転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です  第九章 蝶の夢(上)

第二十一話 眠り続ける(上)

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 シルヴェスターが、ゴルティニア王国の王の座に復帰し、彼は以前と変わらぬように政務に励み出した。シルヴェスターの傍らには、白銀竜エリザヴェータとコンラートが控え、シルヴェスターのために働き始める。ただ、二人は竜であり、もっぱら強引ともいえる力仕事は出来たが、人々の間で調整するような仕事には向いておらず、過去、人の間で働くという経験もしたことがなかった。
 そのため、シルヴェスターのそばに控えてはいるが、二人はまるでシルヴェスターの召使のようにお茶を淹れたり、簡単な仕事程度しか出来なかった。
 それでもゴルティニア王国の官僚達は優秀であったし、シルヴェスターの仕事を助ける貴族会議もあったため、取り合えずは滞りなく国は動いていく。

 その様子を見て、シルヴェスター国王の息子であるルドガーは、内心、白銀竜達を城の中に入れたとしても大きな問題は起きていないことに、当初は安堵していた。

 ルドガーは、白銀竜コンラートから、祖父であるジャクセンを生き返らせることの代償として、自分達がシルヴェスター国王の側に仕えることを求めた。

「白銀竜は黄金竜のために生まれた生き物なんだ。だから、僕と姉さんがシルヴェスター国王陛下のおそばにいることは、当然の事なんだ」

 コンラートは、ルドガーに向かってそんなことを言う。

「僕も黄金竜だけど。お前達は僕に仕えようとはしないのだね」

 皮肉も含ませてそんなことをルドガーが口にすると、コンラートはルドガーの手をそっと取って優しく握りしめる。微笑みを浮かべて言う。

「姉さんはシルヴェスター国王陛下にお仕えする。僕は君に仕えるよ。今までだって、僕は君のために力を貸してきた。そうだろう?」

 確かに、白銀竜コンラートは、出会った時からルドガーになにかと力を貸してくれた。
 祖父ジャクセンが死んでしまった時も、彼の支えが随分とルドガーの立ち直る力になった。今だって、コンラートの巣に、ジャクセンの遺体は安置されている。生き返るその時まで、コンラートはルドガーを助けてくれるだろう。

「シルヴェスターに仕えてどうするんだ」

「僕と姉さんの夢だったんだ。黄金竜である方のおそばに置いてもらうことは。一月ほどの間でいい。ユーリスをシルヴェスター国王陛下から離して欲しい」

 そんなことを言われたから、ルドガーは、ユーリスを眠らせてシルヴェスターのそばから離し、シルヴェスターの居室に白銀竜の姉弟を招き入れた。

 目覚めて部屋から再び現れたシルヴェスターは、番のユーリスの存在をすっかり忘れていた。そして、白銀竜達を「親愛なる友であり、誰よりも忠実な部下」だと王城の人々に紹介した。不思議なことに、王城の人々の多くが、シルヴェスターの言葉を盲目的に受け入れた。

 シルヴェスターも王城の人間達もおかしい。おかしくなっている。
 それが白銀竜の魔法、精神支配によるものだろうとルドガーは察していた。
 だが、精神支配も完璧ではないようで、王城の中にいる者達の何人かは、「陛下も皆もおかしいのではないか。ユーリス殿下はどちらにいらっしゃるのだ」と顔色を変えて、城の者に詰め寄った瞬間、その者の胸を、“白銀の芽”が貫いたのをルドガーは見た。
 キラキラと輝く銀色の、先端をくるりと巻いたゼンマイの形のような、白銀竜の魔法の力。何もない空間から突然現れて牙を剥いたそれ。
 まるでそれは、黄金竜の持つ“金色の芽”の色違いのもののように見えた。

 胸を大きく貫かれ、一瞬で絶命したその者は、城の人々によって運ばれ、葬られる。突然、胸を貫かれて死んだ者の存在を、周囲の人々は別段おかしなことだと思ってもいないようで、顔色も変えずに平然と“処理”していく。

 その様子を見たルドガーは、顔を強張らせながら、コンラートに尋ねた。

「皆に、何をしたんだ」

 コンラートは答えた。

「王城の中にいる人間達はすべて、僕と姉さんの精神支配を受けているのだけど、稀にその支配から逃れる人間がいるんだよね。シルヴェスター国王陛下がおかしいとか、ユーリスがシルヴェスター国王陛下の伴侶であったことを話したり、僕達の話とつじつまが合わない過去の話を口にしたら、始末することにしている。王城の中にいる者達全員に、僕と姉さんは“白銀の芽”をつけている」

 信じられないような眼差しで、ルドガーはコンラートを見つめる。

「そこまですることはないだろう!!」

「大丈夫だよ、ルドガー。もう城の中で、そんなことを不用意に口にする者はいなくなったと思う。君は本当に優しいんだね。人間如き庇う必要はない。それに、君がどうしても死なせたくない人間がいるなら、城から連れ出しておいた方がいいかな」

 コンラートはニッコリと笑った。

「その方が、君も安心できるよね」





 だからルドガーは、自分が眠らせたユーリスと、そしてユーリスと王城の中のユーリスの直属の部下達数名を、王城から連れ出した。
 王城から離れた場所に連れていくと、白銀竜エリザヴェータとコンラートの魔法の支配から逃れることが出来た。強い効力を持つだけあって、二人の魔法は王城の中に限定されているようだった。

 ルドガーがユーリスと、ユーリスの部下達を連れていった先は、ゴルティニア王国の空を漂う空中城だった。
 それは、黄金竜ウェイズリーが番のユーリスのために作った“巣”。その場所が、ユーリス達の避難場所になったのだった。
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