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第一章 幼少期の王宮での暮らし
第二十話 妃殿下とのお茶会
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アルバート王子が北方の竜騎兵団の寮に入るまで、半年を切った。
少しずつ持ち込む荷物の整理が進められ、竜騎兵団側でも彼を受け入れるための準備が進められている。
竜騎兵団は、竜と竜騎兵の相性が重視される。どんなに優秀な人物であろうと、竜に選んでもらわなければ決して竜騎兵になることは出来ない。
それゆえ、竜騎兵は貴族の子弟がなるとは限らず、それどころか七割以上の竜騎兵団の人員が平民であった。
そして残りの三割が貴族の子弟であったが、その中に高位貴族の子弟は滅多にいない。
現騎兵団長ウラノスは伯爵家嫡男であったが、副騎兵団長パールは平民出身である。
将来の竜騎兵として受け入れられる少年達は、親元から離れての入寮生活を求められる。これに例外はない。
そして寮において、騎士に準じた教育を受ける。これまで多くが平民として育てられてきた少年達は、ここで貴族の子弟なら当然知っておくべきマナーも叩き込まれ、同時に、守るべき竜騎兵団でのルール、武器の取り扱いから身体訓練、パートナーの竜の世話と竜への教育というように、ぎっしりと指導されるべき内容があった。
アルバートの母であるマルグリッド妃は、アルバートが竜騎兵団に行った後、優秀な竜騎兵になることを望んでいた。
七番目とはいえ、アルバートは王子である。
優秀な成績を修めてもらわねば困るのだ。
だから、王子の護衛騎士バンナムが、その弟に現竜騎兵を持つことは非常に都合がよく、アルバートは竜騎兵団に入るまでの間、護衛騎士バンナムを通じて、寮に入った後の見習い達がどのような訓練を修めるのか聞いて、学べることは先取りするようにしていた。
マルグリッド妃にとって、アルバート王子とマリアンヌ王女は自分の可愛い子供達であり、可能な限り、将来子供達が困ることのないよう、有望な道を用意し、幸せな生活を送れるように支援してやりたかった(すでに王女マリアンヌの降嫁先が早々に決められていることも、マルグリッド妃の熱心な働きかけによるものだった)。
王子と王女は、国王の数多くいる子供達の中では末席に座っている。王の眼中には入っていない。
そのため国王の後押しはまず、期待できないのだ。そこはマルグリッド妃が頑張るしかなかった。
しかし、アルバートが竜騎兵になれるかどうかは、竜との相性次第という状態で、マルグリッドは最悪、アルバートを竜騎兵ではなく、騎士として出世させることも選択肢の一つとして考えていた。
だが幸いなことに、アルバートは竜に選ばれた。
王子を選んだのは、滅多に生まれないという紫色の竜であったが、色はどうあれ、選ばれたことに変わりはない。
そのことに安堵していたマルグリッドであったが、その紫色の竜は、どうも普通の竜とは違うという話を耳にするようになっていた。
紫色の滑らかな鱗を持ち、大きな黒い瞳を持つその小さな竜はとても愛らしく、女官や侍従達にも人気があるらしい。
そしてアルバートはその竜を溺愛していた。朝から晩まで小さな竜と一緒に過ごし「ルー」という愛称を付けて呼んでいる。
竜騎兵達は自分のパートナーである竜を大層可愛がる話は聞いていた。王子が小さな竜を可愛がることはおかしくはない。
そんなに息子である王子が可愛がっている竜であるなら、そしてアルバート王子が将来命を預け合うであろうパートナーになる竜であるなら、マルグリッド妃が一度、直接会ってみたいと思うのも当然であった。
「ということで、兄様、お母様がルーシェに会いたいと言っているの」
またしても兄王子の部屋に遊びにやってきたマリアンヌ王女は、紫竜ルーシェを両手で抱き上げ、高い高いをしながらそう言った。
