤くなった俺を腕に抱え込んでご満悦だ。わかってやってるだろ。
 抗議を伝えるつもりでナイトの胸にぐりぐり頭を押しつけると、くくくと笑い出す。
まどか」 愛おしげに首筋に手を這わす。「君が無事で良かったけど」
「あ!」 急にぐいと頭を起こした俺にモアサナイトが面食らう。「それで爲永ためながさんは召喚魔法が必要なんだって」
「……ああそう」 心底どうでも良さそうにこたえる。「なんで?」
「元々別の世界から呼ぶつもりだったから爲永さんは──」
「そっちじゃないよ。円はそのアルファの話ばかりをするよね。なんで今?」
「思い出したからなんだけど」
 ……ん? なにか選択肢を間違えた予感がする。モアサナイトから不機嫌王気が。王気と書いてオーラと読むやつ。
「ところで円、知ってる? 僕は怒ってる」
「あ、そうなんだ」
 ほけっとした気分のまま答えてしまう。怒るとこんな感じになるのか。気をつけよう。
 モアサナイトは溜息。
「まるでわかってない顔だね……それとも円は僕が怒る理由はわかっていて、あえてわからないふりをしてる? 流石にわかってるよね」
 起きて会話してしばらく経っているのに今さら怒っていると言われても……なんだっけ? というか俺に怒るモアサナイトというのが珍しい。
 つがいの見たことの無い一面を発見するとつい眺めてしまって思考が追いついてこないんだけど、答えなければいけない圧に押される。
「怒る理由……お仕置きがしてみたいから?」
 モアサナイトに青筋が立った!
 これじゃ誰かさんみたいだよ。それともアルファ同士、似てるのかなあと思う。いやでもトルマリンさんはまた毛色が違うからアルファでもそれぞれ性格は違うんだろう。

 ──言い訳をするのならば。

 この時の俺はいまだに寝起き状態だったし、なんならまだ眠たくて睡眠全然足りてなかったし、三時間睡眠ぐらいの感覚だったし、だからまさか自分がまる二日日間も眠っていたなんて事実、知らないし実感ないし、それに寝落ちする前だって色々ありすぎて起こったことをまだ整理できてなくて、本当に忘れていたのだ。

「うん。じゃあそれで良いよ」
 モアサナイトが軽く言う。
「それ?」
「してみるかい? お仕置き──いや」 様々な心情を内に秘めた微笑みが余所余所しくてこわい。「やってみようか」


 ◇ ◇ ◇


 視線の先には精巧なステンドグラスの天使が微笑んでいる。
 天使の性別は両性具有だ。

 その昔、オメガは天使であり、神様の使いではないか──という説が流布したことがある。

 昔、というのは地動説が有力となり、聖書の威信が揺らいでいた時代のこと。その説はなんと結構真面目に議論され、当時の教会から枢機卿、貴族院の大議会を巻き込んだ協議の結果、羽根も天使の輪もないオメガは地上に落とされた堕天使である──という結論に至った。
 ──これを下らないジョークだと笑い飛ばせないのは、どうやらオメガの迫害が始まったのはその歴史が背景にあるからだ。
 なにせ教会のお墨付きの堕天使になってしまったのだから。ひとつのが迫害していい対象として公的な機関に認められてしまったら、どうなるのか。
 火を見るより明らか、というかまあ、その後の歴史が結果を物語っている。

 この話を思い出す度に不思議になったものだ。そもそもオメガ天使論を唱えた人達がいるという事実に。一体なにを考えてたんだろう。

 なんて益体やくたいもない事を考えながら天蓋に嵌め込まれた天使を親の敵みたいに眺めてる。
 一心不乱に上方を睨むしかないのだ。
 何故かって、気を抜いて情けない声を漏らさないように。
 乱れるほどに理性が飛んでいないし、自分の身体なのに自由に動かせるのが視界以外に無いし。

 なので、頑張って現実と水色から目を逸らしているいま現在です。瞳を見つめてしまったら終わり──そんな確信めいた予感がしてる。
 だって、目を逸らしてるのに滅茶苦茶視線を感じて息が詰まりそうだ。下半身に埋めた指をくちゅくちゅとわざと音を立てて出し入れする音から耳塞ぎたい。指が動く度にびくびくと電流走った動物みたいに震えが走るけど、どうにも決定打にはならなくて、熱を解放するには物足りない。どころか、行き場が無い熱が溜まる一方。
 長い時間をかけて丁寧に、中途半端に煽られて、
 なんか、もう……きっつい。どうでもいい事に腹が立ってくる。天蓋ベッドって必要か? 天井も、船になんでこんな凝った装飾するか──不意に思い出した。味方、いるじゃん。ここに。

「ガーデン君」

 張り上げたつもりの声は自分で思ったよりも弱々しく鼓膜に響いて焦る。
 それでもちゃんと相手には届いたみたいで、
『はいマドカ』
 いつもよりも機械的に聞こえる平坦な声が返ってきた。あ。これ呆れてる。
 ていうか居るのにずっと沈黙守ってたんだよね。そこ詳しく追及したいところだけどこういうシーンで呼びつける俺の方が駄目な人な気がするけど、なりふり構っていられない。
「たすけて」
 一拍の間を置いて、返事が返ってきた。
『頼っていただき、ありがとうございます。このような切迫詰まった状況で私を思い出していただけて光栄に感じています。嘘ではないですよ?』
「ひ、ひあっ」
 ガーデン君を呼び出した事が気に入らなかったのか、敏感になった胸の突起をきゅっと食まれた。そうしてからちろちろと舌で転がす。いま、ぎりぎりなのに意地悪い。腕を突っ張って出来る限り、ナイトから距離を取ろうとする。
『大丈夫ですか』
「い、いいから、な、ふぁ、んく……ふぁあやろおゃ」
 抵抗空しくあっさり引き寄せられて、続けようとした台詞はパクリと食われる──食われる勢いで唇を奪われた。口をナカまで犯すような暴力的なキスにくたりと力が抜けて抱きつくと、満足げに支えてくれる。もー……こんなやり方で邪魔するのはヤメロ……。

『大変心苦しいのですが、当艦も馬に蹴られたくはありません。まあ船を蹴るような馬が存在するかという問題は兎も角ですね』 
「うっ、そだあ。俺のみかたってっや、は、早くたすけ」 すると膝裏に手を添えられて軽々と太ももを肩の上に担がれた。あられも無い格好に慌てる暇もなく覆い被さってくる。「ひッ、違って、はやくってそっちじゃな、いっあっ、あーばかあ、あっ、あっ」
 ずぐりと音がしたのが錯覚だったのか現実かよくわからない。一瞬だけ意識が飛んで、気付けばナイトのがぜんぶ埋まってた。太もも同士が密着してるからわかった。せめて距離を取りたいのに、俺の足は意思に反してモアサナイトの胴体を締め上げるように絡みつく。……身体の芯が、ずくずくする。ぐずぐずになる。
 ふと笑う気配。
「食らいつかれてるみたいだな」

 くそ……もう。何でこうなってんだろ。おかしい──なにが? 違和感の正体を考える。浅い経験を思い返して、なんとなくわかった──今、ぎりぎり理性が保たれていることがおかしい。
 オメガ全部がそうなのか自分だけがそうなのかは解らないけれど、ふだんの俺は色事に興味がない。下ネタだって苦手だ。でもはじめてヒートになってわかったことがある。あれは発情期があるからこその凪なのだ。年中発情期の人より省エネなのだ。発情でリミッターを解放してしまえばそんなの関係なくなって、ココまで来ると理性は手放した方が楽だってのがわかってる。特に理性に未練はない。なのに、ちっとも理性は去らず、いらないからって消えてくれるでもなく、ぐるぐる考え事をしてしまう程度には正気だ。ぐったりとした気分で考える。
 わざとなんだろうな。
 ……なにこの意地悪。

