騎士団長が大変です

曙なつき

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【短編】

騎士団長と禁断の言葉 (6)

 浴室で身を清めた後に、早速、寝台を共にしようと誘ってきたエドワードに、バートは思い出したようにこう言った。

「私は殿下に申し上げたいことがあったのです」

「なんだ」

「……大変申し上げにくいのですが、殿下、私は前々から思っていたことがあります」

 バートは静かに切り出した。
 愛するバートの言葉なら、何でも叶えてやりたいと考えているエドワードは耳を傾ける。

「言いにくいこととはなんだ。ハッキリと私に言って良いぞ」

 なんでも叶えてやろうと、鷹揚に答えるエドワード。金でも宝石でも、身分だって、望みのものを与えることができる。今まで無欲であった彼だ。だからこそ、今のこの機会に叶えてやりたい。
 熱情を感じる王太子の碧い瞳を見つめながら、バードは静かに言った。

「それでは申し上げさせて頂きます」

 非常に不敬なことだとわかっていたが、この機会にバートは言いたかった。






「殿下は普通のセックスをしてください」

 その言葉に、エドワードは一瞬言葉を失った。
 彼が何を言いたいのか、理解できない。

「…………………………それはどういうことだ」

 困惑したように問い返すエドワードに、バートは頬を赤く染め、どこか恥じらいながら言葉を続けた。

「その、殿下とのアレコレは、非常に私には辛いというか」

「何が辛いんだ。お前も悦んでいることが多いと思うぞ」

 その言葉に、カーとバートは全身を赤く染めていた。目を逸らして言う。

「……とにかく、普通のやつでお願いします」

「普通のやつというのはどういうものだ。具体的に説明しないとわからないぞ」

 その言葉に、バートは珍しくも目を白黒して、言い淀んでいた。

「きちんと説明しろ」

「その、説明するには」

「じれったい奴だな。なら、今日はお前がリードして普通とやらのセックスを教えてくれ」

 

 バートはその言葉に、ハッと気が付いた。
 これももしかして、殿下のいつもの“羞恥責め”なのだろうか。
 とてもリードしてやる気にはならないバートは、怒った。

「そういうのがよくないと言っているんです!! そう言う殿下は、まさしく変態なんですよ」

 言った。
 ついに言ってしまった。

 変態と言われたエドワード王太子は凍りついていた。

「……私が……変態」

「そうです。殿下のお立場を慮って、誰も口にできなかったと思いますが、私があえて心を鬼にして告げさせていただきます」

「……」

「殿下は変態です」



 王家に誰よりも深い忠義を捧げるバーナード騎士団長。
 迷いつつも、ついに殿下に変態と告げてしまったのであった。
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