スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一

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第20話 幸運の女神?

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「……」

天魔輪廻のクラスは、彼女の宣言通りヒーロークラスだった。

確かにそれは驚きな事だ。
ヒーロークラスは極々限られた選ばれた人間のみのクラスだから、てっきり嘘だとばかり思っていたから。

だが、俺が本当に驚いたのは――その所持しているスキルと魔法の数である。

レベル1で、なんでこんなにスキルと魔法があるんだ?

覚醒してクラスを得ても、シーカーはレベル10までスキルも魔法も習得できない。
それはノーマルクラスでもヒーロークラスでも変わらない。
例外があるとすればユニークスキルだけだ。
スキルブックなんかも、レベル10からじゃないと使えない様になっている。

なのにこの数……
この子は一体……

「おにーさん……今、鑑定したでしょ」

「はっ!?えっ!?」

どういう事だ?
見抜かれた?
鑑定した事を?

俺が昔アルマイヤさんに鑑定を受けた時、鑑定の発動に気づかなかったし、かけられた感覚なども皆無だった。
つまり、鑑定されてもバレる様な事はないのだ。

なのになぜばれた?
スキルにそれっぽい物は見当たらない。
ひょっとして、特殊な鑑定だからか?
通常の鑑定とは違って、幸運鑑定は相手にバレるのか?

「鑑定系のスキルは、使うと分かる人にはわかっちゃうんだよねぇ。だから、許可なく鑑定するのはやめといた方がいいよ。勝手に人の情報を盗む訳だし、攻撃と取られちゃうぞ」

分かる人には分かる?
どうやら、幸運鑑定に限らず、鑑定系のスキルを感知する何らかのすべがある様だ。

「ま、私は気にしないけどね。なにせ天才ですから。私を鑑定したなら、この意味わかるよね?」

「君は一体……」

「私の名は天魔輪廻。世界最高のシーカーになる女よ。覚えといて。じゃね」

唖然とする俺を残し、彼女はさっさとホールから通路へ入って行ってしまった。
普通のレベル1がここでソロ狩りなどしたら、下手したらあの世行きである。
だが、既にスキルと魔法を習得している彼女なら、何も問題ないのだろう。

「本当に何者なんだ?言葉通りの……天才なのか?」

レベル1で大量のスキルと魔法を覚えていたのも、天才ゆえだとでも言うのだろうか?
いや、天才とか言う問題なのか?
常識外だぞ。

「いや、そうか。常識外の存在……それが天才って奴なのかもしれないな」

簡単に凡人の知識や感覚で測れるなら、それは凄い人であっても、真の天才とは言えないのかもしれない。
そう俺は結論付ける。

「そういや彼女のスキルの中に【魔力】があったな。俺の【幸運】と同じような効果なら、冗談抜きで世界最高のシーカーになりそうだな。あの天魔輪廻って子」

天に愛された寵児。
それが羨ましく思えて仕方ない。

「【幸運】すげーとか思ってた自分が馬鹿らしくなっちまう」

【幸運】が凄い事は疑いようがない。
ないが、それでもやはり、あれほどの才能を見せつけられた後だと、どうしてもな……

「この後次のダンジョンに行くつもりだったけど……なんかテンション下がっちまったな。少し早いけど、今日はもう帰って休むか」

いじけててもしょうがない。
へこむのは今日だけにして、明日からは気合を入れなおして頑張るとしよう。

――その日の晩。

「は?」

テレビでニュースを見ていたら、殺人事件のニュースが流れた。
俺はそのニュースに、間抜けな声を出してしまった。

内容は、Eランクダンジョンにいたシーカーを、Cランクのシーカーが大量に殺したという物だ。
陰惨な大量殺人って奴な訳だが……問題はその場所である。

場所は家からそれ程遠くないダンジョンで。
しかもそこは――

俺がゴーレムダンジョンの次に行こうとしていた場所だった。

「もし今日狩りに言ってたら、俺も巻き込まれてたかもしれない……」

【幸運】があっても、しょせんまだ俺のレベルは20だ。
レベル50以上のシーカーに狙われたら、とても自分の身を守りきれたとは思えない。
そういう意味で、俺は九死に一生を得たと訳だ。

まあ遭遇しなかった可能性もあるが……
けど、万一出会ってたらと思うと、背筋が寒くなる思いだ。

「ひょっとして……あの子は俺の幸運の女神だったのか?」

もし天魔輪廻にあそこで出会ってへこまなければ、俺は死んでいたかもしれないのだ。
そう思うと、彼女との出会いは幸運と言える物だった。

「まあ……大量に人死にが出てる事に、自分が死なずに済んだからって幸運どうこう言うのははばかられるが」

まあなんにせよ、恐ろしい世の中だよ。
全く。
犯人のCランクシーカーは、一体何を考えて凶行に及んだのやら。

「早く強くならんとな……」

まあこんな事件はそうそうある事じゃないけど、だからって絶対に巻き込まれ無いって保証もない。
なので早く強くなるに越した事はないのだ。

何かあった時に対処できるのは、結局は力だけだからな。
少なくとも、ダンジョン内では。
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