 八つ当たり的にガーデン君を睨みつけたいけど船の本体なんて全方向すぎてどこを睨んでいいかわからない。うらぎりもの。
『裏切りではないですよ? 空気が読めるとおっしゃってください』
 くうき?
 そうだ空気、空気を吸わないと。急に息を吸ったせいなのか、ひゅっと変な呼吸音がした。うまく吸い込めない。
「円」
 口に指を突っ込まれる。なに?
『ええ。ええ。マドカの不満は理解しています。しかしこちらとしてはモアサナイトに分があると考えます』
「んん、あ?」
『マドカ、あなたは危険人物を前にしてひとりで突っ込んで行った結果、怪我を作って帰ってきたでしょう? その怪我を自分から申告もしなかったというのも悪いですけど、またしても首ですよ? 首。急所です。オメガにとっては特別な意味のある場所なんです。あげくに加害者と疑われる人物を治療しての昏倒でしょう? それを今まるっと忘れているんですから、いくら私にだってフォローは不可能ですよ。ここは夫婦円満の為にも励んでいただき』
 途中から聞こえてない。ガーデン君の喋り声よりナイトの吐息の方が近くて落ち着かない。ふ、と傍で息されるだけでびくと痺れてしまうのだって、きっとバレてる。細かな振動すら伝わるぐらいに密着してるから。心臓の音も吐息も溶け合ってどちらのモノかわからないぐらい。
 俺の両手はナイトの肩をガッツリと抱えてる。裸の身体は上も下も密着してる。手のひらがナイトの肌にひたりと吸い付いたように馴染んでる。離さない──のではなくて、。なにこれ。肌の上でなら、手のひらを滑らせることはできる。指だって動かせる。なのにナイトの身体から手を外そうとすると、外れない。
 試しに人差し指から一本一本離していったら最後、小指を外す段階に来るとなぜか人差し指が肌の上に戻ってた。ほんとなにこれ? なんなんだよ。魔法? そんなくだらない魔法使うか? 静かにパニックを起こす。
 あと息、苦しい。吸い込めない。
「円、息吐いて」
「んや」 耳元へのささやきに反射的に首を振る。首を振ってから言われた台詞の意味を考える。「なんれゃ」
 あといいかげん指離してくれるかな。口が閉じられないと辛い。
「いいかれんゆひ、はなひて」
「うん、そう、落ち着いて息を吐いて」 髪をゆっくり撫でてから、口の中の指を出す。「そうだな、少し喋ろうか」
 ようやく口が解放されて、口が寂しくなる。いや違うだろ、散りかけた思考を必死に手繰り寄せる。ええと。……ナイトは喋ろうって言った?
「じゃぬいて」
「抜いたよ?」
 ゆっくりと微笑むモアサナイト。
「……そっちじゃない」
 のは解ってるよな。じとりと睨んだ訴えは、ちゅと軽いキスで返されつまり無視された。
爲永さん・・・・の事なんだけれどね」 そっと頬を包まれる。「彼がなにを召喚するつもりなのか、円は知っているのかい?」
 え?
「いまその話題?」
「だって最初に話を振ってきたのは円だろう?」
 頬を指で撫でられて思わず目を細めたら滴がこぼれる。
「それは、そうだけど」
 いま話さなくても良いのに。ってこれさっきの俺の趣旨返しかよ。するりと腰を撫でられてビクつく。
「それで? 彼の目的を知っているのかい? 召喚をして何をするつもりなのか」
 警戒しつつ、頷く。
「彼から話を聞いた?」
 また頷くとモアサナイトが黙り込む。沈黙が重い。次のアクションをじっと待っていると指で瞼を拭われた。あの……良いんだけど。
 そうして拭ってくれたところで瞳からはじんわりと新しい涙が盛り上がってくる。泣くのは見るのも見せるのも苦手だけど、生理的な涙はどうしようもない。もじもじと膝をすり寄せる。中に入ったまま動いてくれないのは正直生殺しだ。ナイトは平気なんだろうか。平気じゃないと思うけど。さっさと抜くか動くかしてくれ。
 けど質問という名の尋問は淡々と続く。
「円は彼に協力するつもり?」
「それは……迷うけど」
 水色から視線を逸らして言うと、ふ、と笑う気配──ああ、息が熱い。
「安心したよ。あっさり協力するなんて言われたら困ったことになっていた」
「……協力したら、駄目なのか?」
 なぜだろう。モアサナイトの質問は俺が爲永から話を聞いたのかどうかであって、その内容については聞いてこない。……聞いてもくれない。
「円は僕のオメガだよね?」
「当たり前だ……」
 じゃなきゃこうなってないのに。うっすらとした反抗心も手伝ってようやく相手を見返すと、思いの外、強い水色の眼差しに射すくめられて怯む。
 優しげにも聞こえる口調でモアサナイトは言う。

「──なら僕以外のアルファの頼みなんて聞くな」
「……」
 状況を忘れて見とれる。そもそもが一々見とれて状況忘れてしまうからこの現状を招いたんだけども。惹かれるんだから、仕方がない。特に瞳が好きだ。──他者を従わせる傲慢な王者アルファの眼。言うことを聞くのが当然という気にさせられる。

 そうして固まってる間にうなじに強く噛みつかれた。

「ひっ、あ」
 嫌なスイッチが入る。耐えきれない衝動が迫り上がって勝手に腰が動こうとしたのをあっさり腕で阻まれる。
「やっ、も、はやく」
 ふっとナイトが目元を緩める。
「もう勝手な真似をしないって約束できるよね?」
「え。嫌だ」
「……円?」
 なんか驚いた顔してるけど、あほか。
「そういうのは理不尽だからいやだ」
 モアサナイトの動作が止まったままなのでもういちど言う。
「い・や・だ」
「円」
「約束できないから」
 モアサナイトは怒るかなと思ったけれどそんなことはなかった。
「……困ったな」
「っ……」
 本当に困った顔をしつつ腰を引く。身体に埋まっていた分身がずるりと出て行く感触に身を震わせる。抜かれる──思った寸前にぐっと腰が引き寄せられた。
「んっあ、ふっあ」 ぱんと一気に奥まで届く。間髪入れず腰を打ち付けてくる。「待っ、うあっ」
「待てない」
 ぎゅっと腰を抱きしめてくる。ぬぷぬぷと浅く感じる場所を狙って太いのが出し入れされる。全身がびくびくと勝手に痙攣する。
「やっ、や」
 誰だこのかよわい声。腹立つ。ぞくりと震える身体を誤魔化すように強く抱きつく。浅い部分を警戒して身構えてると奥をずんと貫いてくる。しぬ。
「大丈夫。死なない」
 口から溢れた唾液を舐め取られる。声に出してた? 舌舐めずりする姿は肉食の動物ぽい。……綺麗だなあ。呑気に思った。
 ──その後の記憶はまばらだ。


 くったりとシーツに埋まった俺の髪をそっと撫でてモアサナイトが聞いてくる。
「言うこと聞ける?」
 同じことを何回目になるんだか。その台詞だけでぴくりと性器が反応してしまう。勃ちあがる力なんてもうないのに。これが学習能力だっけ? なんか違うような。 パブロフ?
「まーどか?」
「……ヤダ」
 答える声が、かすれてる。水色が霞んでよく見えないのが悲しい。悲しくなるとぶわぶわと余計に視界が滲んで見えなくなる。ああもう、汁まみれだよ。
「……いじめてるみたいだな」
 しゃっくりを宥めるように背中を撫でられる。どこもかしこも敏感になっていて、でも吐息しか漏れない。
「みたいじゃないてば」
「意地張るからだよ」 耳に息を吹きかけられて痙攣する。こんなになってても手が離れないから俺から抱きついた格好のままだ。「ねえ。あのアルファに二度と関わらないって答えるだけで良いんだよ。だいたい円になにができるの」
 ……オメガになにができるかって? 力が無いって、そんなの知ってる。心底わかってる。けどモアサナイトがそれを言うんだ。
「……アンタを嫌いになる」
 敢えて名前で呼ぶの止めて言ってみたけど──あれ? 思った以上に、効果は絶大だったっぽい。なんかモアサナイトがびくんと硬直してる。
「まど、まどか」
 滅茶苦茶動揺してる。えーと。
「運命に逆らえるのかとかつがいを嫌えないだろ? とか、そんなの知らないからな。ばか。お前なんて、きらい」
 拘束とけた。今度は指がすんなり外れる……案外簡単だな。最初からこうすれば良かった。俺も冷静なようで頭に血がのぼっているのかも。
 と。
 ばあん、と唐突に入り口の扉が勝手に開いてびくんとする。

『どうぞお帰りはこちらへ。ゆっくり眠れるお部屋にご案内致しますよ。勿論、モアサナイト立ち入り禁止にしますから!』
「ガーデン君……」
『最後はマドカの味方ですから』
 遅くね? いいけど。
「ガーデン君、楽しそう」
『気のせいですよ』
「ま待って」
 起き上がろうとしたら、ぐっと腕を掴まれた。……振り払おうかな。と思っただけなのにすごく慌てられる。
「あのね。俺は円を傷つけることはできないんだ」
「うん?」
「物理的には可能だよ。いや可能じゃないな。絶対にやりたくないし、絶対に傷つけない。でも、そうしたら何がなんでも言うこと聞かせたいときには身体で籠絡するしかないじゃないか」
 えーと。それは……。
「最低だな」
 むしろ感心して言う。けどその言葉をどう取ったのか、ナイトが慌て出す。
「捨てないでくれ」
「……」
 捨てるわけないし。

 どうしようかな。すごく、情けない。

 すごく、可愛い。


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