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第十三章 失われたものを取り戻すために
第十八話 魔力を帯びし水(上)
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早速、ラウデシア王国へ向かおうという話になった。
すでにアレドリア王国の魔術師ルティがラウデシア王国へ向かっている。魔術師ルティは“消失”の状況を調べているだろうし、ハルヴェラ王国のリン王太子妃も向かっているはずだ。ようやくルーシェも三橋友親を連れてこれから合流することができる。
「友親、俺が竜に変わるから、王子と一緒に俺の背中に乗ってよ。ラウデシア王国へ連れていくからさ」
今こそ大きくて立派な(そしてカッコいい)紫色の竜になった姿を、友親に見せつけてやれる。こんな時なのにルーシェは嬉しそうな顔をしていた。そして竜になったルーシェは、高速で飛んでいけばラウデシア王国へ普通に馬車で旅するよりも早く到着できるだろう。
ニコニコしているルーシェに向かって、友親は尋ねた。
「ユキ、お前の背には俺とケイオスは乗せられるか」
ルーシェは大柄なケイオスの体を見つめた。
アルバート王子と友親とケイオスの三人を自分の背に乗せて飛ぶことは難しい。
「うーん。無理」
そうルーシェは答える。成竜になったとしても、ルーシェは小柄で、成人の人間は二人までが乗竜定員であった。
その答えに友親も困った顔をしている。
「俺はケイオスが一緒に行かないと厳しいんだ」
「ケイオスさんが友親の護衛だから? 大丈夫だよ。ケイオスさんがいない時は俺がしっかりと守るよ!!」
ルーシェが自信を持って、小さな拳でドンと胸を叩いてそう言うのだが、三歳児くらいの幼児姿のルーシェから自信を持って言われても信用が全くない。
友親は頭を振った。
「いや、護衛のことで言っているんじゃない。ケイオスは俺の食料だから」
「……………………………………え?」
「俺、吸血鬼になっただろう? ケイオスはさ、俺の食料なんだよね。ケイオスの血で俺は生きているんだ。こいつ以外の血を吸うのはケイオスが怒るし」
「…………………………」
ルーシェは無言になる。
そう言われてみれば、三橋友親は吸血鬼になったのであった。だから、友親は生きていくためには血が必要で、ケイオスはそのための食料であると言う。
しかし「俺の食料」と言われたケイオスは、友親の横で平然として座っていた。
伴侶兼食料。
ルーシェは何と言って良いのか分からなかった。
そして友親の横に座っているカルフィーが焦ったように口を開く。
「トモチカ、私は? 私は連れていかないのか? ケイオスだけしか要らないみたいなことを言うなよ!!」
「いや、事実、俺はケイオスだけでいいんだけど」
「私も連れていけよ!! まさか私を置いていくつもりなのか……」
カルフィーが不安いっぱいの眼差しで友親を見つめる。友親はケイオスと見つめ合い、「実際、カルフィーはいなくても困らないんだよな」と言うと、強い衝撃を受けたような顔をカルフィーはするのであった。それからカルフィーは焦った表情のままこう言った。
「友親の“魔素”を使って、“転移”魔法でラウデシア王国まで皆を連れていってやる!! 私は“転移”魔法も使えるんだからな!!」
その言葉に、友親は冷ややかな視線を向けた。
「俺の中の“魔素”は、竜騎兵団や北方地方を“消失”の現象から回復させるために必要だから、減らすことは出来ないだろう」
「あの地下の水場で、“魔素”を割り増ししてからやるんだよ」
カルフィーの言葉に、ルーシェと友親は驚く。
その驚く様子に、気を良くしながらカルフィーは説明を続けた。
「友親を浸していたあの地下の水場の水は、魔力を帯びた湧き水なんだ。空気中の“魔素”を集めるよりも遥かに高濃度の魔力を手に入れられるはずだ」
友親の身を転換する時にも、魔力が必要であった。その身に溜まる魔力が強ければ強いほど、完成された力の強い吸血鬼になる。愛しい友親のため、カルフィーはあの地下の水場を見つけてから、水場に友親を浸して強い吸血鬼にしてやろうと考えていた。だが、カルフィーの計算違いは、予想していたよりも遥かに強い、そう、カルフィーよりも力の強い吸血鬼に友親がなってしまったことだった。吸血鬼の中では、その力の強さにより階級が存在する。友親は自身の“魔素”を貯めるという能力と、地下の水場で魔力を帯びた水に浸り続けていたことから、相当高位の吸血鬼になっていた。
友親は「それならそうするか」とあっさりと受け入れて言った。
ルーシェは出来るだけ早く、“消失”から竜騎兵団や北方地方の大地を取り戻したいはずだ。カルフィーが“転移”魔法で移動させられるというのなら、そうしてもらうことが一番良いはずだった。
すでにアレドリア王国の魔術師ルティがラウデシア王国へ向かっている。魔術師ルティは“消失”の状況を調べているだろうし、ハルヴェラ王国のリン王太子妃も向かっているはずだ。ようやくルーシェも三橋友親を連れてこれから合流することができる。
「友親、俺が竜に変わるから、王子と一緒に俺の背中に乗ってよ。ラウデシア王国へ連れていくからさ」
今こそ大きくて立派な(そしてカッコいい)紫色の竜になった姿を、友親に見せつけてやれる。こんな時なのにルーシェは嬉しそうな顔をしていた。そして竜になったルーシェは、高速で飛んでいけばラウデシア王国へ普通に馬車で旅するよりも早く到着できるだろう。
ニコニコしているルーシェに向かって、友親は尋ねた。
「ユキ、お前の背には俺とケイオスは乗せられるか」
ルーシェは大柄なケイオスの体を見つめた。
アルバート王子と友親とケイオスの三人を自分の背に乗せて飛ぶことは難しい。
「うーん。無理」
そうルーシェは答える。成竜になったとしても、ルーシェは小柄で、成人の人間は二人までが乗竜定員であった。
その答えに友親も困った顔をしている。
「俺はケイオスが一緒に行かないと厳しいんだ」
「ケイオスさんが友親の護衛だから? 大丈夫だよ。ケイオスさんがいない時は俺がしっかりと守るよ!!」
ルーシェが自信を持って、小さな拳でドンと胸を叩いてそう言うのだが、三歳児くらいの幼児姿のルーシェから自信を持って言われても信用が全くない。
友親は頭を振った。
「いや、護衛のことで言っているんじゃない。ケイオスは俺の食料だから」
「……………………………………え?」
「俺、吸血鬼になっただろう? ケイオスはさ、俺の食料なんだよね。ケイオスの血で俺は生きているんだ。こいつ以外の血を吸うのはケイオスが怒るし」
「…………………………」
ルーシェは無言になる。
そう言われてみれば、三橋友親は吸血鬼になったのであった。だから、友親は生きていくためには血が必要で、ケイオスはそのための食料であると言う。
しかし「俺の食料」と言われたケイオスは、友親の横で平然として座っていた。
伴侶兼食料。
ルーシェは何と言って良いのか分からなかった。
そして友親の横に座っているカルフィーが焦ったように口を開く。
「トモチカ、私は? 私は連れていかないのか? ケイオスだけしか要らないみたいなことを言うなよ!!」
「いや、事実、俺はケイオスだけでいいんだけど」
「私も連れていけよ!! まさか私を置いていくつもりなのか……」
カルフィーが不安いっぱいの眼差しで友親を見つめる。友親はケイオスと見つめ合い、「実際、カルフィーはいなくても困らないんだよな」と言うと、強い衝撃を受けたような顔をカルフィーはするのであった。それからカルフィーは焦った表情のままこう言った。
「友親の“魔素”を使って、“転移”魔法でラウデシア王国まで皆を連れていってやる!! 私は“転移”魔法も使えるんだからな!!」
その言葉に、友親は冷ややかな視線を向けた。
「俺の中の“魔素”は、竜騎兵団や北方地方を“消失”の現象から回復させるために必要だから、減らすことは出来ないだろう」
「あの地下の水場で、“魔素”を割り増ししてからやるんだよ」
カルフィーの言葉に、ルーシェと友親は驚く。
その驚く様子に、気を良くしながらカルフィーは説明を続けた。
「友親を浸していたあの地下の水場の水は、魔力を帯びた湧き水なんだ。空気中の“魔素”を集めるよりも遥かに高濃度の魔力を手に入れられるはずだ」
友親の身を転換する時にも、魔力が必要であった。その身に溜まる魔力が強ければ強いほど、完成された力の強い吸血鬼になる。愛しい友親のため、カルフィーはあの地下の水場を見つけてから、水場に友親を浸して強い吸血鬼にしてやろうと考えていた。だが、カルフィーの計算違いは、予想していたよりも遥かに強い、そう、カルフィーよりも力の強い吸血鬼に友親がなってしまったことだった。吸血鬼の中では、その力の強さにより階級が存在する。友親は自身の“魔素”を貯めるという能力と、地下の水場で魔力を帯びた水に浸り続けていたことから、相当高位の吸血鬼になっていた。
友親は「それならそうするか」とあっさりと受け入れて言った。
ルーシェは出来るだけ早く、“消失”から竜騎兵団や北方地方の大地を取り戻したいはずだ。カルフィーが“転移”魔法で移動させられるというのなら、そうしてもらうことが一番良いはずだった。
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