異世界召喚で適正村人の俺はゴミとしてドラゴンの餌に~だが職業はゴミだが固有スキルは最強だった。スキル永久コンボでずっと俺のターンだ~

榊与一

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第27話 女神の天秤

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「今日から世話になるバーンです。宜しくお願いします」

ギルド女神の天秤。
そのホームはレンタン南部にある大きな屋敷だった。
豪邸と言っていいレベルだ。

「ようこそ、女神の天秤へ。あなた方を歓迎致します」

整った顔立ちの金髪碧眼。
桜色のドレスを着た、いかにもなお嬢様がにっこりと微笑む。
彼女の名はアイシャ・ベルベット。
年齢はまだ10代後半位に見えるが、彼女が女神の天秤のリーダーだ。

「よろしくお願いします。このちっこいのは俺の弟子のリーンです」

「よ、よろ、よろしく。おね、おねがいします!」

緊張しているのか、リーンが挙動不審気味に挨拶する。
彼女は俺の弟子という事で、正式ではないが一応ギルド員扱いとして迎え入れて貰える事になっていた。

元の世界に帰ろうとしている身なので、いずれリーンとは袂を分かつ事になる。
環境が良い様なら、彼女の事をこのギルドに預ける前提で動こうかと俺は考えていた。
今は非力なガキでしかないが、永久コンボと状態異常無効辺りを習得すれば確実にギルドの戦力にはなれる筈だ。

「しっかし、大きな屋敷ですね。ギルドってこんな感じなんですか?」

まあたぶん違うだろうなと思いつつ、聞いてみた。
どう見てもリーダー――アイシャさんが富裕層の娯楽で作った拠点にしか見えない。

「はっはっは、そんな訳ないだろ。他は豚小屋みたいなもんさ」

ライラさんが楽しげに笑う。
他所のギルドを豚小屋呼ばわりするのはどうなんだろうか?
まあ本当に豚小屋みたいな可能背もあるが。

「アイシャは国の中枢に位置する貴族の娘で、ここはその別宅の一つよ」

テアがお焼き菓子の様な物ををむしゃむしゃ頬張りながら答えた。
お菓子の粕がポロポロ零れるが、その度に周囲のメイドさん達が素早くそれを片付ける。

何やってんだこの子は?

普通、メイドさんが汚す端から片付けてる姿を見たら遠慮しそうなもんだが……可憐な見た目に反し、彼女は思った以上に図太い性格をしている様だ。
まあ俺の事を脅してギルドに勧誘してる訳だから、別に今更ギャップは感じないけど。

しかし国の中枢か……まさか俺の事が伝わったりしないだろうな?
一応偽名を使ってるし、俺は死んだと思われてるだろうから大丈夫だとは思うけど。

「メンバーを紹介します。とは言え、ライラさんとテアの事はもうご存じでしょうから、今紹介できるのは一人だけになりますけど。彼女の名前はリーチェ。ハンターです」

リーチェと紹介された女性はエルフだった。
金髪碧眼、尖がり耳なので間違いないだろう。
サリーっぽい民族衣装を着ていて、年齢は20代後半位に見える。

まあエルフが俺の知るエルフなら、見た目では実年齢は分からないが。

「ハンターだ」

アイシャさんの言葉をなぞる様な、簡潔な自己紹介。
続きの言葉を少し待ったが、特にない様だった。

話すのが得意じゃないのかな?
もしくは新入りの俺を警戒しているとか?

「よろしくお願いします」

彼女は俺の言葉に小さく頷く。
取り敢えず無口キャラという事にしておこう。

「メンバーは他に5人いるのですが、今は依頼の方で出かけていますので追々紹介いたしましょう」

えらく少ないと思っていたが、メンバーは後5人いる様だ。
まあそれでも豪華な拠点に対して、数はかなり少ない気もするが。

「では、私は着替えてまいりますので。皆さんは先に中庭へどうぞ」

中庭?
歓迎パーティーでも開いてくれるのだろうか?

「腕が鳴るねぇ」

ライラさんが不敵な笑みを浮かべ、ぼきぼきと指を慣らす。
その瞬間、それが歓迎パーティーでない事を俺は察した。

「女神の天秤の恒例。新人歓迎腕試しよ。私は参加しないけど」

「えぇ……」

俺の嫌な予感を、テアがサクッと肯定してくれた。
まあこれから一緒に働くのだから、お互いの実力を確認するのは当然と言えば当然なのかもしれないが。

「Sランクモンスターの単独討伐は英雄級の偉業よ。ライラとアイシャは、昨日から貴方と手合わせするのを楽しみにしてたわ」

英雄級か……確かにバンシーの強さはヤバかった。
村人とは言え、レベル99の俺のフィジカルは他を圧倒するくらい高い。
にも拘らず、その俺の全力の斬撃ですら小さな傷しかつけられなかったのだ。
もし永久コンボや状態異常の完全耐性が無ければ、俺に勝ち目はなかっただろう。

「って!?アイシャさんも戦うの?」

サラリと流しそうになったが、今テアはアイシャさんが俺と手合わせするのを楽しみと言っていた。
どう見ても彼女は非戦闘員にしか見えないのだが。

「人は見かけによらないわ。彼女はギルド最強よ」

え?
マジデ?
あのお嬢さんがライラさん以上って事?

「さ、行きましょ」

驚く俺の事などお構いなしに、テアは玄関から屋敷を出て行く。
まあ嘘か本当かは直ぐに分かる事だ。
考えても仕方がないと思い、俺はリーンを連れて中庭へと向かう。
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