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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です 第九章 蝶の夢(上)
第十六話 提案(下)
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息子ルドガーの提案に、ユーリスの胸に抱かれていた小さな黄金竜は「キュッ?(なんだ?)」と可愛らしく首を傾げている。
自分の父親であるその小さな黄金竜を見つめながら、ルドガー王子は淡々と話した。
「僕はプトレイセン王国を見張らなければなりません。あそこより先の領域は、ウェイズリーの力の範囲外でしょう。当然、僕もそうです。何か起きて、僕がプトレイセン王国へ行くとなれば、ユーリスやこの国を守るのは難しくなる。だから、ウェイズリー、貴方がシルヴェスターと“融合”している間、ユーリスを守るために自分の力を分けて、それを行うことは出来ないでしょうか」
その提案に、小さな黄金竜は両手を叩いた。
「キュルキュルキュイキュイキュルルルル!! キュルキュルーキュイ(お主、頭が良いではないか!! まぁ、私の息子だから当然ではあるな。そうだな、私の力を分けて、ユーリスの守りに回そう)」
「そんなことが出来るんですか」
驚くユーリスに、黄金竜ウェイズリーは自信満々に頷いていた。
「キュルル!! キュイキュイ!!(当然だ!! 私は黄金竜だぞ!!)」
そう言って、黄金竜ウェイズリーはユーリスの胸に小さな頭を擦り付けて、自分の番である青年を愛し気に見つめた。
「キュルキュルキュルルルゥキュイキュルルル(大丈夫だ、ユーリス。安心しろ。私とシルヴェスターが“融合”している間も、お前の身は必ず守る)」
そして黄金竜ウェイズリーはユーリスの頬をペロリと舐めたのだった。
黄金竜ウェイズリーの話だと、シルヴェスターとの“融合”はせいぜい三日ほどで終わるという。
そして三日経てば、意識を取り戻したシルヴェスターと黄金竜ウェイズリーは、二つの精神が“融合”して、今のように二体それぞれが会話をすることなど無くなる。
そのことをユーリスは寂しく思う。
「私は、今のままでも良いのだけど」
「キュルーキュイキュイキュルルルルゥ(……それが、ユーリス、お前のためでもある。シルヴェスターは随分と、悔いているぞ)」
黄金竜ウェイズリーの言葉に、ユーリスは顔を上げる。
「どうしてですか」
「キュキュキュルルルキュイキュルルルキュキュキュルルゥ(自分勝手に、自分の欲望のまま、お前の意見も聞かずに、お前を閉じ込めて、お前に子を産ませようとした。シルヴェスターは、お前にひどく嫌われてしまったのではないかと案じている)」
というか、シルヴェスターに黄金竜ウェイズリーが、口が酸っぱくなるほど言い聞かせたのだ。
あんな風に、番を大事にすることなく、閉じ込めて、ずっと交尾を続けるなんて、絶対にユーリスはお前が嫌いになっているぞ!! これ以上嫌われたくなかったら、ちゃんとするんだ!!
そう何度も耳が痛くなるほど黄金竜ウェイズリーから言われたシルヴェスターは、反省して、政務の時以外、ユーリスの前に姿を現わさなくなっていた。
それを聞いたユーリスは、黄金竜ウェイズリーに頼んだ。
「ヴィーに代わって下さい」
「キュッ」
「私は、シルヴェスターと話をしなければなりません。ウェイズリー、お願いです」
そう言われて、ウェイズリーは頷いた。
次の瞬間、ユーリスの目の前には、小さな黄金竜から姿を変えた、青年姿のシルヴェスターが現れる。
彼が現れると同時に、ユーリスはシルヴェスターの背に手を回し、強く抱きしめた。
身を強張らせるシルヴェスターの身体をなおも強く抱きしめる。そして彼の耳元で囁く。
「私は、どんな時だってずっとあなたのそばにいます。ずっと、ずっと。愛していますよ、ヴィー」
そう言われたシルヴェスターは、一度目を伏せ、息をついた後、おずおずと言った。
「…………私もお前を愛している。お前が愛しすぎて、おかしくなるくらい」
その言葉に、ユーリスは声を上げて笑った。そしてひとしきり笑い終えた後、またシルヴェスターの唇に優しく口づけた。
「私もあなたが好きすぎて、あなたが私に何をしようと許してしまう」
「………………その、……すまなかった」
居室に閉じ込め、散々その身を貪り続けたあの一件について、シルヴェスターが謝罪すると、ユーリスは「分かっています」と答えた。それで、この件は一件落着だと言うユーリスに、シルヴェスターの中の黄金竜ウェイズリーが「そんな簡単に許すのか!? ユーリス、お前は甘すぎる!!」と喚き立てる。