今、ルーシェは魔法の力で子猫ほどの大きさになっていた。マリアンヌ王女でもやすやすと抱き上げられる大きさである。
そして何度か高い高いをしているうちに、マリアンヌはポンとルーシェを空中に放り投げる。
するとルーシェは、翼をパッと広げて頭上から旋回するように飛んで、マリアンヌの足元に降り立った。
「飛ぶのが上手になったわね」
マリアンヌは大いに褒め、またルーシェを高い高いした後、今度は「エイヤ」と掛け声を挙げて、彼女はルーシェを放り投げる。
今度はルーシェはくるりと空中で一回転した後、翼を広げて空中で止まるようにして、それからまた旋回した。
広い王宮の居室であるからして出来ることではあるが、マリアンヌのそばにつく女官はいささか乱暴な姫の行為に目を剥いていた。
「すごいわ、ルーシェ」
「マリアンヌ、ルーを乱暴にしないでくれ」
「大丈夫よ。ルーシェは反射神経がいいもの。それにこれも良い訓練になるはずよ」
「……ルー、おいで」
そう王子が呼ぶと、小さな紫竜はアルバート王子のそばにまっしぐらに飛び、彼の胸に飛び込んで頭をすりつけてくる。
それにアルバート王子は目を和ませ、紫竜の頭を撫でていた。
「もう、ルーシェと遊んでいるのは私なのに」
「お前が乱暴にするからだ。ルーシェは玩具じゃないんだぞ」
「でも飛ぶ訓練には本当にいいと思うわよ。すぐに体勢を整えて、飛ぶことができるという感じでね。そうでしょう? バンナム卿」
そう話を向けられたバンナム卿は「私は竜騎兵ではありませんので、分かりかねます」と答えて、マリアンヌを少し膨らませていた。
「こういう時はレディたる私の味方をすべきよ、バンナム卿」
そしてマリアンヌはソファに座り、お茶の淹れられたティーカップを手に取った。
一口それを飲んだ後、先ほどの話を続けた。
「兄様が北方の竜騎兵団に行く前に、是非一度、お母様がルーシェに会いたいというお話よ」
「分かった。今度母上とお会いする際に連れていく」
「ルーシェはお母様の前では特別、大人しくいい子にしておくのよ」
そう言うマリアンヌ姫に、紫竜は不思議そうに頭を傾げていた。
だからマリアンヌ姫は説明するように言った。
「ルーシェが塔の中で竜巻を起こした話を聞いて、お母様付きの侍女や女官達が心配しているのよ。お母様の前でもそれをやったら危険だと」
「もうあんな魔法を暴走させるようなことはないだろう。それだからレネ先生に見てもらっているんだ」
「そうよね。飛ぶことだってこうしてマスターしているのだし、魔法の指導も順調なのでしょう?」
マリアンヌ姫の問いかけに、「ピルルル」と小さな竜は頷く。
順調だということだろう。
「あとは……北方へ行く前に、大きくなれるようになることね」
その言葉にルーシェは無言になる。
それが難問だったのである。
小さくなる魔法は、早くに出来るようになっていたが、未だに大きくなる魔法は上手くできない。
やはりそこで鍵となるのは、魔素の扱いだった。
魔素がうまく扱えない限り、成長して大きくなった姿をとることは出来ないのではないかと思っていた。
考え込んで元気を無くした様子のルーシェの頭に、アルバート王子は手をやって「大丈夫だ、ルー」と優しく撫でてくれた。
そして、アルバート王子の母親であるマルグリッド妃と対面する日になった。
アルバート王子が、マルグリッド妃のいる宮を訪ねていく。
颯爽と歩く少年王子の後ろには、いつものように護衛騎士バンナムが控え、そして王子の腕には小さな猫ほどの大きさになっている紫竜が抱かれていた。
マルグリッド妃のいる部屋に入ると、彼女はすぐに王子に向かって優しく微笑んだ。
「さぁ、いらっしゃい。その子が貴方の竜なのね」
マルグリッド妃は現在、二十代後半の妃だった。
豊かな黒髪に鳶色の瞳をしており、アルバート王子によく似た顔立ちをしている。
(アルバート王子も整った綺麗な顔立ちをしていると思ったけど、やはり親子。王子のお母さんもまた美人だな。お母さん似で良かったな)
