44 / 96
第44話 ジャンプ
しおりを挟む
恒常的に地下三階に通じるエレベーターは二つ。
一つは関係者用で、降りてきた5人はこれを使っている。
そしてもう一つはVIP用。
要は患者を運ぶための物だ。
まあそれ以外のエレベーターも緊急時用に繋がってはいる様だが、通常はロックされているので、俺の様に吹っ飛ばして下にでも降りない限りそれを使っての昇降は出来ない。
「このエレベーターを一旦降りて、乗り換えなきゃならない訳か」
今乗っているのは関係者用の物で、どうやらそれからでは直接医院長のいる場所には行けない様だった。
エレベーターが6階で止まり、扉が開くと――
「出迎えご苦労さん」
作業着姿の男5人が出待ちしていた。
その手には拳銃が握られており、その銃口は当然の様に俺に向けられている。
こうやって盛大に出迎えられたのは、地下三階に行った人間から連絡がない状態でエレベーターが上がって来たからだろう。
まあもしくは……地下三階には無かった監視カメラが、職員用のエレベーターにはついていたか、である。
まあどっちでもいいが。
「テメェ……何もんだ」
手前の男が質問して来るが、それを無視して俺は動いた。
普通の人間じゃ俺の動きを捉える事も出来ないので、全員の両腕を一瞬でへし折ってやる。
「ぎゃあ!」
「がぁぁぁ……」
「あぐぅぅぅ……」
「後で答えてやるから今は寝とけ」
そして魔法で眠らせ、そいつらを全員亜空間へと放り込んだ。
因みに、魔法はもう隠す気はない。
この世界に普通に存在している物だからだ。
……映像に残らなくても、魔法を使える奴なら痕跡ですぐに気づくだろうし。
なので隠す意味は薄い。
まあ重要なのは誰が使ったのかって点なので、そこにだけ気をつけて追跡出来ない様にしておけば問題ないだろう。
「これで7人……後2人か」
ここで5人。
地下で2人。
常駐している裏の保安要員は全部で9人らしいので、残りは2人だ。
後ろ暗い事をしているだけあって、無駄に警備の数が多い。
因みに最初の看護師三人は銃を持ってこそいたが、純粋なここの職員だそうだ。
チラリと連れて来た男の方に視線をやると――
「……」
まるで魂の抜けた様な顔をしていた。
きっと上の連中が俺をどうにかしてくれると、一縷の望みでもかけていたのだろう。
残念だったな。
「おい、ぼーっとするな?さっさと案内しろ。それとも……拷問のお代わりがいいか?」
「ひ、ひぃぃぃぃ……い、医院長は……この上の7階です!」
男が通路の奥を指さす。
奥は曲がり角になっていて、そこを道なりに進んだらエレベーターがあるのだろう。
そう思って歩き出そうとして――
「まあ一つ上なら、別にエレベーター使わなくてもいいよな」
――やっぱりやめる。
今更静かに進む意味も薄いしな……
「よっと」
「ひえぇっ!?」
俺は男の襟首を掴み、そのままジャンプする。
天井を突き破って上の階に乗り込むために。
そのさい、一応男は死なない様にカバーしておいた。
……コイツには、医院長の確認をさせないといけないからな。
ま、死んでも3秒ルール宜しく生き返らせばいいだけだけど。
死んで3分以内なら、俺の回復魔法でリスク無く蘇生できるし。
一つは関係者用で、降りてきた5人はこれを使っている。
そしてもう一つはVIP用。
要は患者を運ぶための物だ。
まあそれ以外のエレベーターも緊急時用に繋がってはいる様だが、通常はロックされているので、俺の様に吹っ飛ばして下にでも降りない限りそれを使っての昇降は出来ない。
「このエレベーターを一旦降りて、乗り換えなきゃならない訳か」
今乗っているのは関係者用の物で、どうやらそれからでは直接医院長のいる場所には行けない様だった。
エレベーターが6階で止まり、扉が開くと――
「出迎えご苦労さん」
作業着姿の男5人が出待ちしていた。
その手には拳銃が握られており、その銃口は当然の様に俺に向けられている。
こうやって盛大に出迎えられたのは、地下三階に行った人間から連絡がない状態でエレベーターが上がって来たからだろう。
まあもしくは……地下三階には無かった監視カメラが、職員用のエレベーターにはついていたか、である。
まあどっちでもいいが。
「テメェ……何もんだ」
手前の男が質問して来るが、それを無視して俺は動いた。
普通の人間じゃ俺の動きを捉える事も出来ないので、全員の両腕を一瞬でへし折ってやる。
「ぎゃあ!」
「がぁぁぁ……」
「あぐぅぅぅ……」
「後で答えてやるから今は寝とけ」
そして魔法で眠らせ、そいつらを全員亜空間へと放り込んだ。
因みに、魔法はもう隠す気はない。
この世界に普通に存在している物だからだ。
……映像に残らなくても、魔法を使える奴なら痕跡ですぐに気づくだろうし。
なので隠す意味は薄い。
まあ重要なのは誰が使ったのかって点なので、そこにだけ気をつけて追跡出来ない様にしておけば問題ないだろう。
「これで7人……後2人か」
ここで5人。
地下で2人。
常駐している裏の保安要員は全部で9人らしいので、残りは2人だ。
後ろ暗い事をしているだけあって、無駄に警備の数が多い。
因みに最初の看護師三人は銃を持ってこそいたが、純粋なここの職員だそうだ。
チラリと連れて来た男の方に視線をやると――
「……」
まるで魂の抜けた様な顔をしていた。
きっと上の連中が俺をどうにかしてくれると、一縷の望みでもかけていたのだろう。
残念だったな。
「おい、ぼーっとするな?さっさと案内しろ。それとも……拷問のお代わりがいいか?」
「ひ、ひぃぃぃぃ……い、医院長は……この上の7階です!」
男が通路の奥を指さす。
奥は曲がり角になっていて、そこを道なりに進んだらエレベーターがあるのだろう。
そう思って歩き出そうとして――
「まあ一つ上なら、別にエレベーター使わなくてもいいよな」
――やっぱりやめる。
今更静かに進む意味も薄いしな……
「よっと」
「ひえぇっ!?」
俺は男の襟首を掴み、そのままジャンプする。
天井を突き破って上の階に乗り込むために。
そのさい、一応男は死なない様にカバーしておいた。
……コイツには、医院長の確認をさせないといけないからな。
ま、死んでも3秒ルール宜しく生き返らせばいいだけだけど。
死んで3分以内なら、俺の回復魔法でリスク無く蘇生できるし。
496
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる