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第一章 俺の大好きな聖女ちゃんが腐女子で、現世まで追いかけてきた竜騎士とくっつけようと画策しているらしい
第8話 今日、聖女様も転校してくるから、昼休みにまた打ち合わせをして、放課後現場に行こう
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「ヒカル、あれは、ゴブリンだったな」
学校へ着くなり、奴は俺を屋上へ続く階段の踊り場へ連れていった。
ここは人通りがなくて、他の奴に聞かれたくない話をするには最適な場所だった。
「ゴブリンだったね。警察官が連れていってくれて、一件落着で良かった」
俺は階段に座ってそう言うと、ゼノンは深刻な顔をしていた。
「あのゴブリンが、どこから湧いたのかということが、重要だ。魔物の湧き場所を塞がないと、また現れるぞ」
「…………えぇぇぇぇぇ」
心底嫌そうな俺の声に、ゼノンはガシッと俺の肩を掴んで言った。
「ヒカル、お前だってわかっているだろう。湧き場所を塞ぎに行かないといけないと」
「…………まぁね」
現れるゴブリンなどの魔物をいちいち倒してても、それはその場の対処療法でしかない。根本を叩かないと延々と続くことになる。
「今日、聖女様も転校してくるから、昼休みにまた打ち合わせをして、放課後現場に行こう」
「え!! 聖女ちゃんが転校してくるの? それも今日!!」
「そうだ…………本当は話したくなかったんだが」
ぼそりと呟かれた奴の声は聞こえなかった。
俺は拳を握り締め、叫んだ。
「やる気がでたぞ!! そうだな、昼休みに打ち合わせだ!!」
本当に、その日聖女ちゃんこと林原麗子は転校してきた。
それも同じクラスに。
俺は内心小躍りしていた。
また聖女ちゃんと一緒に過ごせる!!
聖女ちゃんは綺麗で優しくて、時々怒るけど、本当にいい子なんだ。
時々変なことをぶつぶつ呟いていたり、俺とゼノンが一緒にいると、「ヨシ!!」と拳を握り締めて奇妙な笑顔を向けてきたりするけど、いい子なんだ。
昼休み、ゼノンと話し合っていたあの踊り場で三人で集まると、放課後、一度家に帰宅して着替えてから現場に行くことが決まった。
一度家に帰宅した時、届いていた夕刊には「未確認生物 五匹目確認」という記事が目に入った。
新宿区ではあの後、ゴブリンが五匹発見されて、それらはいずれも警察に捕獲されているという話だ。
今まで見たことのない生物ということで、大学の研究室に送られたり、一部は米軍に引き渡される話になっている。
俺は友達に会いに行ってくると告げて、家を出た。
駅に行くと既に聖女ちゃんとゼノンが待ち構えていた。
電車に乗っている最中、聖女ちゃんは少し深刻な表情で言った。
「ゴブリンの繁殖の仕方って、光君は知っているわよね」
「…………ああ」
胸糞悪いことに、ゴブリンは人間の女をさらってそれに種付けをするのだ。
聖女ちゃんは、今はまだ被害が出ていないが、現世の人間に被害が出ることをすごく心配しているのだ。
「早く湧き場所を見つけないといけないわ」
「ゴブリンが五匹見つかったというけれど、新宿区のどこなのかわかる?」
「ネットニュースに出ていたわ。高田馬場よ」
「高田馬場に行ってから、聖女ちゃんの力で湧き場所ってわからないか?」
「やってみないとわからない。おそらく使えると思うわ」
少し不安そうな表情だったが、彼女はそう言った。俺とゼノンは顔を見合わせて言った。
「俺達が聖女ちゃんを守るから、その間聖女ちゃんは集中して探してくれ。守りは任せてくれ」
「ありがとう」
言った後に、初めて気が付いた。
「あれ、武器どうする?」
ゼノンに聞くと、彼は収納庫に伝説の武器ほどではないが、高スペックの武器を入れておいたそうだ。
俺もなんか入れていた気がする。
「ただ、武器を手にして歩くと、警官に不審者として声をかけられたり、銃刀法違反で逮捕される可能性が高い」
「…………」
「武器は収納庫からすぐに出せる状態にして、それまでは手ぶらで行こう」
「わかった」
危なかった。
