転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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外伝 はじまりの物語  第一章 召喚された少年達と勇者の試練

第三話 試練への出立

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 アルダンテ王国のラーマ王女は、勇者鈴木が試練の旅へ赴いている間、彼の友人達を城で預かると述べた。
 勇者の旅に、何の力もない一般人は旅が過酷過ぎてついていけないだろうと言った。
 青陵学園の鈴木以外の三名はすぐさまその申し出に頷いていた。まぁ、青陵学園側の巻き込まれた生徒達は、女子生徒二名にガリ勉みたいな体力の無さそうな少年だったから、王女の申し出は本人達にとって願ったり叶ったりだったのだろう。
 青陵学園は都内屈指の進学校。巻き込まれた生徒達を含め、皆どこか賢そうな雰囲気があった。
 だが、沢谷雪也は勇者鈴木の旅について行くと言って、友親を驚かせていた。

「おいおいおいおい、ユキ、なんでついて行くって言うんだよ。ここは安全なお城の中で、ぬくぬくと勇者様の帰還を待つのがいいだろう!!」

 そう雪也の袖を引く三橋友親に、雪也は言った。

「勇者鈴木の食事が心配だ。あいつ、こちらの世界に来てからあんまり食べてないぞ」

「…………………は?」

 勇者鈴木だけではない。こちらの食事は、脂っこくて野菜は少なく、おまけに味が濃い。ナマモノを口にすると覿面腹を下すし、水もなんかヤバい感じがする。とにかく、食事が合わない。
 こちらに来てからみんな、食事は控えめになっている。
 なんと雪也は、城の台所へ出入りすることを許してもらい、自分の分の食事を作っていた。
 それを知った他の生徒達も、雪也に彼の作った食事を分けてくれと言ったので、彼は給食のおばさんのように、生徒皆の分も含めて日々の食事を作っている状況だった。

「一人で行くと可哀想だ。食事の世話くらい、俺がしてやりたい」

「え、じゃあ、ユキ、俺のご飯は?」

 異世界へ来てから、いつも雪也の作る食事の御相伴に預かっていた友親と、委員長の石野は文字通り顔色を変えていた。

「俺は勇者鈴木のご飯を作ってあげようと思うから、お前達、城に残るなら自分達でどうにかしろ」

「待て待て待て、ユキ、危険な旅なんだぞ。勇者についていくとかやめろ」

「食中毒になって、鈴木が倒れたら元の世界に戻れないんだぞ。危険でもついていくべきだろう!!」

「「…………」」

 友親と石野は両腕を組み、しばらくの間、眉根を寄せて考え込んだ後、ため息をついて言った。

「仕方ないな。俺もついていってやるよ」

「そうね、私もついていってあげるわ」

「お前達、俺の飯が食べられなくなるからそう言っているだけだろう!!」

 雪也がそう言うと、二人とも笑いながら頷いていた。

「それに、勇者の他にも護衛の騎士達がたくさんついて行くらしいから大丈夫」

「そうそう、大丈夫だよ」

 こうして、沢谷雪也と三橋友親、委員長石野凛が勇者鈴木の旅についていくと言うと、城の者達は「危険です」「おやめになった方がよろしいです」と何度も引き止めてきたけれど、きちんと理由を言ってなんとか理解してもらえた。最後まで王女ラーマは引き留めていたが、雪也が頑として「鈴木についていく」と言って聞かないと分かると諦めたようだった。
 勇者の鈴木から「どうしてついて来るんだ?」と聞かれた時、雪也が率直に「お前が旅の最中、お腹を壊して試練を果たせないと困るからな!!」とあっけらかんと言うと、鈴木は返す言葉を失っていた。

 でも鈴木は、雪也達がついていくことに、最初驚いていたけれど、後で彼に聞いてみたら、一緒について来てくれたことが嬉しかったと述べていた。

 考えてみれば、彼は勇者といっても、同じ年齢の高校生。
 異世界での危険な旅に、彼一人で行けというのも、やはり酷なことであった。


 勇者鈴木に付きそう騎士達は、七名ほどいた。いずれも手練れの騎士らしい。
 その他に、第一王女のコリーヌと第三王女のシーラが加わると聞いて驚いた。
 ちなみにいつも勇者の鈴木に付きまとっていたラーマ王女は二番目の王女だという。ラーマ王女は勇者の試練の旅に同行しないらしい。
 第一王女コリーヌは、女騎士であり、自分は王女だからといって旅の足を引っ張ることはないと言っていた。流れる金の髪に碧眼の、胸の大きい二十代半ばの女性だった。なんとなくコリーヌ王女を見て、友親は緩んだ顔をしていた。

「女騎士、女騎士ときたよ、ユキ。興奮するな」

 確かに、コリーヌ王女の白銀の鎧姿は美しく凛々しく、目を惹く。
 そして同行する第三王女シーラは、盲目だった。両眼に白い布を巻いて現れた彼女は、コリーヌに手を引かれていた。
 シーラ王女は七歳の幼い少女だった。こんな盲目の小さい子まで旅に同行するのかと驚くと、ラーマ王女はこう言った。

「彼女は目が見えませんが、非常に勘が良いのです。お連れするときっとお役に立つでしょう」
 
 そう城に残るラーマ王女は言って、二人の王女と勇者一行を送り出したのだった。

 いよいよ都を出る時には、王宮からの依頼を受けたという冒険者ギルドの魔術師二人と剣士が二人、旅に加わった。
 従者などを含めると、総勢二十名近い人数で、勇者の旅は始まったのだった。
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