とルーシェは勝手なことを思っている。
王子の父親である国王にはまだ会ったことがないので、とりあえずそう思っていた。
アルバート王子が席に着くと、すぐさま侍女がお茶の用意を始める。
その王子の膝の上に座る小さな竜を見て、マルグリッド妃は声をかける。
「名はルーシェというのでしょう? 本当に可愛らしい竜ね。マリアンヌがよく話している通りだわ。紫色の綺麗な鱗をしていて、それに、大きな黒い目がとても可愛らしい」
可愛らしさを褒められてルーシェが照れていると、マルグリッド妃は続けた。
「その小さな姿は魔法を使っていると聞いたわ。紫竜は“魔術の王”と呼ばれるほどの魔法上手な竜だとか。大きくなることも出来るのでしょう? 今度、アルバートを乗せている姿も見せて頂戴ね」
そうアルバート王子によく似た母親は優しく言ったのだった。
ルーシェはマルグリッド妃にとても歓待された。
恐らく事前にマリアンヌ王女から聞いていたのだろう。彼の好物の果物がたっぷり入ったケーキなども用意され、ルーシェがパクパクとそれを食べる様子を喜んで眺めていた。
別れ際には、マルグリッド妃はルーシェのためにと、たくさんのお菓子の詰められた籠まで持たせてくれた。
きっとルーシェのことを気に入ってくれたと思う。アルバート王子の母親であるマルグリッド妃との対面は成功したといえる。
だけど、王子の部屋に帰った後も、紫竜ルーシェは浮かない様子だった。
それには王子も気が付いていた。
「ルー」
名を呼んで、膝の上に抱き上げて、ぎゅっと抱きしめる。
そうすると、紫竜はいつも大喜びで、「ピルピルピルル」と鳴いてくれるのだ。
でも、その時の紫竜は「ピルルゥ」と声も元気が無い様子だった。
「大丈夫だよ、ルー」
王子が何を大丈夫だと言っているのか、ルーシェにも分かっている。
彼は、きっとルーシェが大きくなる魔法を完成させられると言っているのだ。
まだあと半年もある。
きっと、大丈夫だと王子は小さな紫竜を励ますのだった。
少しずつ持ち込む荷物の整理が進められ、竜騎兵団側でも彼を受け入れるための準備が進められている。
竜騎兵団は、竜と竜騎兵の相性が重視される。どんなに優秀な人物であろうと、竜に選んでもらわなければ決して竜騎兵になることは出来ない。
それゆえ、竜騎兵は貴族の子弟がなるとは限らず、それどころか七割以上の竜騎兵団の人員が平民であった。
そして残りの三割が貴族の子弟であったが、その中に高位貴族の子弟は滅多にいない。
現騎兵団長ウラノスは伯爵家嫡男であったが、副騎兵団長パールは平民出身である。
将来の竜騎兵として受け入れられる少年達は、親元から離れての入寮生活を求められる。これに例外はない。
そして寮において、騎士に準じた教育を受ける。これまで多くが平民として育てられてきた少年達は、ここで貴族の子弟なら当然知っておくべきマナーも叩き込まれ、同時に、守るべき竜騎兵団でのルール、武器の取り扱いから身体訓練、パートナーの竜の世話と竜への教育というように、ぎっしりと指導されるべき内容があった。
アルバートの母であるマルグリッド妃は、アルバートが竜騎兵団に行った後、優秀な竜騎兵になることを望んでいた。
七番目とはいえ、アルバートは王子である。
優秀な成績を修めてもらわねば困るのだ。
だから、王子の護衛騎士バンナムが、その弟に現竜騎兵を持つことは非常に都合がよく、アルバートは竜騎兵団に入るまでの間、護衛騎士バンナムを通じて、寮に入った後の見習い達がどのような訓練を修めるのか聞いて、学べることは先取りするようにしていた。
マルグリッド妃にとって、アルバート王子とマリアンヌ王女は自分の可愛い子供達であり、可能な限り、将来子供達が困ることのないよう、有望な道を用意し、幸せな生活を送れるように支援してやりたかった(すでに王女マリアンヌの降嫁先が早々に決められていることも、マルグリッド妃の熱心な働きかけによるものだった)。
王子と王女は、国王の数多くいる子供達の中では末席に座っている。王の眼中には入っていない。
そのため国王の後押しはまず、期待できないのだ。そこはマルグリッド妃が頑張るしかなかった。
しかし、アルバートが竜騎兵になれるかどうかは、竜との相性次第という状態で、マルグリッドは最悪、アルバートを竜騎兵ではなく、騎士として出世させることも選択肢の一つとして考えていた。
だが幸いなことに、アルバートは竜に選ばれた。
王子を選んだのは、滅多に生まれないという紫色の竜であったが、色はどうあれ、選ばれたことに変わりはない。
そのことに安堵していたマルグリッドであったが、その紫色の竜は、どうも普通の竜とは違うという話を耳にするようになっていた。
紫色の滑らかな鱗を持ち、大きな黒い瞳を持つその小さな竜はとても愛らしく、女官や侍従達にも人気があるらしい。
そしてアルバートはその竜を溺愛していた。朝から晩まで小さな竜と一緒に過ごし「ルー」という愛称を付けて呼んでいる。
竜騎兵達は自分のパートナーである竜を大層可愛がる話は聞いていた。王子が小さな竜を可愛がることはおかしくはない。
そんなに息子である王子が可愛がっている竜であるなら、そしてアルバート王子が将来命を預け合うであろうパートナーになる竜であるなら、マルグリッド妃が一度、直接会ってみたいと思うのも当然であった。
「ということで、兄様、お母様がルーシェに会いたいと言っているの」
またしても兄王子の部屋に遊びにやってきたマリアンヌ王女は、紫竜ルーシェを両手で抱き上げ、高い高いをしながらそう言った。
今、ルーシェは魔法の力で子猫ほどの大きさになっていた。マリアンヌ王女でもやすやすと抱き上げられる大きさである。
そして何度か高い高いをしているうちに、マリアンヌはポンとルーシェを空中に放り投げる。
するとルーシェは、翼をパッと広げて頭上から旋回するように飛んで、マリアンヌの足元に降り立った。
「飛ぶのが上手になったわね」
マリアンヌは大いに褒め、またルーシェを高い高いした後、今度は「エイヤ」と掛け声を挙げて、彼女はルーシェを放り投げる。
今度はルーシェはくるりと空中で一回転した後、翼を広げて空中で止まるようにして、それからまた旋回した。
広い王宮の居室であるからして出来ることではあるが、マリアンヌのそばにつく女官はいささか乱暴な姫の行為に目を剥いていた。
「すごいわ、ルーシェ」
「マリアンヌ、ルーを乱暴にしないでくれ」
「大丈夫よ。ルーシェは反射神経がいいもの。それにこれも良い訓練になるはずよ」
「……ルー、おいで」
そう王子が呼ぶと、小さな紫竜はアルバート王子のそばにまっしぐらに飛び、彼の胸に飛び込んで頭をすりつけてくる。
それにアルバート王子は目を和ませ、紫竜の頭を撫でていた。
「もう、ルーシェと遊んでいるのは私なのに」
「お前が乱暴にするからだ。ルーシェは玩具じゃないんだぞ」
「でも飛ぶ訓練には本当にいいと思うわよ。すぐに体勢を整えて、飛ぶことができるという感じでね。そうでしょう? バンナム卿」
そう話を向けられたバンナム卿は「私は竜騎兵ではありませんので、分かりかねます」と答えて、マリアンヌを少し膨らませていた。
「こういう時はレディたる私の味方をすべきよ、バンナム卿」
そしてマリアンヌはソファに座り、お茶の淹れられたティーカップを手に取った。
一口それを飲んだ後、先ほどの話を続けた。
「兄様が北方の竜騎兵団に行く前に、是非一度、お母様がルーシェに会いたいというお話よ」
「分かった。今度母上とお会いする際に連れていく」
「ルーシェはお母様の前では特別、大人しくいい子にしておくのよ」
そう言うマリアンヌ姫に、紫竜は不思議そうに頭を傾げていた。
だからマリアンヌ姫は説明するように言った。
「ルーシェが塔の中で竜巻を起こした話を聞いて、お母様付きの侍女や女官達が心配しているのよ。お母様の前でもそれをやったら危険だと」
「もうあんな魔法を暴走させるようなことはないだろう。それだからレネ先生に見てもらっているんだ」
「そうよね。飛ぶことだってこうしてマスターしているのだし、魔法の指導も順調なのでしょう?」
マリアンヌ姫の問いかけに、「ピルルル」と小さな竜は頷く。
順調だということだろう。
「あとは……北方へ行く前に、大きくなれるようになることね」
その言葉にルーシェは無言になる。
それが難問だったのである。
小さくなる魔法は、早くに出来るようになっていたが、未だに大きくなる魔法は上手くできない。
やはりそこで鍵となるのは、魔素の扱いだった。
魔素がうまく扱えない限り、成長して大きくなった姿をとることは出来ないのではないかと思っていた。
考え込んで元気を無くした様子のルーシェの頭に、アルバート王子は手をやって「大丈夫だ、ルー」と優しく撫でてくれた。
そして、アルバート王子の母親であるマルグリッド妃と対面する日になった。
アルバート王子が、マルグリッド妃のいる宮を訪ねていく。
颯爽と歩く少年王子の後ろには、いつものように護衛騎士バンナムが控え、そして王子の腕には小さな猫ほどの大きさになっている紫竜が抱かれていた。
マルグリッド妃のいる部屋に入ると、彼女はすぐに王子に向かって優しく微笑んだ。
「さぁ、いらっしゃい。その子が貴方の竜なのね」
マルグリッド妃は現在、二十代後半の妃だった。
豊かな黒髪に鳶色の瞳をしており、アルバート王子によく似た顔立ちをしている。
(アルバート王子も整った綺麗な顔立ちをしていると思ったけど、やはり親子。王子のお母さんもまた美人だな。お母さん似で良かったな)
とルーシェは勝手なことを思っている。
王子の父親である国王にはまだ会ったことがないので、とりあえずそう思っていた。
アルバート王子が席に着くと、すぐさま侍女がお茶の用意を始める。
その王子の膝の上に座る小さな竜を見て、マルグリッド妃は声をかける。
「名はルーシェというのでしょう? 本当に可愛らしい竜ね。マリアンヌがよく話している通りだわ。紫色の綺麗な鱗をしていて、それに、大きな黒い目がとても可愛らしい」
可愛らしさを褒められてルーシェが照れていると、マルグリッド妃は続けた。
「その小さな姿は魔法を使っていると聞いたわ。紫竜は“魔術の王”と呼ばれるほどの魔法上手な竜だとか。大きくなることも出来るのでしょう? 今度、アルバートを乗せている姿も見せて頂戴ね」
そうアルバート王子によく似た母親は優しく言ったのだった。
ルーシェはマルグリッド妃にとても歓待された。
恐らく事前にマリアンヌ王女から聞いていたのだろう。彼の好物の果物がたっぷり入ったケーキなども用意され、ルーシェがパクパクとそれを食べる様子を喜んで眺めていた。
別れ際には、マルグリッド妃はルーシェのためにと、たくさんのお菓子の詰められた籠まで持たせてくれた。
きっとルーシェのことを気に入ってくれたと思う。アルバート王子の母親であるマルグリッド妃との対面は成功したといえる。
だけど、王子の部屋に帰った後も、紫竜ルーシェは浮かない様子だった。
それには王子も気が付いていた。
「ルー」
名を呼んで、膝の上に抱き上げて、ぎゅっと抱きしめる。
そうすると、紫竜はいつも大喜びで、「ピルピルピルル」と鳴いてくれるのだ。
でも、その時の紫竜は「ピルルゥ」と声も元気が無い様子だった。
「大丈夫だよ、ルー」
王子が何を大丈夫だと言っているのか、ルーシェにも分かっている。
彼は、きっとルーシェが大きくなる魔法を完成させられると言っているのだ。
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きっと、大丈夫だと王子は小さな紫竜を励ますのだった。
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