そう喚き立てる小さな黄金竜ウェイズリーも、シルヴェスターも、ユーリスは愛していた。だから、これ以上シルヴェスターを責める気にはならなかったのだ。自分でも甘いと思うが、それもまた、彼らを愛しているが故に、仕方のないことだった。
自分の父親であるその小さな黄金竜を見つめながら、ルドガー王子は淡々と話した。
「僕はプトレイセン王国を見張らなければなりません。あそこより先の領域は、ウェイズリーの力の範囲外でしょう。当然、僕もそうです。何か起きて、僕がプトレイセン王国へ行くとなれば、ユーリスやこの国を守るのは難しくなる。だから、ウェイズリー、貴方がシルヴェスターと“融合”している間、ユーリスを守るために自分の力を分けて、それを行うことは出来ないでしょうか」
その提案に、小さな黄金竜は両手を叩いた。
「キュルキュルキュイキュイキュルルルル!! キュルキュルーキュイ(お主、頭が良いではないか!! まぁ、私の息子だから当然ではあるな。そうだな、私の力を分けて、ユーリスの守りに回そう)」
「そんなことが出来るんですか」
驚くユーリスに、黄金竜ウェイズリーは自信満々に頷いていた。
「キュルル!! キュイキュイ!!(当然だ!! 私は黄金竜だぞ!!)」
そう言って、黄金竜ウェイズリーはユーリスの胸に小さな頭を擦り付けて、自分の番である青年を愛し気に見つめた。
「キュルキュルキュルルルゥキュイキュルルル(大丈夫だ、ユーリス。安心しろ。私とシルヴェスターが“融合”している間も、お前の身は必ず守る)」
そして黄金竜ウェイズリーはユーリスの頬をペロリと舐めたのだった。
黄金竜ウェイズリーの話だと、シルヴェスターとの“融合”はせいぜい三日ほどで終わるという。
そして三日経てば、意識を取り戻したシルヴェスターと黄金竜ウェイズリーは、二つの精神が“融合”して、今のように二体それぞれが会話をすることなど無くなる。
そのことをユーリスは寂しく思う。
「私は、今のままでも良いのだけど」
「キュルーキュイキュイキュルルルルゥ(……それが、ユーリス、お前のためでもある。シルヴェスターは随分と、悔いているぞ)」
黄金竜ウェイズリーの言葉に、ユーリスは顔を上げる。
「どうしてですか」
「キュキュキュルルルキュイキュルルルキュキュキュルルゥ(自分勝手に、自分の欲望のまま、お前の意見も聞かずに、お前を閉じ込めて、お前に子を産ませようとした。シルヴェスターは、お前にひどく嫌われてしまったのではないかと案じている)」
というか、シルヴェスターに黄金竜ウェイズリーが、口が酸っぱくなるほど言い聞かせたのだ。
あんな風に、番を大事にすることなく、閉じ込めて、ずっと交尾を続けるなんて、絶対にユーリスはお前が嫌いになっているぞ!! これ以上嫌われたくなかったら、ちゃんとするんだ!!
そう何度も耳が痛くなるほど黄金竜ウェイズリーから言われたシルヴェスターは、反省して、政務の時以外、ユーリスの前に姿を現わさなくなっていた。
それを聞いたユーリスは、黄金竜ウェイズリーに頼んだ。
「ヴィーに代わって下さい」
「キュッ」
「私は、シルヴェスターと話をしなければなりません。ウェイズリー、お願いです」
そう言われて、ウェイズリーは頷いた。
次の瞬間、ユーリスの目の前には、小さな黄金竜から姿を変えた、青年姿のシルヴェスターが現れる。
彼が現れると同時に、ユーリスはシルヴェスターの背に手を回し、強く抱きしめた。
身を強張らせるシルヴェスターの身体をなおも強く抱きしめる。そして彼の耳元で囁く。
「私は、どんな時だってずっとあなたのそばにいます。ずっと、ずっと。愛していますよ、ヴィー」
そう言われたシルヴェスターは、一度目を伏せ、息をついた後、おずおずと言った。
「…………私もお前を愛している。お前が愛しすぎて、おかしくなるくらい」
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「………………その、……すまなかった」
居室に閉じ込め、散々その身を貪り続けたあの一件について、シルヴェスターが謝罪すると、ユーリスは「分かっています」と答えた。それで、この件は一件落着だと言うユーリスに、シルヴェスターの中の黄金竜ウェイズリーが「そんな簡単に許すのか!? ユーリス、お前は甘すぎる!!」と喚き立てる。
そう喚き立てる小さな黄金竜ウェイズリーも、シルヴェスターも、ユーリスは愛していた。だから、これ以上シルヴェスターを責める気にはならなかったのだ。自分でも甘いと思うが、それもまた、彼らを愛しているが故に、仕方のないことだった。
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