学園ランキング最強はチートで無双する~能力はゴミだが、異世界転生で得たチート能力で最強~

榊与一

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ネメシス

第76話 再会

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「やれやれ……少ない休みだってのに……」

ショッピングモールで起きた駐車場爆破の事情徴収のため、俺は2時間近く生徒会室に拘束されていた。
そのうち1時間50分は、荒木待ちの時間だ。
人を10時に呼び出していおいて、当の本人は正午10分前に現れるとか本当にふざけた話である。

「で、そいつらはどんな奴らじゃった?」

「仮面をかぶった奴と、化け物みたいな姿をした奴らだ」

「他には?襲われた心辺りは?」

「ない」

以上が奴との会話内容だ。
荒木真央なら魔法の事も知っていそうな気もしたが、話すのは止めておいた。
もし知らなかった場合、面倒くさい事になりそうだからな。

「さて、帰って訓練でも……ん?この気配は……」

知ってる気配に気づき、自然とそちらへと足を向けた。
校舎を出て、校庭に差し掛かった所でそいつと顔を合わせる。

「よう。もう大丈夫なのか」

「……」

フレンドリーに声をかけたら、凄く嫌そうに睨まれた。
昨日の敵は今日の友というが、奴には当てはまらなかった様だ。

「今日はマントつけてないんだな……てか、黒?」

よく見ると奴は黒い制服を身に着けていた。
確かこの色は、荒木真央の手下が身に着ける色だったはず。
まあ別にどうでもいいけど。

「いつもは糞うるさいのに。今日は随分と静かだな?」

「いい気になるなよ」

「ん?」

「俺に1度勝ったぐらいで、いい気になるなと言っている」

「いや、1度じゃなくて2度勝ってるんだけど?」

ひょっとして、薬でおかしくなった時の事は覚えていないのだろうか?
まあだったら1回と勘違いしてもおかしくはないか。

「そうだ四条。ちょっと軽く手合わせでもしないか?」

そう言って俺は訓練場の方を指さす。
薬を使っていた時ほどではないが、奴の身に纏うプラーナ量はかなり上がっていた。
きっと努力したに違いない。

どれぐらい強くなったか、俺がちょいと試してやるしよう。

「四条じゃない……」

「ん?なんだって?」

「俺はもう四条じゃない!」


??
何言ってんだこいつ?

「俺は四条家から絶縁されている。だからもう四条の名は名乗れない……」

「ああ……そうなんだ」

「ふん。笑いたければ笑うがいい」

笑う?
どこを?
別に笑う様な内容ではないと思うんだが、こういうのを自暴自棄っていうんだろうか?

「別に笑いやしねぇよ。お前が四条だろうがそうでなかろうが、俺にはどうでもいい事だしな」

「何?」

「俺が興味あるのは、お前の強さだけだ。それ以外なんて気にする事じゃねぇだろ」

王喜の奴が、驚いた様に目を見広げる。
その状態で少し固まっていたが――

「……ふ、いいだろう。相手になってやる」

「お、やる気になったか」

「だが、それは用事がすんでからだ」

四条――改め王喜は校舎の最上部を見つめる。
そこは生徒会室のある場所だ。

「荒木真央へのゴマすりが終わったら、戻ってきて相手をしてやろう。だが以前の俺と同じだと思うなよ」

「ゴマすりって。そこは四条の名前じゃなくなっても、変わんねーんだな」

王喜が生徒会長にへこへこしていたという話、以前少し氷部から聞いた事がある。
多少腕を上げても、その辺りは変わっていない様だ。

「ふん、なんとでもいえ。俺はあの女を利用して、必ず四条家に復帰して見せる」

「小さな女の子を利用するだなんて、ひでー奴だな」

「失敬な!向こうから持ち掛けてきた事だ!」

「へぇ……」

声をかけたって事は、荒木は王喜の事を利用する気なのだろう。
まあオツムはともかく、腕はそこそこ立つからな。

しかし――

「あいつは何考えてるか分からないから、気をつけろよ」

捨て駒。
鉄砲玉。
そんな言葉が頭に浮かぶ。
あの小さな女王様ならやりかねん。

別に王喜とはそこまで親しい間柄ではないが、2度拳を交えた相手だ。
一応忠告しておいてやる。

「貴様に言われなくとも分かっている。だが俺には……この道しかない」

「そうか」

家にこだわるのは、正直ナンセンスだと思っている。
まあ普通に家族の輪に戻りたいってんならともかく、こいつの場合は確実に違うだろうからな。

けどこだわりなんて人それぞれだ。
奴がそれを求めるのなら、それを否定するつもりはなかった。
そもそも俺だって強さ強さで、人に偉そうに講釈をたれれるほど立派な信条なんて持ち合わせてないしな。

「待たせると不味いから、俺はもう行く」

「じゃあまた後でな」

王喜は校舎に入っていく。
待っている間、学食で飯でも食うとしよう。
食い終わる頃には出て来るだろう。

だが結局、その日王喜と手合わせをする事はなかった。
屋上からヘリが飛び立ち、それに荒木達と一緒に乗って行ってしまったからだ。

ま、しょうがない。
奴との手合わせは、またの楽しみに取っておくとしよう。
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