スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一

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第98話 お試し

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「おれつえええええ!」

幸運ブーストありの狩りはもはや別次元だった。
勇気からのリンクで火力が3倍になっていたのも大きい。
雑魚相手とは言え、Sランク相手に無双して脳汁ブッシャーもんよ。

その勢いでグーベルバトルに挑んだ俺。

その結果は――

「負けた……」

―—完膚なきまでの敗北だった。

俺はヘッドギアを脱ぎ捨て、ベッドの上に大の字に寝転ぶ。

試合時間30秒。
しかもラスト5秒はほぼ何もできなかったレベルの完敗である。

「まあ相手が悪かったですね」

「むう、さすがは最強シーカーと呼び声が高いだけはあるな。つか、いくらなんでも強すぎないか?こっちは色々と制限があったとはいえ、コインの表がでてあれとか……俺の想像してた100倍は強いんだが?」

グーベルバトルは用意された装備を選んで身に着ける訳だが、そこにタリスマンの枠はない。
そのため、幸運ブーストのコイントスは運任せ(表30%裏70%)になる。

因みに、武器に関しては2刀流があるため2本選ぶ事が出来、それを右手で一本にして戦う事が出来た。

「相手がデタラメに強かったとしか言い様がないですね。あの方のクラスであるアルティメットプレーンは、ヒーロークラスの中でもトップレベル……というか、ぶっちゃけ最強クラスです。成長しきった状態は、他のヒーロークラスと比べても頭一つ抜けてますから」

「そうなのか」

「更に彼のユニークスキル【竜人化ドラグフォーム】も、限りなくレジェンド級に近いヒーロー級ですからね」

「レジェンド級とヒーロー級ってなんだ?」

聞いた事のない区分である。
というかユニークスキルに、クラスみたいな区分がある事自体知らなかった。

「細かい事はお気になさらずに。まあ要は、トップ10に入るレベルのユニークスキルって事です」

「最強のクラスに、トップ10に入るレベルのユニークスキルか」

そりゃまあ、デタラメに強い訳だ。

「更に付け加えるなら、彼の腕前は私と同等レベルと思っていいでしょう」

「ああ、うん、まあ……なんとなくそんな気はしてた」

最初の25秒間は多少戦えていたので、相手の腕前は理解できていた。
その際、動きの巧みさから『この人、勇気並みじゃね?』って思ってたし。

「そんだけ揃ってたら、そりゃまあ完敗するか。にしても最後の……あれってやっぱ究極スキル使ったんだよな?」

究極スキル。
ヒーロークラスが95で覚える最後のスキルだ。
クラスに則した強烈なスキルを覚える共通点から、巷では究極スキルと呼ばれている。

「ええ、そうなりますね。レベル95になりたてだったみたいですから……たぶんスキルの試し打ちがてらゲームした所、マスターに当たったって感じですかね。使ってなくても、普通に勝ってた試合ですし」

「試し打ち同士がぶつかって、俺が一方的にボコボコにされた訳か。世の中世知辛いぜ」

「落ち込む必要はありませんよ。相手が規格外だったってだけです。今のマスターなら、他のヒーロークラスとなら十分戦えるポテンシャルはありますから」

「そうか?」

「ええ。そもそもそのレベルに達していなかったら、たぶん究極スキルは使って貰えませんでしたよ。話にならない弱い相手に使っても、試し打ちの意味はありませんから。そういう意味で、マスターには使うだけの価値があると判断されたって事です」

最強のシーカーに認められた訳か。
そう考えると、秒殺はされたものの、悪い気はしないな。

それに、俺にはまだ伸びしろが残っている。
ランクアップや隠し通路、それに例のカギで行けるお宝ダンジョンも。
今は無理でも、その内竜崎守に追いついて見せるぜ。

……ま、そこまで強くなる必要性はない気もするけど、どうせなら最強を目指したいからな。

「あ、そういや気になってたんだけど」

「なんでしょう?」

「俺ってワンパンでやられただろ?」

「ええ、もう。それは見事に崩されて肩からバッサリとやられてましたね」

25秒間は押されつつも、スキルを使いつつ何とか耐え凌ぐって感じだった。
で、究極スキルを使われて、動きに対応できず短剣を弾かれた所をバッサリ。
それが試合の全容である。

「気になった点が二つあってさ」

「なんでしょう?」

「攻撃を喰らう瞬間、俺は咄嗟にミステリアスを使ったんだよ。けど、発動しなかったんだ」

本来なら、ミステリアスであの攻撃は無効化できるはずだった。
だがそうはならなかった。
何故かスキルは発動せず、俺は直撃を受けてしまったのだ。

「ああ、それですか。簡単ですよ。彼の究極スキルに、一定範囲内にいる敵のアクティブスキルの発動を阻害する効果があるからです。なので、スキルを使われたら素の殴り合いしかできなくなります」

「スキル発動阻害まであるのか……」

発動前は俺とスピードが同じぐらいだった――怪盗の補正に、ブーストの100アップありの俺と同じ時点で滅茶苦茶な気もするが――のに、スキル使用後は明らかにスピードが上がっていたので、能力アップは間違いない。
そこに更に相手のスキル阻害まで加わるとか、結構エグい効果だ。

「まあ範囲自体はそこまで広くないので、間合いさえ取れれば対処は可能ですね」

「あの速度で動く相手から間合いを取れとか、それこそ瞬間移動系が無かったら無理だろ」

しかも既に近付かれていたら、それも使えないわけだし。
ゲームのデモンストレーションで見た、スピードスタークラスの速度がないと話にならない。

「ま、そうですね。でも相手は、現時点で最強な訳ですからねぇ。それを何とか出来る様なシーカーじゃないと、まともに戦えないのは……まあ、ある意味しょうがないんじゃありませんか?因みに……彼をゲームキャラで例えるなら、ラスボスかその手前で戦うポジって所でしょうね」

「ラスボスね……」

グーベルバトルはいずれ、世界大会的な物を開くと宣言している。
そこで優勝を目指すのなら、竜崎守がラスボスポジになるのは目に見えていた。

優勝賞品とか絶対豪勢だろうから、是非とも優勝してみたいものだが、あれに勝てるビジョンが微塵も浮かばないから困る。

「まあいいや。もう一個のほう。最後に受けた攻撃の反射ダメージ、あれが全然入って無かったんだけど?」

試合の勝敗はHPで管理される。
どちらか片方がなくなった時点で試合終了って感じに。
もしくは時間切れだな。

で、試合中は相手のHPは見れず、終了後には確認する事が出来る仕様になっている訳だが……

その際見た竜崎のHPは、全然減っていなかったのだ。
これが完全にノーダメージなら、決定打の攻撃に対する反射ダメージは発生しないだけとも取れたが、竜崎守には僅かながらにダメージが入っていた。

途中、攻撃を当てれていなかったので、あれは間違いなく反射によるダメージのはず。
けどその減りは、反射ダメージにしては酷く少なく感じざるを得なかった。

あの攻撃に、俺は7重セプタプルガードを発動させている。
効果はダメージを99%カットと、カット無しで本来受けるダメージの50%を反射するという物だ。

俺を一撃で倒した竜崎守の強烈な攻撃。
その半分(カット前のダメージ)をお返ししたんだぜ?
それであの減りはどう考えてもおかしい。

もうなんならバグを疑うレベルである。

「ああ、そんな事ですか」

勇気がつまらなさそうに言う。
どうやら勇気は原因を知っている様だ。
まあ、そう思っていたから聞いた訳だけど。

「忘れたんですか?バリアを貫通する攻撃があるって、以前お伝えしたでしょう」

「ああ……でも、それなら反射ダメージはないんじゃ?」

体力が100上がって防御力も爆上がり、かつ、99%カットした俺をワンパン。
その時点でバリア貫通は考えた。
だが、それならそもそも反射は発生してないはずである。

にもかかわらず、相手のHPは減っていた。
だから不思議に思ったのだ。

「バリア貫通系は、なにも全部を無効にするとは限らないんですよ」

「どういう事だ」

「アルティメットプレーンには、相手のバリア効果を半減させるってパッシブスキルがあるんですよ」

「つまり、幸運ガードの効果が半減してたって事か」

99%カットが、49,5%カットに。
そして5割反射が2,5割に。

「ええ。更に【竜人化ドラグフォーム】の効果にも、敵のバリア効果半減があります。なので、まあ4分の1まで効果は減らされてる感じですね」

だいたい25%カットに、1割ちょっと反射か。
そりゃ痛いし、大してダメージを与えられなかったのも頷けるな。

いや、それ込みでも反射ダメージがかなり少ない気がするんだが……

「もういっちょ付け加えるなら、反射ダメージは相手の防御力は影響しませんが、バリアの軽減効果は受けます。なので、なけなしの反射ダメージは、90%程カットされてしまった訳です」

「90%カット……究極スキルにそんな効果まであるのかよ」

「いえ。クラスのパッシブスキルで80%。それに【竜人化ドラグフォーム】のパッシブ効果の50%カットで、合わせて90%です。究極スキルにバリア効果はありません」

素で90%カットを持ってるのかよ。
99%カットしてる俺が言うのもなんだが。ウォーリア系でそのカット率はエグいぞ。
レアクラスタンカーの聖でも、パッシブで90%カットとかないからな。

まあ防御力は、流石に聖の方が高いとは思うけど。
もしそうじゃなかったら、もはやタンカーの存在意義がなくなるし。

だからたぶん聖の方が硬い。
たぶん。

「にしても……聞けば聞くほど勝てる気がしなくなるな」

化け物過ぎだろ。
冗談抜きでラスボスじゃねぇか。
竜崎守。

「そんな事はありませんよ。考えうる全ての強化を終えて……その上でゲームじゃなく何でもありの現実での戦いなら、十分勝ち目はあります」

「ゲームじゃなければ勝ち目はあるのか……」

「現実の戦いでなら、私もいますからね。二人がかりでボッコボコですよ!」

なるほど。
確かに、勇気がいるかいないかで全然変わって来るよな。
まあ仮にその条件で勝っても、絶対すっきりしないだろうけども。

「ゲームだとどうだ?」

「グーベルバトルで勝つのはかなり厳しいかと。まあ、絶対無理とまでは言いませんが……コイントスの問題もありますしねぇ」

「コイントスか……」

……どれだけ万全の準備をしようと、裏が出た時点で終わりだからな。

そして今回は表だったが、基本的に裏が出る確率の方が高い。
こればっかりは努力では如何ともしがたい要素である。

一応、幸運は限界突破効果で105までは上げれる訳だか……

まあ5程度じゃ、焼け石に水だよな。
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