ゼノンが銃刀法のことを言わなかったら、俺は駅の隅っこで剣を出して構えながら歩いていたところだったな。
ここは異世界と違うんだ。ちゃんとわきまえていないとだめだな。
学校へ着くなり、奴は俺を屋上へ続く階段の踊り場へ連れていった。
ここは人通りがなくて、他の奴に聞かれたくない話をするには最適な場所だった。
「ゴブリンだったね。警察官が連れていってくれて、一件落着で良かった」
俺は階段に座ってそう言うと、ゼノンは深刻な顔をしていた。
「あのゴブリンが、どこから湧いたのかということが、重要だ。魔物の湧き場所を塞がないと、また現れるぞ」
「…………えぇぇぇぇぇ」
心底嫌そうな俺の声に、ゼノンはガシッと俺の肩を掴んで言った。
「ヒカル、お前だってわかっているだろう。湧き場所を塞ぎに行かないといけないと」
「…………まぁね」
現れるゴブリンなどの魔物をいちいち倒してても、それはその場の対処療法でしかない。根本を叩かないと延々と続くことになる。
「今日、聖女様も転校してくるから、昼休みにまた打ち合わせをして、放課後現場に行こう」
「え!! 聖女ちゃんが転校してくるの? それも今日!!」
「そうだ…………本当は話したくなかったんだが」
ぼそりと呟かれた奴の声は聞こえなかった。
俺は拳を握り締め、叫んだ。
「やる気がでたぞ!! そうだな、昼休みに打ち合わせだ!!」
本当に、その日聖女ちゃんこと林原麗子は転校してきた。
それも同じクラスに。
俺は内心小躍りしていた。
また聖女ちゃんと一緒に過ごせる!!
聖女ちゃんは綺麗で優しくて、時々怒るけど、本当にいい子なんだ。
時々変なことをぶつぶつ呟いていたり、俺とゼノンが一緒にいると、「ヨシ!!」と拳を握り締めて奇妙な笑顔を向けてきたりするけど、いい子なんだ。
昼休み、ゼノンと話し合っていたあの踊り場で三人で集まると、放課後、一度家に帰宅して着替えてから現場に行くことが決まった。
一度家に帰宅した時、届いていた夕刊には「未確認生物 五匹目確認」という記事が目に入った。
新宿区ではあの後、ゴブリンが五匹発見されて、それらはいずれも警察に捕獲されているという話だ。
今まで見たことのない生物ということで、大学の研究室に送られたり、一部は米軍に引き渡される話になっている。
俺は友達に会いに行ってくると告げて、家を出た。
駅に行くと既に聖女ちゃんとゼノンが待ち構えていた。
電車に乗っている最中、聖女ちゃんは少し深刻な表情で言った。
「ゴブリンの繁殖の仕方って、光君は知っているわよね」
「…………ああ」
胸糞悪いことに、ゴブリンは人間の女をさらってそれに種付けをするのだ。
聖女ちゃんは、今はまだ被害が出ていないが、現世の人間に被害が出ることをすごく心配しているのだ。
「早く湧き場所を見つけないといけないわ」
「ゴブリンが五匹見つかったというけれど、新宿区のどこなのかわかる?」
「ネットニュースに出ていたわ。高田馬場よ」
「高田馬場に行ってから、聖女ちゃんの力で湧き場所ってわからないか?」
「やってみないとわからない。おそらく使えると思うわ」
少し不安そうな表情だったが、彼女はそう言った。俺とゼノンは顔を見合わせて言った。
「俺達が聖女ちゃんを守るから、その間聖女ちゃんは集中して探してくれ。守りは任せてくれ」
「ありがとう」
言った後に、初めて気が付いた。
「あれ、武器どうする?」
ゼノンに聞くと、彼は収納庫に伝説の武器ほどではないが、高スペックの武器を入れておいたそうだ。
俺もなんか入れていた気がする。
「ただ、武器を手にして歩くと、警官に不審者として声をかけられたり、銃刀法違反で逮捕される可能性が高い」
「…………」
「武器は収納庫からすぐに出せる状態にして、それまでは手ぶらで行こう」
「わかった」
危なかった。
ゼノンが銃刀法のことを言わなかったら、俺は駅の隅っこで剣を出して構えながら歩いていたところだったな。
ここは異世界と違うんだ。ちゃんとわきまえていないとだめだな。
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