40 / 63
【護り人形】
壱
しおりを挟む
オレが働いている『警視庁生活安全課心霊捜査班』というところは、平たく言えば、警察組織の下請けのような存在である。
正式には違うのだろうが、名称に『警視庁』とついているのに所在地は別の場所だし、問い合わせてもそんな課は存在しないと返ってくる。
公式には存在しない組織。それが『警視庁生活安全課心霊捜査班』というところだ。
公式には存在しない組織だから、そこで働いているオレや虎蔵は公務員ではなく、普通の会社員という扱いになる。
明らかに『普通』からははみ出した業務内容だろうと、フリーダム過ぎる勤務形態だろうと、会社員は会社員。一般人となんら変わりはないわけで。
「リュウよ。こないだの小判、アレなあ。コレクターに人気のある慶長小判だとかでそこそこいい値がついたんだが、どうするよ」
伝手があるわけでなし。先だって妖鬼から受け取った小判の扱いに困って上司である佐久間のおっさんに丸投げしたら、出社早々、目玉が落っこちそうな買い取り希望金額が書き込まれた見積書のようなものを、ポンと渡され固まる。
「どうするって?」
「このまま売るか、更に価値が上がるまで寝かせるか、よそへ回すか」
「このまま売り払って問題ないなら売り一択ですけども」
そもそも、あの小判はどこからきたモノで、所有権が誰にあるのかすらオレにはわからない。だから、後でいろいろ問題が出てきてもめんどくさいと、早々に佐久間のおっさんに丸投げしたんだ。取り扱いに困って渡したモノを戻されても、正直困る。
「ならこっちで現金化して、おまえさんの口座に振り込んどくぞ」
「って、なんでオレの口座!?」
「渡されたのはおまえさんだろうよ。必要経費として貰っとけ」
貧乏生活が長かったせいだろう。ちょっと見慣れない桁にビビって、査定の金額と佐久間のおっさんの顔を、何度も交互に見遣る。
貰っとけって、この金額を? オレが? 全部?
手続きしてくると言って佐久間のおっさんが出ていったドアを見つめ、しばし呆然と佇む。対価を寄越せと言いはした。でもそれは、無尽蔵にむしられていてはこっちが破産するからであって、その都度、食べた分を補充していって欲しかっただけのことである。
それをこんな。見るのも怖いような金額をポンと渡されてもはいそうですかと受け取れるわけがない。
「龍くん、龍くん。どうせ、九十九くんが主張するところの相互扶助とやらだけでそのほとんどが消えちゃうんだから、遠慮せず受け取っちゃっていいと思うよ」
正式には違うのだろうが、名称に『警視庁』とついているのに所在地は別の場所だし、問い合わせてもそんな課は存在しないと返ってくる。
公式には存在しない組織。それが『警視庁生活安全課心霊捜査班』というところだ。
公式には存在しない組織だから、そこで働いているオレや虎蔵は公務員ではなく、普通の会社員という扱いになる。
明らかに『普通』からははみ出した業務内容だろうと、フリーダム過ぎる勤務形態だろうと、会社員は会社員。一般人となんら変わりはないわけで。
「リュウよ。こないだの小判、アレなあ。コレクターに人気のある慶長小判だとかでそこそこいい値がついたんだが、どうするよ」
伝手があるわけでなし。先だって妖鬼から受け取った小判の扱いに困って上司である佐久間のおっさんに丸投げしたら、出社早々、目玉が落っこちそうな買い取り希望金額が書き込まれた見積書のようなものを、ポンと渡され固まる。
「どうするって?」
「このまま売るか、更に価値が上がるまで寝かせるか、よそへ回すか」
「このまま売り払って問題ないなら売り一択ですけども」
そもそも、あの小判はどこからきたモノで、所有権が誰にあるのかすらオレにはわからない。だから、後でいろいろ問題が出てきてもめんどくさいと、早々に佐久間のおっさんに丸投げしたんだ。取り扱いに困って渡したモノを戻されても、正直困る。
「ならこっちで現金化して、おまえさんの口座に振り込んどくぞ」
「って、なんでオレの口座!?」
「渡されたのはおまえさんだろうよ。必要経費として貰っとけ」
貧乏生活が長かったせいだろう。ちょっと見慣れない桁にビビって、査定の金額と佐久間のおっさんの顔を、何度も交互に見遣る。
貰っとけって、この金額を? オレが? 全部?
手続きしてくると言って佐久間のおっさんが出ていったドアを見つめ、しばし呆然と佇む。対価を寄越せと言いはした。でもそれは、無尽蔵にむしられていてはこっちが破産するからであって、その都度、食べた分を補充していって欲しかっただけのことである。
それをこんな。見るのも怖いような金額をポンと渡されてもはいそうですかと受け取れるわけがない。
「龍くん、龍くん。どうせ、九十九くんが主張するところの相互扶助とやらだけでそのほとんどが消えちゃうんだから、遠慮せず受け取っちゃっていいと思うよ」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる