スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一

文字の大きさ
54 / 152

第53話 被害者の会

しおりを挟む
「よし!スキルブックゲット!」

通算4体目で2冊目のスキルブックを獲得する。

「キシャアアアア!」

「君からの贈り物は大切に使わせて貰うよ!」

出会いがあれば分かれもある物だ。
一期一会の精神と、彼女からの贈り物を胸に、俺はさっさとトンズラする。

「さーて、どんなスキルかな?」

お楽しみの幸運鑑定。
気分はスキルガチャである。

「お…………おおおおおおおおおおおおお!大当たりだ!!」

鑑定結果に興奮し、俺は雄叫びを上げる。
Cランクダンジョンのボスが落とすアイテムの中では、間違いなく最高峰の当たりスキルを引けたからだ。

―—出たスキルは【獣殺しビーストキラー】。

パッシブスキルで、効果は獣に分類される魔物相手のダメージが50%上昇すると言う物だ。
種族限定とはいえ、全てのダメージが50%アップするこのスキルは間違いなく大当たりと言えるだろう。

「装備を整える為に売るべきか……」

キラー系スキルで人気なのは竜殺しドラゴンキラー悪魔殺しデビルキラー天使殺しエンジェルキラーの三つで、これらは軽く100億を超える物だ。
それ以外のキラーは人気がワンランク落ちるが、それでも数十億はくだらない。

数十億あればかなりいい装備が集められるだろう。
けど――

「いや、使おう!金よりスキルだ!金なんか無限ラーテル編でいくらでも稼げるからな!」

売るかどうか一瞬迷いはしたものの、俺は【ビーストキラー】を自分に使用する。

「ふはははは!自分磨きに数十億を投資!女子連中も顔負けよ!」

自分磨き、きんもちいいいいいい!
一皮むけた感が凄いぜ。
まあだからって、ラーテルさんと戦かったりはしないけどな。

レディーを傷つけるなんてジェントルメンのする事じゃないからね!
DVよりも断然ヒモ!

いかにお宝を引っ張り出すかが男としての腕の見せ所である。

―—というわけで、再会。

「ち、しけてやがる」

5匹、6匹、7匹、8匹、9匹目と、5連続でスカを引く。
幸運さん。
もっとちゃんと仕事してください。
こっちも暇じゃないんですから。

因みに。ハズレ枠はグレートジャーキーというアイテム。
ジャーキーの凄い版だ。
結構SPMPが回復するので売値は100万と高めだが、如何せんスキルブックに比べれば小粒と言わざるえない。

「ま、気長にやるからいいけどな」

数日籠る覚悟だ。
なのでラーテルちゃんとは長いお付き合いになる事だろう。
俺の人生最後に走馬灯があるなら、きっと歴代元カノの如くラーテル達が流れ続ける事であろう。

「さーて、記念すべき10体目はスキルブックを出してくれるかなぁ」

さあ記念すべき、まあそこまで記念すべきって訳でもないけど、とりあえず10体目。
テンション上げて行こう。

「ん?」

祭壇に手をかざすと、一瞬だけ光るがそのまま消えてしまう。

「まさかもう打ち止めとか?まじかー」

無限ループできるとばかり思っていたが、どうやら回数制限があった様だ。
まあビーストキラーも手に入ったし、十分美味しくはあったが、それでもやっぱり残念である。

駄目元でもう一度手をかざす。
すると――

「なんだ!?」

祭壇が明滅する様に赤く輝き、そしてブザーのような音が鳴り響く。

『不正な連続召喚を検知しました』

次いで女性の声が。

「なんだなんだなんだ!?」

『システム不正利用者にペナルティを課します』

不正。
それにペナルティ。
その祭壇から流れる女性の言葉アナウンスに不吉な物を感じた俺は、神出鬼没を使ってその場から退避を――

「なんだ!?スキルが発生しない!?」

再使用時間はとうに過ぎている。
MPも足りている。
にもかかわらず、神出鬼没が発動しない。

「くっ!やばいぞこれは!!」

神出鬼没で逃げられないなら走って逃げよう。
そう足を踏み出した瞬間。

「どこだここ……」

世界が変わる。
遺跡から、一辺五十メートルほどの四角い真っ白な空間へと。

祭壇はなくなったが、ブザー音は続いている。

「閉じ込められた……」

神出鬼没を使ってみるが、やはり発動しない。

『過剰召喚された魔物の処理タスクと、不正者のペナルティを同時に実行します』

再度女性の声が響く。
と同時に、鳴り響いていたブザー音がピタリと止まる。

「……」

数瞬の静寂。
だがそれは直ぐに破られた。

『『『『『『『『『『キシャアアアアアアアアア!!』』』』』』』』』』

獣の雄叫びによって。
それも一つや二つではない。
大量の雄叫びだ。

「あ、ああ……」

そして落ちて来る。
俺を取り囲む様に、円の形に黒い獣達が10体。
全てバーサカー・ラーテルだ。

「ウソだろ……」

『タスク開始カウントします』

ラーテル達の俺を真っすぐ見ていた。
その口元を歪まで、早く始めろと言わんばかりに涎を垂らしながら。

『10』

人間欲ばると碌な事にならないから、程々が一番だぞ。
子供の頃、優しかった父に言われた言葉を思い出す。

『9』

清く正しく。
路を踏み外した外道には因果応報が待っている。
世界はそうあるべきだ。

けど神様……俺、そんな酷い事しましたか?

『8』

泣きそうになる俺の気持などお構いなしに、カウントダウンは進む。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

狐侍こんこんちき

月芝
歴史・時代
母は出戻り幽霊。居候はしゃべる猫。 父は何の因果か輪廻の輪からはずされて、地獄の官吏についている。 そんな九坂家は由緒正しいおんぼろ道場を営んでいるが、 門弟なんぞはひとりもいやしない。 寄りつくのはもっぱら妙ちきりんな連中ばかり。 かような家を継いでしまった藤士郎は、狐面にていつも背を丸めている青瓢箪。 のんびりした性格にて、覇気に乏しく、およそ武士らしくない。 おかげでせっかくの剣の腕も宝の持ち腐れ。 もっぱら魚をさばいたり、薪を割るのに役立っているが、そんな暮らしも案外悪くない。 けれどもある日のこと。 自宅兼道場の前にて倒れている子どもを拾ったことから、奇妙な縁が動きだす。 脇差しの付喪神を助けたことから、世にも奇妙な仇討ち騒動に関わることになった藤士郎。 こんこんちきちき、こんちきちん。 家内安全、無病息災、心願成就にて妖縁奇縁が来来。 巻き起こる騒動の数々。 これを解決するために奔走する狐侍の奇々怪々なお江戸物語。

ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す

名無し
ファンタジー
 ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。  しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...