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第一章 俺の大好きな聖女ちゃんが腐女子で、現世まで追いかけてきた竜騎士とくっつけようと画策しているらしい
第7話 未確認生物が出現
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それからしばらくは、平穏な日々だった。
俺は毎日学校に行って、ダチの啓介やゼノンと過ごして、そして家に帰ると妹とゲーム。
ああ、毎日平和で素晴らしい!!
異世界へ行った時は、毎日魔獣倒して魔獣倒して魔獣倒して、そんな毎日だったからな。
労働基準法なんてないから、俺は朝から晩までずっと魔獣討伐で働かされていた。時に休憩時間もなく働かせられていたんだぜ。
もちろん、「勇者様」ともてはやされていたし、それについては気分の悪いものではない。
だけど、ずーと働き続けているのは辛かった。
あっちにいたときは、やっぱりこの現世の日本の平和な生活が恋しくなっていた。
ごろごろ寝ながら、コーラを飲んで、ポテチ食ってゲームをすることの幸せなこと。
こうした平和な日々が、これから先もずっと続けばいいのに。
そんなことを、俺は願っていたのに……。
月曜日の朝、また学校の始まるその朝、テーブルについてトーストにバターを塗っている時、突然テレビに「緊急速報」という文字が流れてきた。
テーブルについていた皆の目が、テレビに一斉に注目する。
「新宿区に未確認生物が出現。現在、警察が調査中」
「未確認生物ってなんだろう。ツチノコ発見とか?」
妹の由貴がそう言う。
画面が切り替わって、ヘリから地上を映した映像が映し出される。
紺色の制服に白いヘルメット、透明なポリカーボネート製の盾を手にした複数の警察官が映し出される。一部は刺又を手にしている。
「なんだか捕り物っぽいわね。動物園から猛獣とか逃げたのかしら?」
母さんが目を凝らして画面を見ている。そんな母さん達視聴者の願いが届いたのか、ヘリからの映像が少しアップになった。
警察官が刺又を手に、追い詰めるようにしていたものは、一匹のゴブリンだった。
俺は口からぽたりとトーストを落とした。
「え、ゴ……ゴブリン?」
人間よりも小柄で、人間と同じように二足歩行をしているが、顔立ちは醜悪で歯をむき出しにして威嚇している。その右手には石斧を持っていた。
肌の色は緑色をしていて、たとえ人型をしていようとも、その肌の色で人間とは明らかに違う生き物だということがわかる。
警察官が近づくと石斧を振り回して奇声をあげていたが、やがて多勢に無勢で、刺又で押さえつけられて連れて行かれた。
「……人間じゃないの? アレ」
人型をしているため、人間のように見えるのだろう。だが、見ている者は本能的にアレは違うと思ったことだろう。
醜悪で凶悪な人類の敵、モンスターだ。
「人間じゃないだろう」
すぐにゼノンからラインが入った。
学校で話し合おうという内容に、正直俺は……面倒くさいと思っていた。
俺は毎日学校に行って、ダチの啓介やゼノンと過ごして、そして家に帰ると妹とゲーム。
ああ、毎日平和で素晴らしい!!
異世界へ行った時は、毎日魔獣倒して魔獣倒して魔獣倒して、そんな毎日だったからな。
労働基準法なんてないから、俺は朝から晩までずっと魔獣討伐で働かされていた。時に休憩時間もなく働かせられていたんだぜ。
もちろん、「勇者様」ともてはやされていたし、それについては気分の悪いものではない。
だけど、ずーと働き続けているのは辛かった。
あっちにいたときは、やっぱりこの現世の日本の平和な生活が恋しくなっていた。
ごろごろ寝ながら、コーラを飲んで、ポテチ食ってゲームをすることの幸せなこと。
こうした平和な日々が、これから先もずっと続けばいいのに。
そんなことを、俺は願っていたのに……。
月曜日の朝、また学校の始まるその朝、テーブルについてトーストにバターを塗っている時、突然テレビに「緊急速報」という文字が流れてきた。
テーブルについていた皆の目が、テレビに一斉に注目する。
「新宿区に未確認生物が出現。現在、警察が調査中」
「未確認生物ってなんだろう。ツチノコ発見とか?」
妹の由貴がそう言う。
画面が切り替わって、ヘリから地上を映した映像が映し出される。
紺色の制服に白いヘルメット、透明なポリカーボネート製の盾を手にした複数の警察官が映し出される。一部は刺又を手にしている。
「なんだか捕り物っぽいわね。動物園から猛獣とか逃げたのかしら?」
母さんが目を凝らして画面を見ている。そんな母さん達視聴者の願いが届いたのか、ヘリからの映像が少しアップになった。
警察官が刺又を手に、追い詰めるようにしていたものは、一匹のゴブリンだった。
俺は口からぽたりとトーストを落とした。
「え、ゴ……ゴブリン?」
人間よりも小柄で、人間と同じように二足歩行をしているが、顔立ちは醜悪で歯をむき出しにして威嚇している。その右手には石斧を持っていた。
肌の色は緑色をしていて、たとえ人型をしていようとも、その肌の色で人間とは明らかに違う生き物だということがわかる。
警察官が近づくと石斧を振り回して奇声をあげていたが、やがて多勢に無勢で、刺又で押さえつけられて連れて行かれた。
「……人間じゃないの? アレ」
人型をしているため、人間のように見えるのだろう。だが、見ている者は本能的にアレは違うと思ったことだろう。
醜悪で凶悪な人類の敵、モンスターだ。
「人間じゃないだろう」
すぐにゼノンからラインが入った。
学校で話し合おうという内容に、正直俺は……面倒くさいと思っていた。
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